税務調査対応を録音・録画する権利は?(調査対応の実務ご経験のある先生にお尋ね致します)。
国税不服審判の判例を読みますと、調査官に暴言や圧迫尋問をされたという
申し立てがある一方、原処分庁(当局)はそのような事実はないと反論する
例が見られます。当事者のメモも証拠の一つとはいえ、相手の否認を覆すに
は至らないのもうなずけます。確たる証拠がなければ水掛け論に終始するのも
自明です。
そこで質問ですが、調査対応において、調査官の言動の記録ではなく自らの
対応言動の記録(あるいは双方のための記録)を主たる目的として
①対応中、相手ではなく、自らを録画する。
②やり取りの音声を録音する。
を行う権利は質問対応する個人にはないのでしょうか?
録音する旨を調査官に事前に伝えると難色を示し、録音を止めなければ
帰ると言われた、という記事を読んだことがありますが、その場合、
調査官が帰ってしまうと、調査対象者が罰せられるのでしょうか?
税理士の回答
税務調査の録画や録音を調査官は嫌います。それは、録画や録音のデータが調査関係者以外の部外者に漏れ伝わる可能性が絶対にないとは言えないため、守秘義務の観点から録画や録画された状態では調査を行うことは、まずないと思います。
かつて、録音させなければ書類を出さないと言い張って調査に協力しなかった納税者が、その後、青色申告を取り消されて裁判になった事例がありました。裁判所は税務署の処分が正しいという判断を下しています。理由は、合理的な理由なく帳簿等の提示を拒否したためとされています。
どうしても録音したい場合の実務的な対応としては内緒で録音するという方法になります。
内緒で録音しても、それが自分が答弁する内容の録音であれば違法(盗聴)ではありません。また、内緒の録音でも裁判の証拠としては有効とされています。
服部先生のご回答はいつも丁寧で、非常に分かりやすく助かります。
ありがとうございます!
今後も、当方の質問にぜひ先生からご回答頂きたく、よろしくお願い申し上げます。
本投稿は、2018年05月16日 15時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。