相続税対策としての自社株買いの税務
相続税対策として自社株買いを行うことを検討しています。
状況は下記のとおりです。
甲と乙は親子(甲が親、乙が子)で、A社の株式を50%ずつ保有しています。
A社の資本金は1,000万円で、甲乙の保有株式の簿価はそれぞれ500万円ずつです。
創業50年目のA社の株式価値を時価評価すると、10億円となりました。
甲から乙へ相続や贈与を行うと、相続税や贈与税の現金支出が大きいため、自社株買いを行うことを検討しました。
具体的には、A社が、甲の保有する株式を総額500万円で買い取り自社株化し、消却します。
結果として、乙がA社の100%株主となります。
上記の方法で自社株買いを行った場合、甲、乙、A社それぞれにどのような課税関係が生じるでしょうか?
甲については、時価の2分の1未満の金額でA社に株式を売却するので、時価で売却したものとみなして譲渡益課税が発生するものと思います。
乙、A社についてはどうなるのでしょうか?
税理士の回答
5億円の株式を500万円で譲渡することになり、著しく低額での譲渡に該当し、乙の保有株式の株価が上昇しますので、甲から乙に対してのみなし贈与の規定が適用されると思います。
厳密に計算しないとわかりませんが、ご記載の文面から単純計算で4億9,500万円が甲から乙に贈与されたものとして、乙に贈与税が掛かります。
A社については、譲渡価格に関わらず自社株買いは資本等取引になりますので課税は生じません。
また、税務上は会計上と違い自己株式を認識しませんので、消却しても課税は生じません。
株価が高いので、事業承継税制の活用も含めて直接税理士に相談された方がよろしいかと思います。
ご回答いただきまして有難うございます。
非常によく分かりました。
そうすると、みなし贈与によって乙にとっては理論的には全株式贈与で受け取った場合と大きく変わらない贈与税が掛かってしまいそうですね。
事業承継税制は要件が多く将来にわたって制約が出てしまうので出来るだけ避けたいと思っておりましたが、改めて税理士の先生に相談したいと思います。
どうも有り難うございました。
本投稿は、2020年09月03日 21時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。