親と金銭消費貸借契約を結び返済中ですが、返済不要と言われています贈与になりますか?
住宅購入のために15年ほど前に親から2,000万円を借り、金銭消費貸借契約書を作成し、元金均等・返済期間25年・年利2.5%で銀行振込で返済を行ってきました。
現在の残り元金は800万ほどですが、最近になって親が「もう返済しなくてよいよ」ということを言ってくれたのですが、どのような対応・手続きをするのがよいかアドバイスをいただけないでしょうか。
・債権を放棄する旨の契約書を作れば、金銭消費貸借契約書で定めている残金については返済不要としてよいものなのでしょうか?
・返済不要とした場合ですが、残金は贈与とみなされ贈与税の支払い対象となりますか?その場合、贈与の起算日はいつになりますか?当初の2,000万円が贈与対象とみなされるリスクはありますか?
・今後親も急にお金が入用になるかもしれないので、放棄するのではなく、私からの返済は継続とし、親が思うタイミングで110万の控除額内での暦年贈与をしてみてはどうか(そうすれば親の方でお金が入用になれば贈与をしなければよいので)と提案をしたのですが、手続きが面倒と感じているようで色よい返事をもらえませんでした。他によい方法はありますか?
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

800万円ほどは贈与税の対象になると思えます。このまま返済を続けるのがよろしいかと思われます。

・債権を放棄する旨の契約書を作れば、金銭消費貸借契約書で定めている残金については返済不要としてよいものなのでしょうか?
→親御様が債権放棄すれば、返済は不要となります。
・返済不要とした場合ですが、残金は贈与とみなされ贈与税の支払い対象となりますか?その場合、贈与の起算日はいつになりますか?当初の2,000万円が贈与対象とみなされるリスクはありますか?
→債権放棄をした時点の残金が贈与とみなされ贈与税が課税されます。
契約書を作成されていますし、返済している事実もありますから、2,000万円に対し贈与税が課税されるリスクはほぼないと考えます。
・今後親も急にお金が入用になるかもしれないので、放棄するのではなく、私からの返済は継続とし、親が思うタイミングで110万の控除額内での暦年贈与をしてみてはどうか(そうすれば親の方でお金が入用になれば贈与をしなければよいので)と提案をしたのですが、手続きが面倒と感じているようで色よい返事をもらえませんでした。他によい方法はありますか?
→要件を満たしているは分かりかねますが、相続時精算課税制度を使えば、2,500万円まで贈与時に贈与税がかかりません。
ただし、相続時精算課税制度の適用を受けた財産(みなし贈与財産を含む。)は、親御様の相続発生時に贈与時の価額で、親御様からご相談者様が相続により取得したものとみなされ、相続税課税されます。
親御様の財産について、相続税が課税されないと見込まれるなら、相続時精算課税制度を利用してもいいでしょう。
なお、一度相続時精算課税制度を選択すると毎年110万円の基礎控除がある歴年課税の計算には戻れません。
相続時精算課税制度の適用要件は下記URLからご確認ください。
国税庁HP: 相続時精算課税の選択
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
>中島さん
シンプルにわかりやすいアドバイスありがとうございます。
>松井さん
一つ一つの問いについてアドバイスありがとうございます。
親が債権放棄すれば返済不要で、残金が贈与対象となるであろう事ありがとうございます。
相続時精算課税制度はあまり意識してきませんでした。2500万までは相続税がかからないのですね。暦年課税制度が使えなくなる事のデメリット、今後親が相続させようと思っている財産との兼ね合いを意識しながら調べてみようと思います、ありがとうございます。
素人ながらに以下のようなことを考えてみたのですが、このような事は可能なものでしょうか?
私から親への返済は継続しながら、暦年贈与を親の希望にそっと適宜行う。その際に贈与は元金の返済に当て(繰延返済の資金とする)、相殺させる。金銭消費貸借契約書の変更覚書兼贈与契約書をその都度作り、贈与額で元金が減額される旨を記載。
こうする事で返済額は変わりませんが返済期間の短縮をすることで親としても手間の回数が減り、気が楽になるかなと思った次第です。
どうぞよろしくお願いします。

上記可能かと思われます。なお、相続時精算課税制度は、今後、暦年課税制度が利用できなくなるので、あまりお勧めできません。
親の気が向いた年に贈与をしてもらうのがよろしいかと思われます。

相続時精算課税制度はあまり意識してきませんでした。2500万までは相続税がかからないのですね。
→相続時精算課税制度は「贈与税」が2,500万円まで無税になる制度ですが、この制度の適用を受けた財産は、相続により取得したものとみなされて相続税課税されますし、歴年課税ができなくなるイコール生前贈与を利用した節税対策がかなりしづらくなりますから、相続時精算課税制度適用財産を含んだ親御様の推定遺産総額が、相続税の基礎控除を超えると考えられるなら、中島先生と同様、相続時精算課税制度の選択はお勧め致しません。
ありがとうございます。
「相続時精算課税制度適用財産を含んだ親御様の推定遺産総額」が、相続税の基礎控除を超えると思われますので、相続時精算課税制度ではなく暦年課税制度を活用しようと思います。
上記の「金銭消費貸借契約書の変更覚書兼贈与契約書」で親と話をしてみようと思います。
本投稿は、2021年06月26日 19時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。