貸付事業用宅地の事業継承要件について
被相続人は貸家と、その土地190㎡を所有し、借家人が継続して居住中に相続が発生しました。被相続人は他に特例対象となる土地は有所有していません。
土地を子が相続。貸家は子と配偶者で持分1/2で共有相続とする場合の相談です。貸家事業は子と配偶者で共同して継続します。貸家の共有相続の目的は所得分散です。土地を子が単独相続するのは二次相続の対策です。
子が相続する土地は
①貸付事業用宅地として190㎡に対して50%の減額が可能ですか?
それとも
②子は被相続人の貸付事業を1/2(貸家相続割合分)しか継承していないと判断され95㎡に対してしか適用が認められませんか?
もしくは
③事業継承とは認められず、全く適用が不可ですか?
もし、②である場合は子が配偶者に土地を相当の対価で賃貸すれば貸付事業100%継承となりますか?(190㎡に対して減額適用できますか?)なお、子と配偶者は別生計です。
お手数ですが宜しくお願い致します。
税理士の回答
貸付事業用宅地に関する小規模宅地の特例の適用要件には、「その宅地を相続した親族が、被相続人の貸付事業を引き継ぎ、かつ申告期限まではその貸付事業の用に供していること」といった内容のものがあります。
しかしご質問の場合には、子は相続した土地のうち、2分の1しか貸付事業に供さないことになります。したがって配偶者が相続した残りの部分は、宅地を相続した親族が貸付事業を引き継いでいないこととなり、この部分は小規模宅地の特例の適用はありません。ただし子の相続した建物の持分2分の1に見合う宅地は、当然にこの特例の対象となります。
また「②である場合には」のご質問に関しては、配偶者への土地の有償賃貸は、被相続人の賃貸事業を引き継いでいないと考えられ、適用は難しいように思います。何より、これは借地権(建物所有を目的とする土地の賃貸借の権利)が発生すると考えられるため、多額の贈与税が課される余地がありお勧めできません。
したがって、仮に小規模宅地の特例を100%受け、さらに貸家共有による所得分散を考えるのであれば、いったんは建物のすべてを子が相続し、申告期限を過ぎた後に、建物の2分の1の所有権を母に移すことが現実的であろうかと思います。具体的には、建物の固定資産税評価額や母の所有金融資産等を考えた上での(さらには所得税の節税効果とのバランスも)、贈与または売買です(複数年の贈与を行う可能性も)。
分かり易く説明して頂き有り難う御座いました。良く理解できました。
本投稿は、2017年05月27日 20時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。