未分割の不動産収入について
主人と義兄で、当方が頼んだ弁護士を通して遺産分割の話し合いを進めている最中です。
義母に家賃と駐車場の収入があるのですが、未だ遺産分割がされていないため、家賃収入を義兄の収入にして確定申告をしてもよいか、との連絡を弁護士を通してされました、調べましたところ青色申告が各自必要で、半分ずつ行うというのまでは理解しましたが、収入は兄が全て管理しているため、はっきりした金額も教えてもらえず、また税金の支払いだけをうちがしなければならないのか、そうするとこの先も分割まで未収入で税金だけ払い続けなければいけないのではないか、等の不安があります。
また、家賃はうちが一部住んでいて相続したい物件であり、駐車場は兄が主張するものなので、駐車場のほうであれば金額もほぼ同じくらいなので譲歩してもよいかと思いますが、今の時点で兄のものであると認めてしまう心配も感じています。
弁護士に確認したところ、所属税理士からは申告してもしなくても自由?的な回答が返ってきましたが、申告しなかった場合控除が受けられず、また後々ペナルティが加算されることも心配です。金額的には準確定委申告以降8か月分とすると78万円ほどになります。駐車場代も全車入っていれば同じくらいの計算です。
無資格ですが税理士事務所勤めの義兄に振り回されっぱなしです、どうかご助言等注意することを教えていただけますよう、よろしくお願いいたします。
税理士の回答

安達幸男
正直言って、義兄が非協力的であり税務関係の書類が確認できない中で、大変困っていると思います。残念ながら、所得税の確定申告に関していえば、未分割の場合の賃料収入については、死亡後から遺産分割成立日までの間の賃料収入は、各相続人の法定相続分に応じて帰属するとの最高裁判所の判例があり、税務の取扱いもそれに従って申告することを求めています。したがって、あなたの夫は、賃料収入の2分の1を収入として、必要経費も2分の1として、所得税の確定申告をする必要があります。弁護士がいうように、義兄に全部収入が帰属するとして申告をしても、後日、あなたの夫については申告がないということで、税務署から期限後申告書の提出と無申告加算税(本税額に対し15%)を求められます。さらに、納付日までの延滞税を納付することになります。したがって、一旦は何らかの形で所得税の申告書及び収支内訳書を作成して提出し、納税する必要があります。亡くなった方の過去に提出した所得税の確定申告書や青色申告決算書を閲覧して、それを参考に数字を適宜作成する方法もありますが、死亡した者に係る申告書等閲覧は、相続人全員が出署して行うか、出署者以外の相続人全員の委任状及び印鑑証明書+死亡者の相続人であることを証明する戸籍謄本が必要になりますので、おそらく義兄の協力が得られずでできないと思われます。ほかっておけばよいかというわけではなく、とりあえずある程度の数字で申告書を提出して納付するしかありません。でないと先ほどのペナルティーを受けることになるからです。
このほかに、現時点で行っておくべき手続として、あなたの夫は「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくべきでしょう。これを提出しておけば、青色申告の数々の特典(青色申告特別控除として、10万円、55万円、65万円のいずれかが所得金額から控除できます。)を受けることができるからです。準確定申告から既に8か月経過しているということですので、現時点で提出しても、令和3年分については適用を受けることはできませんが、今年の3月15日までに提出すれば令和4年分は適用可能となります。
このほか、相続税の申告に関していえば、死亡日から10か月以内に申告する必要がありますので、おそらく2月中に期限が来るのではないでしょうか。こちらの相続税については、未分割であるときは、とりあえず適宜数字を入れて相続税申告書を提出する必要があるのですが、未分割のままですと、数々の特典(小規模宅地等の特例など)の適用が受けることができません。後日申告書を直すとしても、一旦は特例の適用がないものとして計算して、余分に納税する計算となります。また、「申告期限後3年以内の分割見込書」も10か月以内に提出しないと、後から税額を軽減できる措置の適用も受けることもできません。おそらく、義兄は、自分の分だけ(法定相続分2分の1として計算して)の申告書と分割見込み書を提出しておくのかもしれません。義兄に一度相続税の申告についても確認された方がよいかと思います。いずれにしても、期限まで余りありませんので、一度相続税に強い税理士に相談された方がよいかと思います。
ご丁寧な回答、本当に痛み入ります。
幸いなことに準確定申告のコピーは手に入れているので、最悪でもそちらの資料を使って申告できるかと思っておりますが、そのような理解で大丈夫でしょうか。
