保険の名義変更に伴う税金について
子供の為に終身保険に加入しようと思うのですが、まだ未成年の為最初は、
契約者 親 被保険者 子
の形で契約して親が保険料を負担して、子供が成人したら契約者変更をおこない
契約者 子 被保険者 子
にしようと考えていました。
しかし、デメリットも多いと聞くので、長くなりますが、何点か質問させてください。
①契約者変更をすると保険金発生時に贈与税がかかると聞きますが、終身保険の場合は子が亡くなった時に発生するということでしょうか?だとすると誰に税金がかかるのでしょうか?また契約者変更時の解約返戻金が110万円以内であれば税金はかからないのでしょうか?
②相続の際の死亡保険金控除についてですが、親が払った分に関しては相続ではなく贈与とみなされる為、死亡保険金控除の対象にはならないのでしょうか?
③親が亡くなった際には、契約者変更からたとえ何十年経っていたとしても子供の終身保険の親が払った分が相続財産とみなされてしまうことはあるのでしょうか?
自身でいろいろ調べたのですがいまいちわからないことだらけです。何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答

①契約者変更をすると保険金発生時に贈与税がかかると聞きますが、終身保険の場合は子が亡くなった時に発生するということでしょうか?
→今お考えの契約内容でしたら、お子様が保険を解約し解約返戻金を受け取ったときに贈与税が課税されます。
だとすると誰に税金がかかるのでしょうか?
→死亡保険金の受取人に課税されます。
課税される税目は贈与税とは限りません。
課税関係は次のように整理されます。
1.保険料負担者:A 被保険者:B 受取人:A
→所得税
2.保険料負担者:A 被保険者:A 受取人:B
→相続税
3.保険料負担者:A 被保険者:B 受取人:C
→贈与税
仮に保険料負担者が親御様であり、被保険者をお子様とし、親御様がお子様より先にお亡くなりになった場合、保険料負担者の地位はお子様に引き継がれます。
また、親御様に相続が発生したときは、その時の解約返戻金相当額に対し相続税が課税されます。
被保険者であるお子様に相続が発生するころは以下のような関係になっていると想定されるでしょう。
保険料負担者:お子様 被保険者:お子様 受取人:お子様の配偶者や、お子様のお子様
お子様に相続が発生したときに、相続人が死亡保険金を受け取る場合は、「500万円×法定相続人の数」で計算した金額が保険金の非課税枠となります。
しかしながら、これは今の税制でのお話で、このさき何十年後ともなると改正されている可能性もあると思います。
また契約者変更時の解約返戻金が110万円以内であれば税金はかからないのでしょうか?
→契約者変更時には課税されません。
②相続の際の死亡保険金控除についてですが、親が払った分に関しては相続ではなく贈与とみなされる為、死亡保険金控除の対象にはならないのでしょうか?
→上記回答と同様になりますが、保険料負担者である親御様がお亡くなりになった際には「生命保険契約に関する権利」として、みなし相続財産となります。
生命保険契約に関する権利に保険金の非課税枠はありません。
なお、生命保険契約に関する権利の評価額は、相続開始日における解約返戻金相当額です。
③親が亡くなった際には、契約者変更からたとえ何十年経っていたとしても子供の終身保険の親が払った分が相続財産とみなされてしまうことはあるのでしょうか?
→親御様がお亡くなりになった際は、②の回答と同様になりますが、「生命保険契約に関する権利」として、みなし相続財産になります。
また、契約者変更時からの経過年数は関係ありません。
契約するなら、契約者:親御様、被保険者:親御様、死亡保険金受取人:お子様 にするのがいいでしょう。
親御様の持病などの問題で、親御様を被保険者にできないのであれば、はじめは契約者は親御様で構いませんから、保険料相当額の金銭をお子様に贈与し、お子様が保険料を支払い、お子様を被保険者とする養老保険を検討されてはいかがでしょうか。
丁寧なご回答ありがとうございます。
私の理解力が乏しいため、確認させてください。
私の言葉足らずでしたが、節税対策ではなくただ子供に保障をつけてあげたいというのが目的でした。保険料も高くなく、何年か払っても100万円にも届きません。
①あくまで現行法での話ですが、親の負担保険料が110万円以内で同じ年で他に贈与がなければ解約時、死亡時に子供もしくは子供の相続人に贈与税はかからない。
②保険料負担者の親が亡くなった際には契約者変更からの経過年数関係なく親の相続税の申告が必要な場合、相続財産に含まなければいけない。
③子供が亡くなった時に、親が支払った分に関しては死亡保険金控除の対象にすることができない。
(②のように保険料負担者が先に亡くなってしまって精算されてる場合は通常どおり死亡保険金控除の対象にできるという認識でよろしいでしょうか?)
ということでいいのでしょうか?
子供や子供の相続人にデメリットになるようなことはしたくないので、質問ばかりで申し訳ございません。何卒ご回答よろしくお願いいたします。

