書面添付制度の利用における税理士とのトラブル
相続税の申告を税理士に依頼したのですが、書面添付込で報酬の支払いをしたにも関わらず、実際には書面添付がされていなかったことを税務調査が入ってから知りました。
書面添付は有料オプションとなっています。
問い合わせをした所、申告書の最終作成時に税理士判断で書面添付しないことを決めたと回答がありました。
税理士からの報告忘れや見解の相違で済まされましたが、納得がいきません。
税理士判断で書面添付せず、契約主に通知もしないというのは一般的なのでしょうか。業務上問題ではないのでしょうか。
対応が適切でない場合、税理士事務所か税理士会への苦情申し立てを考えています。
税理士の回答

小川真文
他の税理士の方の個別業務ですので意見は差し控えさせて頂きますが、一般論として参考にしてください。
書面添付制度の趣旨は、税理士が申告書の作成に関してどの程度内容を調査し責任を持って作成したものであるかについて、その責任の程度を明らかにする書面を添付することにより税務に関する職業専門家である税理士が責任をもって計算し整理し又は相談に応じた事項については税務行政庁もこれを尊重することとなり、ひいては税務行政の円滑化と簡素化に資するものであるとされています。
書面添付制度は、税理士が税務に関する職業専門家として独自の判断で作成し、申告書に添付する書面です。しかし、その内容の結果は依頼者の利益に直接反映されることになりますから添付書面を作成し添付することについて依頼者との意志疎通が十分に図られていないと依頼者との間でトラブルを招く可能性もあることに注意しなければなりません。
なお書面添付制度は、すべての依頼者に対して添付することが予定されているものではなく、あくまで、その申告の内容に対して、税理士として自信を持って添付書面を作成できる場合に限って、添付されるべきものであります。書面添付制度は、税務書類の作成や税務相談に関連して作成する書類ではありますが、添付した後の効果を考えると、税務代理に関連して税理士が独自に作成する書面として捉えることができます。(税理士連合会資料より)
税理士は顧問先のために責任を持って添付書面を作成します。また添付書面への虚偽記載は税理士法第46条に該当し、懲戒処分の対象となるため、責任を持つためには顧問先からの適正な資料と帳簿の開示が必要です。適正な決算書および申告書を作成するためには税理士とのコミュニケーションを心がけていただく必要があると考えます。
「報酬の支払いをしたにも関わらず…書面添付がされていなかった」「書面添付は有料オプション」というお話であれば債務不履行等の問題がありますし、「税理士判断で書面添付せず、契約主に通知もしない」というのも不誠実であり道義上の責任が問われるものと思います。再度相手の税理士の方ときちんと話し合い、問題点の解決や今後の方向性等について確認されることをお勧めします。
本投稿は、2023年07月28日 03時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。