小規模企業共済の相続について
現在夫婦で自営業(個人事業主)をしております。数年前から小規模企業共済を本人と妻(共同経営者として)の名義で毎月7万円×2名分掛けています。
60歳を過ぎてから廃業をして退職所得控除が使える額を一括で受取り、残りは15年の分割で受け取る予定でいます。
分割で受取中に相続が発生した場合について悩んでおります。
私どもは子供のいない夫婦で、
夫は両親は亡くなっていて、兄(既婚で子供がいない)がいます。
妻は両親は亡くなっていて、妹(既婚で子供が一人)がいます。
どちらかが先に亡くなった時は配偶者が分割中の残りを受け取るので問題はないのですが、その後にどちらが亡くなるかによってわからないことがあります。
妻が後に亡くなった場合には妹もしくは姪が相続するので問題はありません。
夫が後に亡くなった場合にはその時点で生きていれば兄、もし兄が亡くなっていると相続権は消滅するのででしょうか?たとえば遺言書などで義理の姪を指名することなどはできないでしょうか?
夫が残った場合には分割中の共済金を繰上げて受取ることも考えましたが、中小企業基盤整備機構のサイトを見たところこのような条件があるので可能かどうかわかりません。
1、受給者が死亡した場合
2、受給者が重度の障害、災害を受けた場合(※1)
(※1)分割受取り開始後、障害等級が1級または2級となった場合、災害については住宅が半壊・半焼以上の被害を受けたこと等相当程度の被害を受けた場合に限られます。
もし繰上げ受給が可能だった場合に、繰上げて一括で受け取った場合には税金としては一時所得が雑所得どちらに該当するのでしょうか?
長くなりましたが知りたいことは二点で、相続人がいない場合の相続権についてと、分割から繰上げて一括で受け取った場合の所得税についてです。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

石割由紀人
相続人がいない場合の対応:夫が最後に亡くなった場合、兄が既に亡くなっていると相続権は消滅します。ただし、遺言書で義理の姪を受取人に指定することが可能です(ただし法定相続人でないため遺留分はありません)。遺言書の作成をおすすめします。
繰上げ一括受取時の課税:分割受取りを繰上げて一括受取した場合の共済金は「一時所得」に分類されます。一時所得の課税計算に基づき、50万円の特別控除とその半分が総所得に合算されます。税負担を減らすための分割継続も検討してください。
ありがとうございます。
分割受給中の共済金を繰上げ一括受給するの場合の所得税についてはよくわかりました。
全体的な財産については現在のところ法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して夫婦お互いに全てを相続させるとの遺言書を作成済です。
60歳ぐらいを目処に現在の遺言書から、本人死亡時にすでに配偶者が死亡していた場合には姪(義理の姪)を相続人に指名する形に書き換えようかうかと思っています。兄や義妹にはあらかじめその旨を相談はしておくつもりです。
小規模企業共済を分割で受給中に夫が後に亡くなった場合は共済金は相続財産ではないので法定相続人がいないという判定で、共済金については相続権消滅なりますでしょうか?
(まだかなり先のことになりますし、夫婦ともに死亡した後のことはまあ気にしてもしょうがない…という気もしますが…)

石割由紀人
小規模企業共済の分割受給中に夫が後に亡くなった場合、その時点で法定相続人がいない場合は、共済金は相続財産ではなく、受給権が消滅します。共済金は受取人(配偶者や法定相続人)が確定していない場合、基本的に中小企業基盤整備機構に帰属します。
1. 共済金の性質
小規模企業共済の分割受給中の金額は、死亡時点での相続人が共済金の受給権を引き継ぐ形になります。法定相続人がいない場合、共済金の受給権は自動的に消滅します。このため、法定相続人がいない場合には、遺言書での指定は共済金の受給権に直接影響を与えません。
2. 遺言書の活用
現時点で自筆証書遺言を作成されているとのことですが、将来的に兄や義妹に相談した上で、遺言書に姪や義理の姪を包括受遺者(遺言で指定された財産の受取人)として指定することは有効です。ただし、小規模企業共済の分割金については、前述の通り遺言での指定が受給権に直接影響するわけではない点に留意してください。
3. 夫婦死亡後の心構え
ご自身がおっしゃる通り、夫婦ともに死亡した後のことを深く気にしすぎる必要はありませんが、遺言書の定期的な見直しと明確な意思表示をしておくことで、財産の承継をスムーズに進めることが可能です。特に姪に相続を希望する場合は、その旨を遺言書にしっかり記載しておくことをお勧めします。
本投稿は、2025年01月02日 21時15分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。