取締役の非上場株式の贈与について
現在務めている会社から、第三者割当増資として、1株1万円、100株を100万円で購入しないかとのことで、押印のうえ支払を行いました。
その半年後に会社の取締役になって欲しい事、株式を10000株を譲渡したいという事を会社に言われました。
【質問1】
この場合、私は最初の100万円以外は支払を行っていないため、差額の9900万円分の贈与税を支払う必要がありますでしょうか。
【質問2】
会社からは従業員である取締役として株を取得するため、贈与税は私ではなく会社で支払うことになると説明をされておりますが、こちらは正しいでしょうか。私が支払う可能性はございますでしょうか。
【質問3】
もし質問2にて会社が贈与税を支払うこととなる場合ですが、支払までに会社が倒産した場合は私が支払う必要が出てくることになりますでしょうか。
税理士の回答

石割由紀人
ご質問ありがとうございます。取締役の非上場株式の贈与について、3つの質問に回答させていただきます。
【質問1】差額の9900万円分の贈与税を支払う必要はありますか?
はい、原則として、贈与税を支払う必要があります。
贈与税の課税対象:株式の贈与は、贈与税の課税対象となります。この場合、1株1万円で購入した株式の価値が、贈与時に1株1万円を大きく上回っていると評価される場合、その差額が贈与税の課税対象となります。
非上場株式の評価: 非上場株式の評価は、上場株式のように市場価格がないため、専門的な評価方法(原則的評価方式や配当還元方式など)を用いて評価額を算出します。この評価額が、1株1万円を大きく上回る可能性はあります。
贈与税の計算:贈与税は、1年間に贈与された財産の合計額から基礎控除額(年間110万円)を差し引いた金額に対して課税されます。贈与された株式の評価額が非常に高額になる場合、高額な贈与税が発生する可能性があります。
* ご質問のケース:ご質問のケースでは、10000株の株式を無償で譲り受けているため、株式の評価額と100万円の差額が贈与税の対象となる可能性があります。
【質問2】会社が贈与税を支払うという説明は正しいですか?あなたが支払う可能性はありますか?
会社が贈与税を支払うという説明は、原則として誤りです。贈与税は、財産を贈与された人(この場合はあなた)が支払う義務があります。
*贈与税の納税義務者: 贈与税は、贈与を受けた個人に課税される税金です。会社が従業員や役員に株式を贈与した場合でも、贈与税の納税義務は贈与を受けた個人にあります。
会社が負担する場合:会社が贈与税を負担する場合、それは贈与を受けた個人に対する経済的利益の供与とみなされ、その金額は給与所得として課税される可能性があります。つまり、会社が贈与税を肩代わりした場合、あなたは贈与税相当額の給与所得に対する所得税を支払う必要が出てくる可能性があります。
税務上の取り扱い:会社が贈与税を負担することは、税務上複雑な問題を引き起こす可能性があります。税務署は、贈与税の負担を会社が肩代わりすることを、贈与税の脱税行為とみなす可能性もあります。
【質問3】会社が倒産した場合、贈与税を支払う必要が出てきますか?
はい、会社が倒産した場合、あなたが贈与税を支払う必要が出てくる可能性が高いです。
贈与税の納税義務:贈与税の納税義務は、あくまで贈与を受けた個人にあります。会社が贈与税を支払うという約束は、会社とあなたとの間の契約に過ぎず、税務署に対する納税義務を免除するものではありません。
会社倒産の影響: 会社が倒産した場合、会社が贈与税を支払うという約束は履行されなくなります。そのため、あなたは贈与税を自分で支払う必要が出てきます。
納税猶予・免除の特例:一定の要件を満たす場合、事業承継税制を利用して贈与税の納税猶予や免除を受けることができる場合があります。しかし、この特例を受けるためには、様々な要件を満たす必要があり、また、会社が倒産した場合、猶予されていた税金が免除されなくなる可能性もあります。
本投稿は、2024年12月17日 00時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。