株式会社 相続のためにしておくこと 未払費用と長期借入金について
法人で小規模(ビル1棟所有)な不動産業を営んでいます。
同族会社です。(自分、夫、娘2人が役員として登記しています)
自宅を事務所として使用しており、夫に地代家賃をして毎月15万ほど
未払計上しています。
※地代家賃/未払費用として、実際は家賃の支払いをしていません。
未払計上している合計金額は、現時点で1,000万ほどあります。
毎月、15万ずつ現在も増えています。
役員報酬は自分、娘1人のみに支払いをしており、夫への支払いはありません。
未払計上している家賃の他に夫に対して長期借入金が1,200万ほどあります。
現時点での預貯金合計は750万ほどです。
売上は毎年650万ほどあり、販管費が600万ほどで税引前の年間利益は50万位です。
自分も夫も80歳近くなりました。
今度、相続があった際にこのままでは長期借入金と未払費用に相続税がかかるのではないか?と知人から聞きました。
夫も病気がちであり、今のうちに税金の負担が少なくなるように処理しておきたいです。
未払計上している分を少額でも返金しておくべきなのか?
相続のことを考えて預貯金から一気に返せるだけ返済しておいたらよいのか?
どのように処理してよいのか、教えていただけたら助かります。
※夫の名義で所有している資産は、自宅の土地、建物とビル1棟の土地です。
ご返答よろしくお願いします。
税理士の回答
法人の御主人に対する借入金・未払家賃は相続財産として将来、相続税の課税財産となります。できれば法人に法人税が余分に課税されますが、可能な範囲で法人に対して債務免除をして御主人の法人に対する債権を少しでも減少させることをお勧めします。
(法人の仕訳)
未払家賃 / 債務免除益 ⇒ 法人税課税対象
借入金 / 債務免除益 ⇒ 法人税課税対象
一気に返済してしまうとご主人の預金が増加してしまい、相続時の財産はあまり変わらないことになります。
また、ご主人から奥様や娘さんへ法人に対する貸付金・未収家賃を贈与税のかからない範囲(受贈者一人年間110万円)で毎年贈与(債権者の名義変更)をしていくのもひとつの方法です。
ご返答ありがとうございます。
未払家賃ですが、夫の確定申告で、
家賃収入として180万、毎年年金受給額とあわせて申告しています。
以前に頼んでいた税理士から教えられた通りしていたのですが、なぜ未払分も確定申告額に計上するのか?わかっていませんでした。
その場合は既に夫への地代家賃分は申告されており、未払家賃を返済しても夫自身の所得税には影響しないという理解で良いですか?
4月決算です。
債務免除の仕組みをあまり理解しておりませんので、今後どのように進めたらよいかと
思っていたところです。
債務免除分は利益として
法人課税されること、教えていただきありがとうございます。
債務免除は一気にしておくのか?どのようにしたら良いのでしょうか?
期末でなくても大丈夫ですか?
最後に、贈与しておく、とは決算期末に
未払費用/地代家賃 110 夫
地代家賃/未払費用 110 自分と娘
に振替しておくということですか?
質問が多くなってしまい、お手数おかけします。教えて頂けたら助かります。
よろしくお願いします。
会社(法人)から個人へ家賃を支払うということは費用(会社)収入(個人)の関係が発生し、これが未決済の場合は同時に債務(会社)債権(個人)の関係が発生します。よって、会社が個人に債務を弁済すれば債権・債務の関係は消滅します。所得税は収入-費用=所得に対して課税されるので、債権・債務の異動には影響しません。
債務免除益は決算期末での合計額で損益計算書に表現されるので事業年度のどの時点で計上しても結構ですが、相続開始日の属する事業年度では、相続開始日以前に計上しなければなりません。
法人の借入金・未払家賃を奥様や子供さんに贈与しても法人の計上額合計は変更ありません。仮に330万円の御主人への未払家賃があったとすれば、(借方)支払家賃 330万円 (貸方)未払家賃(御主人) 330万円 としているはずです。未払家賃を奥様と子供さん2名に贈与すると、
(借)未払家賃(御主人)330万円(貸)未払家賃(奥様)110万円
未払家賃(子A)110万円
未払家賃(子B)110万円
となり、法人の未払家賃合計額は変更がありません。同時に御主人に対する未払家賃は0円となります。
ただし、相続税では相続開始前3年間の贈与額は相続財産額に加算されることを申し沿えます。
本投稿は、2022年04月08日 16時49分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。