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会社が他の会社に配当した時の源泉税

当社は資本金が1,000万円の9月決算法人で持株割合は父が経営している会社から70%、叔父が経営している会社から30%出資してもらっています。
当期(第15期)においてかなり利益が上がったため2つの会社に配当を行う予定です。
コロナ前に配当した時はそれぞれ20.42%の源泉税を差引いた金額を支払い差引いた源泉税は納付してました。
今回も同様に支払う予定でしたがネットで調べたところ令和5年から源泉税を差し引く必要がなくなっていると記載されている記事がありました。
持株割合が3分の1以上の場合と書いてありますので父の会社には源泉税を差し引かずに支払い、叔父の会社には源泉税を差し引いて支払い、差引いた叔父の会社分のみの源泉税を納付するということでよろしいのでしょうか?
今回高額の配当を予定しており以前源泉税を少し遅れただけでかなり罰金を支払った思いがあり心配してます。
ご回答よろしくお願いいたします。

税理士の回答

ご質問の内容は非常に誤解されやすい論点なので、順番に整理してお伝えします。
まず結論ですが、
今回の配当については、父の会社(70%)も叔父の会社(30%)も、どちらも源泉徴収なしで支払うのが正しい取扱いです。

理由を解説します。
① 令和5年税制改正で「法人が受ける配当」の源泉徴収ルールが変更
令和5年10月1日以降、法人が受け取る配当金について、上場・非上場に関わらず源泉徴収が廃止されました。
これにより、非上場会社(あなたの会社)が他の法人へ配当金を支払う場合も、原則として源泉徴収不要となりました。
②「持株割合3分の1以上」ルールは“過去の制度”
ご質問の「持株割合3分の1以上なら源泉徴収が不要」というのは、改正前(R5改正前)の旧ルールです。
旧制度では、
3分の1超 → 源泉徴収なし
3分の1以下 → 源泉徴収あり(20.42%)
という扱いでしたが、令和5年改正でこの区分自体が廃止されました。

③ よって、今回のケースは…
父の会社(70%保有)
叔父の会社(30%保有)
いずれも 法人=源泉徴収不要
したがって、
「父の会社は源泉なし、叔父の会社は源泉あり」
という区分けは 現在の制度では誤りになります。

両方とも源泉徴収なしでOKです。

④ 実務の注意点
受取側が法人であることが分かる資料は保存しておく
(登記簿・株主名簿など。税務調査で確認される可能性があります)
配当確定の株主総会議事録
支払調書は不要(二重課税対策のため法人配当は提出不要)
※なお、配当を受ける側の法人では「受取配当金の益金不算入」の判定がありますので、先方の税理士が計算します。

⑤ 最後に
「以前、源泉税の納付遅れで罰金を払った経験がある」
→ 今回の配当については そもそも源泉徴収義務がありません。
したがって、納付遅れのリスクもありません。

【結論】
令和5年10月以降、法人に対する配当は一律で源泉徴収不要
持株割合3分の1ルールは過去制度
よって 父の会社70%も、叔父の会社30%も源泉徴収なしが正しい
安心して配当処理を進めて大丈夫です。

詳しい解説ありがとうございます。
ネットで調べると必ず令和5年10月から完全子会社と3分の1以上を持っている会社に対しては源泉税が不要になるとしか書いておらず全ての会社に支払う配当について源泉税が不要となると記載されている資料がありません。
何か本などに記載されているのでしょうか。

ご質問ありがとうございます。
結論からお伝えすると、今回の「法人への配当が源泉不要になる制度」は、所得税法181条には書かれていません。

理由は、
この制度は所得税法本体ではなく、“令和5年税制改正の附則(追加規定)で導入されたもの”だからです。
そのため、181条だけを読んでも該当箇所は確認できません。

国税庁が公開している
「源泉所得税の改正のあらまし(令和5年4月)」
は、この附則の内容を一般向けに分かりやすく整理した一次情報であり、実務ではこの資料を根拠として確認します。

お手元の検索で
「源泉所得税の改正のあらまし 令和5年4月」
と検索していただくと、国税庁のPDFが確認できますので、そちらが最も正確かつ分かりやすい資料となります。

良波先生
資料のご案内ありがとうございました。
3ページ目の内容になると思いますが「次に揚げるものについて源泉徴収を行わない」と書いてあります。
その下に(1)(2)が書かれていて(1)が全部持っている場合で(2)が3分の1超を持っているということではないでしょうか。
そうすると3分の1以下の場合は源泉徴収が必要なのかと思っておりました。
私がネットで調べた内容はこの事かと思い父の会社では源泉しないで叔父の会社では源泉するのではないかと思っておりました。
たびたびの質問で申し訳ありませんがよくわからないのでよろしくお願いいたします。

良波先生
資料のご案内ありがとうございました。
3ページ目の内容になると思いますが「次に揚げるものについて源泉徴収を行わない」と書いてあります。
その下に(1)(2)が書かれていて(1)が全部持っている場合で(2)が3分の1超を持っているということではないでしょうか。
そうすると3分の1以下の場合は源泉徴収が必要なのかと思っておりました。
私がネットで調べた内容はこの事かと思い父の会社では源泉しないで叔父の会社では源泉するのではないかと思っておりました。
たびたびの質問で申し訳ありませんがよくわからないのでよろしくお願いいたします。

ご質問いただきありがとうございます。
混乱されているポイントを先に整理すると、PDFの「(1)(2)」は
“源泉徴収しなくてよい対象株式の種類を説明したもの”であって、
『この2つ以外は源泉が必要』という意味ではありません。

この点が非常に誤解されやすいところです。

1. 結論(今回のケースがどうなるか)
令和5年10月以後に支払う法人への配当は、持株割合に関係なく“すべて源泉徴収不要”です。
したがって、
お父様の会社(70%)→ 源泉不要
叔父様の会社(30%)→ 源泉不要
どちらも同じ取り扱いです。

2. なぜPDFに“(1)全部持っている場合”“(2)3分の1超”と書いてあるのか?
これは次の説明をしています:
「法人税の受取配当金の扱い」
つまり “どの株式について益金不算入ができるか” の要件
(完全子法人株式等・関連法人株式等)
※ 受取配当金の益金不算入の説明で使われる分類です。
源泉徴収の要否を分類しているわけではありません。

3. 今回の改正(令和5年10月以後)の本質
今回の改正はシンプルに言うと:
「法人が受け取る配当については、そもそも所得税の源泉徴収を行わない」
(=法人への配当は全部源泉不要)
という“大きなルール変更”です。
つまり、
法人が配当を受ける → 全部源泉なし
個人が配当を受ける → 従来どおり源泉徴収(20.315%)
これが改正後の原則です。

4. 参考になる読み方(PDFが誤解を生む理由)
PDFでは、
最初に「法人配当は源泉徴収不要になりました」と書いてある
次に「(1)(2)」で“益金不算入の対象株式”の説明が続くため、
“(1)(2)以外は源泉が必要なのでは?”という誤読が非常に起きやすい構造
になっています。
ですが、源泉徴収の要否は 冒頭の一文だけで決まる 点が正しい理解です。

本投稿は、2025年11月15日 12時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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