小規模宅地の特例を適用すべきかの判断
7月6日に「小規模宅地の特例適用(2割評価)に関して」で相談させて頂いた者ですが、
よくよく考えたらこの特例を使用しない方がよい場合もあるのでは?と感じた為
相談させて下さい。
<状況>
・両親(80歳過ぎ)
・私(40代,別居/別生計の長男,妻子持ち)
・両親の自宅は関東圏にあり、固定資産税納税通知書より評価額は土地+建物で1600万円ほど
・基礎控除額を超える相続資産があり、納税額を抑えたい状況
(母は配偶者控除で納税0円になりますが、総相続資産で私に相続納税が課せられる)
・父が他界した場合、自宅は母への相続を予定しています。
(私長男は他県で家を持ち生活している為)
<相談> 小規模宅地の特例を適用すべきかの判断
特例(2割評価)を使用しないと、特例を使用した場合と比べて母への相続資産は多くなって、
母への相続納税の課税比率が大きくなり、私(長男)が相続する資産に掛かる比率が少なくなり、
私の納税額が少なくなります。(私への相続資産額が同じ場合)
-イメージ-
・資産分割比率が、特例適用時は 母55%/私45%となり(仮設定)、相続税額は母が0円、私が45%分となるが、
特例を適用しない場合は、母への相続資産が増えるので母70%/私30%となり(仮)、相続税額は母が0円、私が30%分ですむ
このような計算結果になる場合は、総資産額にもよるとは思いますが、
特例(2割評価)を使用しない方が私の納税金額が少なくなる場合もあると考えます。
小規模宅地等の特例(2割評価)を使用せず、母への相続比率を上げておく
という対策の考え方はあっていますでしょうか?
以上、宜しくお願い致します。
税理士の回答
小規模宅地等の特例(2割評価)を使用せず、母への相続比率を上げておく
という対策の考え方はあっていますでしょうか?
その宅地をお母さまが相続させるという前提では、小規模宅地等の特例を使用しない方が節税になるというケースはまず考えられません。
なぜならば、小規模宅地等の特例は相続人全員の相続財産の評価を押し下げる効果を持つためです。
例えば以下の財産構成の場合ですと、小規模宅地等の特例を使用しない場合はこのようなイメージになります。
現預金 3,000万円
宅地 1,000万円
建物 600万円
(合計) 4,600万円
(基礎控除) 4,200万円
(課税遺産) 400万円
(概算税率10%) 40万円
(配偶者軽減)▲20万円
(納付税額) 20万円
一方、小規模宅地等の特例を使用した場合はこのようなイメージになり、そもそも納付税額がないことになります。
現預金 3,000万円
宅地 200万円 ※小規模特例による2割評価
建物 600万円
(合計) 3,800万円 ※
(基礎控除) 4,200万円
(課税遺産) -万円
(概算税率10%) -万円
(納付税額) -万円
以上は極端な例ですが、基本的には同じような効果が期待できます。
ここで、一点注意していただきたいのは、小規模宅地等の特例は「相続税の期限内申告を適用要件としている」ため、
結果として税額がゼロになる場合でも、申告が必要になるという点です。
また、話は少し変わりますが、ご質問者様がいわゆる一人っ子にあたるようでしたら、ご質問者様の奥様かご子息様をご両親の養子とすることも有効な手段かと思われます。
法定相続人が1人増えることにより基礎控除が600万円増加しますので、これにより相続税がかからなくなる方も多いです。
ご兄弟が複数いる場合には家族間の調整が非常に難しくおすすめできませんが、一人っ子であればそのような煩わしさもないので、大変有効な手段と考えられます。
以上、簡単ですがご回答申し上げます。
この度はご丁寧な回答ありがとうございました。
またお礼が遅くなり申し訳ございません。
相談した際に、私がどう計算したのか覚えていないのですが、
改めて回答内容を見させて頂き納得出来ました。
せっかくの特例なので活用したいと思います。
また養子による法定相続人増加の提案もありがとうございます。
親族で相談してみようと思います。
本投稿は、2015年07月07日 21時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。