確定申告の時期を過ぎた場合の、夫婦間の口座での預金移動に伴う贈与税について
夫婦共働きで生計を立てております。二人の老後の資金準備のため金融商品を購入しようと、昨年6月に口座間で400万円の移動をしてしまいました。
これが贈与とみなされ課税される可能性があることを知り、大変動揺しております。
以下のケースにおいて、税務署から贈与とみなされるでしょうか。
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・妻(私)が新規に投資用の口座Aを新規開設し、2016/6に夫の口座Bの貯蓄から400万円を移動しました。
・夫の口座Bの使用用途は、住居費用や光熱費などの支払いと貯蓄です。
口座の管理は妻がしておりますが、夫も引き出しが可能です。
(補足)
・2015/8から生活費は妻の口座Cから夫の口座Bに毎月30万円振り込んでいます。
2016/6の口座移動当時には、300万円程度を夫の口座に振り込み済です。
これは生活費のため贈与には当たらないと認識しております。
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過去の相談事例を拝見し、以下のような対処方法があることを知ったのですが、
今回のケースで該当するものが分からず相談させていただきました。
①実質的な口座管理者が変わらないため贈与に当たらない
→相談事例では専業主婦の妻の口座の管理者が夫ということでしたが、
私のケースでは夫が稼いだお金なので、妻が管理者という証明はできないでしょうか。
②本来の口座(夫名義)に400万円を戻す
→確定申告の時期を過ぎてしまいましたし、
口座の移動により更に贈与税がかかってしまわないかが心配です。
1年経過後でも元に戻して効果はあるでしょうか。
③妻が夫からお金を借りたこととし、金銭消費貸借契約書を作成する
→契約書の作成年月日は公的機関で証明する必要があるようですが、
1年経過後の年月日になってしまいますので、今からでは手遅れでしょうか。
正しい対処方法につきまして、ご教授いただければ幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答
基本的には、贈与税は贈与がない限り課税されません。この場合の贈与とは民法上のもので、それには贈与には「あげるよ」という意思と「うん、もらったよ」という双方の意思が必要とされています。
そこでお聞きしたいのですが、お二人には400万円の口座の移動につき、この贈与の意思があったのでしょうか。ご質問を拝見する限り、そうした意思はないまま軽い気持ちで口座の移動だけやられたように思われます。さらにいえば、この400万円の所有者は夫のままであり、それを「私」が管理・運用しようとしただけのように思います。
いずれにせよ、そうした贈与の意思がないのであれば、贈与はなされていないことになります(つまり400万円は夫のもの)。ただし仮にそうした意思がある(400万円は私のもの)のであれば、贈与税の申告をすべきこととなります。
しかし、贈与の意思がなかったとしても、税務署の動向が気になるのかもしれません(とはいえ、仮に税務署がこの400万円の口座移動に気づいて、問い合わせがなされたとしても、そうした事実関係を説明すれば納得してくれると思いますが)。
そして事実関係がそうであるならば、②の400万円を元に戻しておく、というのをお勧めいたします。これが確定申告の時期を過ぎていても、特に問題はありません。そしてもし問い合わせがあれば「軽い気持ちでやったのだが、疑われると嫌だから元に戻しておいた」といった説明で十分です。そしてこの②は「贈与を行っていない」という実態にも合致しており、一番無理のない形となります。
なお他の選択肢である①は、何やら面倒な感じがします。また③は事実と異なるようですので好ましくないように思います。
ご指摘の通り、贈与の意思は無かったのですが、税務署からどのように見えるかと考えると、大変心配になってしまいました。ご回答を拝見して安心いたしました。念のため、400万円は元の口座に戻しておこうと思います。
ご回答頂きまして誠にありがとうございました。
本投稿は、2017年04月15日 23時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。