主人の確定申告前に急ぎ承認申請はしなければ、とも思っておりましたが、今ですと次年度分になるということは初めて知りました、義兄のほうは自分だけ早々に申請していたのかもしれません、教えていただき感謝いたします、ありがとうございました。
税理士先生は今からでも頼みたいとは思っておりますが、例えば当方には不利になるかとは思いますが義兄と同じ事務所の税理士に頼むことは可能でしょうか、数字等を知るのはそれが一番かと思われるのですが。弁護士の介入があっても教えてもらえないものなのですね。
こちらは半分など主張しておりませんが、あまりの理不尽さに心休まるひまもありません、調停をしても、すでに弁護士に対して根も葉もないことばかり言っているので、おそらく長引いたり当方が損をして終わるであろうことが予想され、であればゼロではあってもマイナスにはならないよう、急ぎ行動したい所存です。
最初のご回答をまず、ベストアンサーにさせていただきました。

安達幸男
相続(1月1日から8月31日までの死亡のケース)があったときの青色申告承認申請については、死亡日から4か月以内となっており、準確定申告書と同じとなっています。
ところで、義兄が資料を開示してくれない点は、なかなか難しい問題ですが、一度、義兄の勤務先の税理士先生に間に入っていただき、所得税の確定申告と相続税の申告をしなければならないが、義兄が資料を開示してくれない旨をご相談された方がよいかもしれません。正しい申告書を作成するという税理士という立場からすれば、一方に与して他方に資料を開示しないということはないのではないかと思われます。先生には、現状では資料が不明で申告書が作成できず、不利益を受ける可能性があることを説明すれば、とりあえず申告だけは、所得税も相続税も法定相続分で作成していただけるのではないでしょうか?その後は、当事者間で遺産分割の内容を決めればよいので、後日修正申告(更正の請求)で直すということで進めることがよろしかと思います。
どうしても税理士先生が資料の開示に協力いただけないときは、手元にある準確定申告書を参考にして、収入及び経費のそれぞれの金額について、死亡日から12月31日までの期間で引き直して計算し、かつ、法定相続分で按分した金額で数字を推計して、ご主人の所得税の確定申告書を作成するしかありません。不動産の賃料収入については、遺産分割の結果がどのような形(例えば義兄に帰属する)になったとしても、死亡日から遺産分割成立日までの間は、各相続人に法定相続分により帰属することになりますので、この分の申告と納付の義務は免れることはできません。
また、相続税の申告書については、遺産の争いがあるときは、それぞれの相続人が別々に申告書を出してくるのが一般的です。他の相続人の分まで記載して提出してくるケースもないわけではありませんが、通常は、全遺産額と自分が相続した分だけを記載して提出するのが一般的です(全財産を相続したという内容ならあり得ます。)。
残念ながら、遺産総額が分からないという理由では、ご主人の相続税の申告書の提出が遅れた正当な理由になりませんので、判明している土地建物を路線価で評価して、確認できる預金残高などを加算して申告書の数字を作っていくしかありません。
税理士先生によく相談して、間に入っていただき、とりあえず未分割での正しい相続税の申告書を作成したいというお願いをしていただくとよいと思います。
期限までに余りありませんが、頑張ってください。
お忙しいところ詳細な説明、及びあたたかいお言葉、本当に嬉しく思います、
心より感謝いたします、ありがとうございました。
本日弁護士から担当税理士とお話したい旨、事務所に電話で確認していただいたところ、義兄本人が出たようで、やはりおそらくお願いすらしていない段階ではないかと思われます。
かなりの努力をしていただき、期日までの提出の約束はできたようですが、
義兄のみの約束ですと、当日までに提出されない心配もまだあります。
ただ、事務所を通していないのでしたら、今まで内部文書であるとか守秘義務があるとか、
事務所を説得しているが許可されないなどとの理由で提出を拒んでいたのは
まったくもって事実ではないと思われるので、その場合は再度、それらの理由で
提出をうながしていただくようお願いするつもりです。
また、当方でも税理士先生を紹介していただき、お話できる機会も設けていただけましたことを
ここにお知らせいたします。
今回のご丁寧な回答、けっして忘れません、まだまだ不安は多くありますが、
やっと希望がみえてきたといったところかと思われるようになりました。
なんとかまとまりましたら改めてお話等できればと思っております、
この度は本当に本当にありがとうございました、重ねてお礼申し上げます。
本投稿は、2022年01月22日 13時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。