相続した土地を法人へ贈与
父が祖父から相続した土地を親戚へ生前贈与(または死因贈与、遺贈)することに
なっていましたが、親戚個人ではなく、経営している株式会社に贈与してほしいと
言われたそうです。
調べると、みなし贈与という税金がかかることがあるようです。
無償のはずなのに、こちらが負担するのは納得がいきません。
法人にしたほうが 先方にとって都合が良いのでしょうか?
税理士の回答

看做し譲渡、でしょうか。譲渡所得税がかかりますね。
通常、贈与、遺贈において法人を交えるのはご法度です。看做し譲渡所得がかかりますし、受け入れ側の法人側では時価で受贈益が立ち、実質、手元に残るものが減りますし、何より贈与する側での譲渡所得、申告の手間がかかりますので。
不動産を法人に贈与する場合、譲渡所得課税がされます。
経営している会社が赤字とか、個人贈与税は累進課税ですが、法人税率は定率課税とか、先方には、それなりに理由がおありなのでしょう。
しかし、お父さんに税負担が発生しますので、よく協議されたら良いと考えます。
「抜群」
資産の「譲渡」とは
譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。また、次の場合にも資産の譲渡があったものとして課税されます。
(1) 法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
次のイ又はロのような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいいます。以下同じ。)で資産の譲渡があったものとして、課税されます。
イ 法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡
ロ 限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます。)

法人へ贈与した場合は、みなし譲渡となります。
贈与した人は、時価で譲渡したとみなされ、譲渡所得税を計算します。
貰った法人も課税となり、土地/受贈益の仕訳となります。

個人が所有する土地を贈与(無償譲渡)する場合、贈与する相手が個人であるか法人であるかで、税の取扱いが異なりますのでご留意ください。
① 相手が個人の場合:贈与された相手に贈与税が課され、贈与する人には税の問題は生じません。
② 相手が法人の場合:贈与された相手(法人)には受贈益が発生し、更に贈与する人には土地を時価で譲渡したものとみなして所得税住民税が課されます。
これは、相手が法人の場合には土地を時価で一旦売却し、その売却代金を法人に贈与したとみなして税金の計算を行なうことになっているとお考えください。そのため、代金は手元になくても譲渡所得を認識して所得税住民税を計算するという取扱いになっています。
更に、土地の贈与により法人の株価が上昇した場合(通常は上昇します)には、贈与した人から法人の株主に対して「株価が上昇した分の価値」の贈与があったとみなされて、法人の株主にも贈与税の問題が生じますのでご留意ください。
どのような理由で法人にと言われているのか分かりませんが、法人に対して土地を贈与する場合には様々な税の問題が絡んできますので、事前に専門家(資産税に詳しい税理士)にご相談されたほうが宜しいと思います。
早々とご回答頂き、心から感謝いたします。ありがとうございます。
追加で失礼いたしますが
かなり田舎の土地のため、相続時よりも時価が下がっていると思われます(昔の資料確認中)。
その場合は課税等の心配はなく、個人でも法人でも同じになりますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
みなし譲渡所得課税に該当すれば、
譲渡収入(時価)―(時価×5%+譲渡費用)=譲渡所得
税金20.21%の分離課税になります。
取得費が不明の場合には、譲渡収入の5%になります。
一般的に、取得費が不明の場所には譲渡所得の課税はあると考えます。

ご連絡ありがとうございます。
相続時の価格ではなく、当初の購入時の価格を超える部分の譲渡所得に税金がかかります。
当初の取得価額が不明の場合は、みなし譲渡の時価の5%となります。時価の95%に税金がかかります。

相続で取得した場合には、被相続人(亡くなった人)の取得日と取得費を引き継ぎますので、ご相談のケースではお祖父様の購入価格が取得費(原価)になります。
この価格が明らかで、現在の時価よりも大きい場合には譲渡所得税の心配はありませんが、お祖父様の購入価格が現在の時価よりも小さい場合には譲渡所得税の問題が生じます。お祖父様の購入価格が不明な場合は、現在の時価の5%相当額が譲渡所得を計算する際の取得費になります。
昔の資料の中の「お祖父様の購入価格」をご確認下さい。
宜しくお願いします。
たびたびのご回答本当にありがとうございます。
まったく無知で申し訳ないのですが
たとえば、祖父の取得費が不明で、現在の時価が1000万円とすると
課税はどのようになりますでしょうか。(相続は10年以上前です)

原則として、売価の5%が取得価額と見做す。95%が譲渡益。
20%が税負担となりますね。

法人への贈与、遺贈、というのはされる方はいません。税理士が付いていれば、ですが。現実的な選択肢では無いですから。

時価1000-取得費 概算5%=譲渡所得950万円
譲渡所得950万円に約2割190万円強の所得税と住民税がかかります。
法人は、1000万円に対して法人税などがかかります。

時価1000万円の土地を法人に贈与した場合の譲渡所得は次のようになります。
・収入金額:1000万円
・取得費:1000万×5%=50万円
・長期譲渡所得:1000万‐50万=950万円
従って税金は次のようになります。
① 所得税復興税:950万×15.315%≒145.5万円
② 住民税:950万×5%=47.5万円
③ 合計:①+②=193万円
一方、贈与される法人では1000万円が受贈益となりますので、法人の決算利益が増加します。そのため、法人が黒字の場合にはこの土地の受贈益に対しても法人税や法人事業税等が課され、また、法人の株主にも贈与税の問題が生じますのでご留意ください。
なお、法人が1000万円以上の欠損金があり1000万円以上の債務超過の状況であれば、結果的には法人税等の課税はなく、株主に対する贈与税の問題も回避できることも考えられます。
たびたびのご回答、ありがとうございます。
今回のケースで、現在の時価はどのように求めるのでしょうか?
たびたびのご回答、まことにありがとうございます。
1.今回のケースで、現在の時価はどのように求めるのでしょうか。
2.個人から法人への贈与の場合は 贈与する個人も確定申告する必要があり、
個人間の贈与の場合は、贈与される側のみ確定申告(贈与税)するということで
よろしいでしょうか。

ご連絡ありがとうございます。
1.時価の算定方法は、近隣の取引事例を参考に当該土地の実勢価格を算定することになります。その方法が困難な場合には、当該土地の相続税評価額を求めてその価額を0.8で割り戻して算定することが考えられます。
2.お考えの通りになります。
宜しくお願いします。
本投稿は、2018年07月27日 14時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。