相続税の未分割申告の作成について。
伯母(被相続人)が亡くなり、相続人の1人になりました。伯母(被相続人)は配偶者・子供なし。父母(私の祖父母)も他界。妹(私の母)、弟(私の叔父)も他界しています。被相続人の妹(私の母)の子供(私A,弟B)、被相続人の弟の子供(C,D,E)の5人が代襲相続人となります。
相続人Cが知り合いの税理士に依頼したのですが、遺産分割協議が2(AB)対3(CDE)で分かれてまとまらず、申告期限も迫っていることから、未分割申告する事になりました。
依頼している税理士からは、当初聞いていた遺産額と異なる点、相続人同士が揉めているので2つに分けるので、手間がかかるから、と報酬額の増額を提示されました。
各々相続人が別々に申告するのなら、それぞれが提出した申告額が異なる事態も考えられますが、1人の税理士が同一案件で2つ(2組?2種類?)申告書を作成する事などあるのでしょうか。
その場合、依頼者はCなので、CDEの3人に有利な申告書を作成するのでは?と不安です。
税理士の回答

未分割であっても遺産の内容に関して相続人全員が納得しているのであれば、2つのグレープに分けて別々に申告書を作成する必要はなく、相続人全員が連名で一つの申告書を作成することが可能です。
仮に、ABさんが、Cさんが依頼した税理士には頼みたくないと言われば、税理士はCDEさん3人分のみの申告書を作成することになると思います。その場合にはABさんは独自に申告書を作成するか、別の税理士に依頼することが必要になって参ります。
未分割で申告するということは、法定相続割合での申告なので、CDEの3人に有利な申告をするということは考えられません。また、相続人全員(ABCDE)の連名で申告しますので、一つの案件で2つの申告書を作成することは考えられません。
ご相談者様の懸念が払拭するためには、税理士に申告前に納得いくまで説明を受けること、それでも不安が残る場合には他の税理士に申告内容をチェックしてもらうことも必要になるかもしれません。

相続税の申告期限までに、分割協議が決定しない場合には、一旦、相続人が法定相続分を均等に分割したと仮定して計算して相続税を支払います。その後、正式に分割協議が決定したら、あらためて修正申告をします(還付の場合は更正の請求)ので、そういう意味で2回かと思います
ご回答ありがとうございます。
資産は預貯金と株のみで、不動産はないので、資産額に関しては概ね納得して(いたつもり)です。
ただ、叔父が管理していた時の高額の使途不明金や、伯母の死亡保険金などの説明がなく、問い合わせても明言を避けているように感じて、内容が異なる申告書を、同じ税理士が作成する事があるのか、先生方にご質問した次第です。
1人の税理士が、未分割申告の同一案件で申告書を作成する場合、連名で1つの申告書を作成するので資産額や内容は同じ、という事ですね。
但し、相続人が各々で申告書を作成(別々の税理士に依頼)する場合は、複数の申告書が提出されることになり、資産額や内容が異なればその分税務調査の対象になる確率が高くなる、といったところでしょうか。
その税理士に、「『未分割申告の修正申告なし』という方法で申告するとしたら、A,Bさん達は更に納税額が増えます」とも言われました。
そもそも分割協議がそのまま法定相続分でまとまるかもわからないのに、何故さらに納税額が上乗せされるのか、も理解出来ず、困惑しています。

ご連絡ありがとうございます。
一つの相続事案に関して同じ税理士が異なる申告書を作成するということはありません。
また、一人の税理士が未分割の相続申告をする場合には、相続人全員が同意すれば通常は連名で一つの申告書を作成しますが、例えば相続人が遠方に住んでいるとか様々な理由から申告内容は同一でも各自で申告するというケースもあります。
本来、相続税の申告書は、各相続人がそれぞれの納税地に申告することが原則となっており(相続税法27条1項)、同じ税務署に申告する人が複数いる場合には共同で申告することができる(相続税法27条5項)という仕組みになっています。そして、相続税法付則で、当分の間は被相続人の死亡時の住所地を納税地とするとされているため、現在のような申告方法になっています。別々に申告することは本来の申告方法ですので実務でもあり得る方法です。
しかし、現実問題としては、別々に申告するとしても被相続人の全財産を正確に把握しなければ正しい計算はできませんし、それぞれが違った内容で申告するようなことになれば税務署としては財産確定のために税務調査に入らざるを得ない状況になります。
現在依頼されている税理士がどのような意図で仰ったのかは分かりませんが、相続人からの質問や疑問に対しては真摯に対応すべきと思います。
服部先生
ご丁寧に教えて頂き本当にありがとうございます。1つの相続事案であっても、税理士からすると依頼人は相手方(C)なので、不利益になりそうな事は教えてもらえていない気がして、不安で仕方ありませんでした。
再度、不明な点を問い合わせてみます。
藤本先生
わかりやすいご説明ありがとうございます。再度問い合わせてみる勇気が持てました。
猪野先生
「修正申告(更正請求)しなくて済む、相続人間で納税を調整する方法を取るかもしれません」と言われ、なんのことやら??といった状態です。これも再度理解出来るよう説明してもらうことにします。
お忙しい中、詳しく教えて頂きましたこと、心より感謝いたします。ありがとうございました。
本投稿は、2018年10月19日 23時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。