相続発生時、相続人未決定の間、土地売却の売主はが誰になりますか?また譲渡所得税の優遇はありますか?
まだ相続が発生していませんが、相続税対策を3人の相続人で協議中です。相続税支払い(現在約2800万円、資産は土地72%と現金28%)が分割方法によっては不足する為に、相続発生から遺産分割協議書を提出する期間にやむを得ず、土地を売却(現在貸し駐車場で賃貸収入あり、約85万/月)しなければならない場合、まだ相続分割が協議中で所有者が未定(土地所有者が死亡後の為)の場合、①売却は可能なのでしょうか?②また売主は誰がなるのでしょうか?
③また売却時にかかる譲渡所得税の支払い(通常であれば取得価格が不明な場合は、5%との事ですが、誰が支払い、何か優遇があるのでしょうか?
④売却がうまくいかずに相続税申告期間(10カ月?)を超えた場合は、無条件に延滞税がかかるのでしょうか?
以上よろしくお願いいたします。
税理士の回答

1) 亡くなった方の名前のままでは売却はできません。相続人の方に相続登記をしてから売却という流れになります。
2) 相続人全員の協議でどなたか特定の人が相続するか、あるいは相続人全員が法定割合で相続するか、どちらかになります。ご相談の内容からは「換価分割」という方法をとることになると思われます。
3) 譲渡所得税は売却対象の土地を相続した人が納めることになります。相続で取得した土地を、相続税の申告期限から3年以内に譲渡した場合には、譲渡所得を計算するときの取得費に相続税額のうちの一定額を加算することができる特例があります。
詳細は下記サイトをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
4) 相続税の納税が10か月以内にできなかった場合には延滞税がかかります。土地を売却して納税する計画の場合には、相続税の申告書を提出するときに「延納」の申請を同時に行うことをお勧めします。延納申請を行いますと延滞税ではなく「利子税」に代わり、通常の延滞税よりも負担が軽くなります。土地を売却できた時点で延納申請を取り下げ、現金納付に切り替えることで納税が完了できます。
以上、ご参考になれば幸いです。
わかりやすい回答を頂き大変有難うございます。
一点だけ追加で質問させていただきます。分配の為に、現金を捻出するための売却ですので、複雑さを避けるために、(仮の)所有者を一人決めて登記、売却する場合、最後の遺産分割協議書と違う内容になりますが、土地を売却する等すべての分割流れや方法を細部に渡り、分割協議書に記述して、合意した後に,土地の売却を実行す事になるのでしょうか? 土地の売却価格によっては、思惑と異なる(売却を急ぐと価格が減少する可能性もあり)場合、もめる可能性もあるかと思います。そのあたりも含めて協議書を作成する事になるのでしょうか?

ご連絡ありがとうございます。
相続後の土地の売却を簡素化するために、便宜上、一人の相続人が相続登記をして売却手続きまで進め、売却後の代金を最終的に相続人で分配するという方法は実務上よく行われます。このような方法を換価分割といいます。
換価分割の場合には、遺産分割協議書にその旨を記載し相続人全員の承諾を得ることが必要となります。
遺産分割協議書の記載方法としては、例えば次のような表現を用います。
『相続財産中、次の不動産については相続を原因として相続人○○○名義に所有権移転登記したのちに売却、換金し、その売却代金から、売却に伴い発生した一切の費用(登記に伴う登録免許税、土地測量費、不動産業者への手数料等)を差し引いた残金を、相続人全員に法定相続分に応じて分配(換価分割)するものとする。
<不動産の表示>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上』
なお、換価分割した場合の譲渡所得の申告は、相続人間で決められた取得割合に応じて、相続人全員がそれぞれの金額を按分して計算し申告することになります。
以上、宜しくお願いします。
継続してのご回答を頂き有難うございます。実際の相続分割協議に役立たせていただきます。今後ともよろしくお願いします。
本投稿は、2016年04月11日 07時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。