①あくまで現行法での話ですが、親の負担保険料が110万円以内で同じ年で他に贈与がなければ解約時、死亡時に子供もしくは子供の相続人に贈与税はかからない。
→いいえ、解約返戻金や死亡保険金の額に対し贈与税や相続税が課税されます。
例えば、数十年後にお子様がその保険を解約したときの解約返戻金は、保険会社の運用により支払保険料より増え150万円だったとします。
この場合、お子様はご相談者様から150万円を贈与により取得したとみなされて、贈与税課税されます。110万円を超えますから贈与税の申告が必要です。
また、これも将来的には変わっているかもしれませんが、相続税の基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」あり、お子様の死亡保険金を含む遺産が相続税の基礎控除額を超えていたら、お子様の相続人に相続税がかかります。
お子様自身も人生を歩んでいくにつれて、他にも保険を契約されるかもしれません。
中には保険が好きな方では、相続税の計算をしていて、1番割合の多い財産が死亡保険金という方もいらっしゃいます。
そのような場合は、保険金の非課税枠も超えて相続税が多く課税されてしまいます。
節税目的ではないということですが、こちらに質問されていることから課税関係を確認し、払わなくていい税金は、なるべく払わないようにしたいということではないですか?
でしたら、親御様が保険料を負担するのではなく、親御様からお子様に保険料相当額の金銭贈与を行い、それでお子様が保険料を支払う形にしてはいかがでしょうか。
この場合でお子様が保険契約を解約し、解約返戻金を受け取った場合は所得税課税されるのですが、課税される部分は利益のみです。また、利益から50万円の特別控除があり、さらにそこから2分の1が一時所得となります。
仮に解約返戻金が150万円で支払保険料が100万円でしたら、「150万円-100万円-特別控除50万円=0円」になり、課税される所得はでません。
これが親御様が保険料を支払っていたパターンですと、解約返戻金150万円を贈与により取得したとみなされますので、贈与税の基礎控除110万円を超えてしまい税負担が発生します。
とはいえ、仮の数字でお話しさせていただきましたが、まだまだ先のことで、税制も変わっているかもしれませんし、ご相談者様がお子様にしてあげたいことをするのが1番でしょう。
②保険料負担者の親が亡くなった際には契約者変更からの経過年数関係なく親の相続税の申告が必要な場合、相続財産に含まなければいけない。
→はい。ご相談者様のご理解の通りです。
重要なのは契約者ではなく保険料負担者が誰かということです。
小難しい話は置いておいて、簡単に考えるなら、税務上は生命保険は保険料負担者のものとお考えいただければ、理解しやすいかと思います。
③子供が亡くなった時に、親が支払った分に関しては死亡保険金控除の対象にすることができない。
→悲しいことにお子様が親御様より先にお亡くなりになってしまった場合で、死亡保険金の受取人が親御様のときは、親御様に所得税課税されますので、相続税の保険金の非課税枠は関係がなくなります。
保険料負担者である親御様でない方が死亡保険金の受取人である場合は、その受取人は親御様から死亡保険金を贈与により取得したとみなされ贈与税課税となります。贈与税に保険金の非課税枠はありません。
文字数制限がありますので解答を分けます。

(②のように保険料負担者が先に亡くなってしまって精算されてる場合は通常どおり死亡保険金控除の対象にできるという認識でよろしいでしょうか?)
→ご理解のとおり、先に親御様がお亡くなりになり、その後お子様に相続が発生したときの死亡保険金については、相続税の非課税枠があります。
丁寧な回答をいただき、本当に助かりました。税金のことはやはり複雑なのですね。子供を初めから契約者にすることも選択肢に入れて、もう一度検討しようと思います。質問してよかったです。繰り返しになりますが、本当に助かりました。ありがとうございました。

税金の中でも保険の課税関係は非常に複雑なものの一つです。
またご不明点がありましたら、お気軽にご質問ください。
本投稿は、2021年07月11日 21時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。