有限会社を設立し20年間放置した場合の法人税についての質問です。
平成12年に有限会社を設立し、2年ほど事業を行いましたが、売上が出ず、2年で事業を止めました。
当然、その後売上も経費もありません。
そして会社の借入や債務もなにもありません。
また、法人を復帰させる予定もありません。
そして、休眠手続きも取らずに、今まで(約20年間)完全に放置しています。
会社の清算や休眠手続きをしていない場合、この20年間の基礎法人税は代表の私に課せられるのでしょうか?
課せられ場合の金額はどれほどになるのでしょうか?
また、私は高齢で私が死去した場合、相続人に未納法人税は相続されるのでしょうか?
ご回答、よろしくお願いします。
税理士の回答

新木淳彦
こんにちは。
有限会社を20年間放置し、その間収入は何もなかったという前提で私の見解を記載します。
まず、有限会社の場合、申告するべき諸官庁は本店所在地を管轄する税務署・都道府県・市町村となります。
まず、税務署ですが、20年間もの間に税務署から何も問い合わせがなかったことからすると、税務署の未申告リストから削除されている可能性が高いです。
同様に都道府県や市町村につきましてもその可能性が高いと思われます。都道府県や市町村では、未申告会社に対しまして、実態調査を行います。その手法は、登記された本店所在地に行き、有限会社の看板があるとかないとかを確認したり、有限会社の登記簿謄本により、役員登記されている者を特定し、実態確認をいたします。
未申告となった当初は、本店所在地のある市町村の法人住民税課より問い合わせがあったのではないでしょうか。
そもそも、税務署は法人所得が発生しない限り課税出来ないので、収入も経費もないとの事ですから、法人税が課税されることはないでしょう。ただし、今後において有限会社の資産を売却したとなるとその時は課税される可能性はあります。
次に、法人県民税と法人市民税ですが、収入・経費がなくても、そこに法人が存在するだけで、均等割というものが発生しております。
この均等割は法人の資本金棟により金額が変わりますが、ここでは省略させていただきます。
つまり、事業をしているしていないにかかわらず均等割を納付しなければならないわけですが、地方自治体としてこれを放置することはありません。それにもかかわらず、何も言ってこない、あるいは何の接触もないということになりますと、都道府県・市町村において、自治体協議の結果、有限会社につきまして法人記録簿から抹消されている可能性が高いということになります。
逆をいえば、抹消されていなければ、何らかの接触があるはずです。
このようなことから、ご貴殿に過去の均等割りを課してくる可能性はほとんどないと思って差し支えないでしょう。
また、ご貴殿の相続人に課される心配もないと思われます。
なお、有限会社の登記は法務局になります。法務局では清算結了の登記がなされるか、特例有限会社法の廃止がなされない限り有限会社は登記上残っていることになると思います。
ただし、当初に書きましたように私の私見でありますので、そこはご了承ください。
丁寧なご返信ありがとうございます。
重ねて質問ですが、新木様の見解通りということを確認するには、法務局に問い合わせをし、清算の結了もしくは、特例有限会社法の廃止になっているか、を確認すれば良いでしょうか?
大変恐縮ですが、ご返信よろしくお願い致します。

新木淳彦
こんにちは。
誤解を招いたようで申し訳ありません。
法務局には、清算結了登記をした記憶がなければ確実に有限会社として存在していると思われます。
現在において、特例有限会社法とは、正式には会社法の改正に伴う関係法律の整備等に関する法律の事を意味しておりまして、この法律の中に記載されており、現在も廃止されておりません。
従いまして、ご主人が清算結了の手続きをした記憶がなければ、確実に存在していると思います。
ただ、法務局では有限会社の存在が残っていても、都道府県・市町村においては記録が取り消されている可能性が高いと思われます。
その理由として、有限会社の本店所在地を管轄する自治体から問い合わせ等が一切ないことが、それを裏付けていると思われます。
都道府県・市町村において記録が取り消されていれば、課税台帳そのものが不存在となりますので、課税は出来ないと思われます。
もし当初質問の税金について確認するとすれば、本店所在地の市町村において有限会社の課税台帳が存在するかどうかを確認することだと思います。ただし、眠っている子を起こすことも考えられないではないとおもいますので、慎重に判断をして下さい。
現在において、納税通知書が届かないのであれば、そのまま放置でも構わないと私は思います。
仮に法務局で確認するとすれば、有限会社の正式名称と本店所在地から登記簿謄本が取得できます。謄本が出てくれば、法務局では有限会社が法的に存在していることになります。
最終的に、法務局の有限会社の存在も消したいということであれば、司法書士に依頼して清算結了してもらうのもありかもしれません。
内容理解致しました。
丁寧なご返信ありがとうございます。
重ねて質問をお願いします。
事業閉鎖後の20年前に、引っ越しをしており、自宅住所も変更になっていますが、法人の納税通知書は届くものなのでしょうか?
(住民票は変更しているので、個人の住民税の納付書は届いており、支払いをしていました)
また、20年の期間で、納税義務の時効は適用されるのでしょう?
重ね重ね大変恐縮です。
ご回答よろしくお願い致します。

新木淳彦
市町村をまたいで住民票を移動したと仮定して記載します。
まず整理しておきますが、住民票は移動したけど、法務局の有限会社の役員住所欄の移動はしていないということで理解します。
有限会社の本店所在地を所轄する市町村では、法人市民税の申告及び納税がなされないと、実態調査に入ることは理解できたと思います。
その実態調査では、法人の営業実態を確認できるかどうかで、仮に確認できない場合、法務局より登記簿謄本を取り寄せ、役員に対して聞き取り調査を実施します。この時、登記簿謄本の役員欄に記載された氏名・住所を基に役員の所在を特定します。
そこで、法務局の登記簿謄本は旧住所のままであった場合でも、市区町村の住民票履歴より現在住所を特定できるので、そこから書面で通知が届くはずです。
私の感覚からすると、市区町村から現在に至るまで何も請求がないということは、すでに記録が抹消されているのではないかと思われ、今後においても納税に関する請求は発生してこないのではないかと思います。
なお、法人市県民税の関係は地方税法を根拠に、各市町村が条例で定めており、その条例を根拠に無申告である場合は賦課決定を行います。当然地方税法という法律と市区町村条例では、申告と納税に関する時効も定められております。
法人の本店所在地を所轄する市区町村の市税条例はインターネットで公開されていると思いますので、気になるようでしたらお調べになると分かると思います。
なお、法務局の登記簿につきましては、本来でしたら役員の住所移転したときに変更するべきであり、この手続きが未完了ですと、懈怠事件として取り扱われます。具体的には会社清算・結了登記等で有限会社の登記簿をいじる時に旧役員の住所が変更されていないことが判明すると、所轄裁判所より懈怠事件に対する罰金が賦課されますのでご注意ください。法務局の住所移転につきましては基本的に時効はないようです。従って、20年前に住所移転の登記をするべきであったものをここですると、完全に懈怠事件として取り扱われ罰金が発生します。なお、罰金の金額につきましては私は解りませんが、数万円ではないかと思われますが、これについては全く自信がありません。
重ね重ね丁寧なご回答ありがとうございます。
知りたい内容が全て理解出来ました。
この度は本当にありがとうございました。

新木淳彦
解決につながる、あるいは考え方の整理がつくのであればよかったです。また、何かありましたら、税理士ドットコムに相談してみて下さい。
本投稿は、2021年04月22日 23時39分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。