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海外フリーランス。日本での税金支払と『租税条約に関する届け出』の提出は必要ですか?

はじめまして。私はアメリカ在住の日本人で、日本には非居住者です。
この度、日本の企業様よりコンテンツライターのフリーランスの仕事の依頼を受けました。
支払は報酬制です。今回お受けする仕事の内容では、著作権は発生しません。

税金は、アメリカ合衆国へ納めています。


【質問です】

1. 非居住者であれば、クライアントが源泉徴収をしたり、所得税を支払ったりする必要はないのでしょうか?

2.クライアントが源泉徴収をしたり、所得税を支払ったりする必要が無い場合、クライアントに提出する書類はありますか?
クライアントと話し合いだけで合意していれば、報酬は満額受け取っていいのでしょうか?

3.海外フリーランスの場合、『租税条約に関する届け出』を提出する必要があるようですが、それは毎年提出するのでしょうか?

4.居住証明書も毎年提出するのでしょうか?
居住証明書は、コピーでもいいのでしょうか?実物が必要でしょうか?

宜しくお願いします。

税理士の回答

回答します

 非居住者の所得のうち、日本での課税権があるものは「国内源泉所得」に限られています。
 第一に貴方のコンテンツライターによる「報酬」が、「国内源泉所得」に該当するか否かを判断する必要があります。

1 源泉徴収や所得税の納税が必要か
  給与のような報酬の場合は、日本での勤務が無い場合は課税の対象にはなりません。
  また、「著作権は無い」とのお話ですが、もしも、その報酬が「著作権の使用料」に該当する場合は、課税の対象となる可能性があります。一般的にはコンテンツライターの作成した記事などは、「著作物」であり、その対価は、著作権の使用料か譲渡に該当する可能性があると認識していますがいかかなのでしょうか。

2 クライアントに提出する書類
  ① 国内源泉所得に該当せず、日米租税条約上も課税の対象とならない報酬の場合は、特にありません。
  ② 著作権の使用料などの国内源泉所得に該当し、条約上減免になる所得の場合は
  「租税条約の届出書」正副2部、
  「特典条項に関する付表」2部、
  「居住者証明書」の提出が必要になります。

3 租税条約の届出書の提出の可否
  上記で説明した通り、貴方のうける報酬が国内源泉所得になるが、日米租税条約上減免になる場合は、租税条約の届出書等の提出が必要になります。
  その報酬の種類にもよりますが、アメリカの個人居住者の場合は、届出書の内容や契約などが変わらない限り、数年ごとの提出になります。
  なお、「著作権の使用料」場合は、5年ごとに提出する必要があります。
  ※ 租税条約の届出書の裏面 「11」を参考にしてください。
https://www.zeiri4.com/zeirishi/qa/q_57782/

  著作権の使用料の場合は、日米租税条約上「免税」となるため、租税条約の届出書等を支払日の前日までに、支払者を通じて所轄税務署に提出することで「免税」の措置がとられます。

4 居住者証明書も毎年提出するか。コピーか現物か
  提出はコピーでも良いですが、実物を支払者に提示し、確認をしてもらうことになります。
  ただし、「国内源泉所得」のうち日本に申告が必要なものは現物の添付が必要になります。ただし、今回のお尋ねの場合の提出の際にはコピーてよろしいかと思います。

 国税庁HPの参考になる資料を添付します。
「源泉所得税のあらまし(非居住者)」7枚目P270に一覧表があります。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2019/pdf/12.pdf
タックスアンサーNo2878「国内源泉所得の範囲」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm

  「租税条約の届出書(使用料)」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/252.pdf
 「特典条項に関する付表(米国)」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/266.pdf

ご丁寧な回答、本当にありがとうございます。
とてもわかりやすく、理解しやすかったです。
今回のポイントの著作権に関して、契約予定の日本の企業に確認してみます。

●すみません、米森税理士さんの回答を得て、もう1つ質問があります。


私ののうける報酬が『国内源泉所得になるが、日米租税条約上減免になる場合は、租税条約の届出書等の提出が必要になります。』とのことでしたが、

①この場合、企業からの支払いの前に、『租税条約の届け出』をする事で、源泉徴収や所得税を支払わず、私は満額の報酬を受け取っても、契約先の企業の税金(日本)に対してご迷惑をかけることはないでしょうか?


②著作権の発生するか否がが分からなかった場合、『租税条約の届け出』を提出しておけは、企業様も私も日本での源泉徴収に対してトラブルを回避できると考えていてよろしいでしょうか?

度重なる質問で恐縮ですが、
宜しくお願いします。

回答します

 ①に関しては、ご理解のとおりです。
 ②に関しては、「分からなかった場合」としても、届出書を出すことにより「著作権の使用料」だと、貴方(と企業)が認識したことになります。
 いずれにしても、トラブルが回避できる可能性は高いと考えられます。

 なお、先ほどの回答で、追加があります。
 「租税条約の届出書」に契約書等を添付する必要が実はあります。その場合、外国語で作成されている契約書などの時は「和訳文」を付けることになっています。

 ただし、契約書は・・・添付していない方も多くいらっしゃいました。(本来は必要ですが、契約書を作成していない場合もありました。)
 その場合であっても、調査(企業への源泉所得税の調査)の際には「和訳文」を付けてもらいなり、重要箇所については訳していただいたりしていました。

米森税理士様、
この度は重ね重ね詳しい回答をいただき、本当に助かりました。ものすごくわかりやすく、的確な回答に感謝しています。
これで安心して仕事できます。
本当にありがとうございました。

  少しでもお役に立てましたら幸いです。
  「租税条約の届出書」等は、報酬等の支払者を通じて提出するものなので、企業の方とよくお話をされてから手続きをされることをお勧めします。
  サインをした正副2部を作成され企業の方にお渡しください。
  税務署には正副2部提出しますが、1部は企業に戻されます。税務署の収受印が押されますので、そのコピーを頂くことをお勧めいたします。
  またIRSから「居住者証明書」を入手される際には、発行までに時間がかると聞いていますので、早めに手続きをされますようにお勧めします。

米森税理士様
最後まで手厚く、ご親切にご対応いただき、本当にありがとうございます。
私は、四苦八苦してようやく自分の質問の的を得て、そして、四苦八苦して税理士ドットコムさんにたどり着き、質問の場を与えていただきました。米森税理士さんは、迅速、且つ、的確に教えてくださり、私は自分の問題がサーッと解決していくのを見て、本当に驚いています。
今回は、本当に良い出会いをさせていただきました。
米森税理士さん、税理士ドットコムさんに心から感謝しています。

 税理士ドットコムさんでは、様々な得意分野をもつ税理士が登録しています。
 「みんなの税務相談」はこれらの税理士が学びも兼ねて無料(税理士ドットコムさまからも頂いていません)で回答しているため、場合によっては即日の回答が得られないこともあるかと思いますが、今回はお役に立てまた過分なお言葉を頂き光栄です。私の方こそ良い出会いを頂きありがとうございます。
 今後も何かご不明点がありましたら、「みんなの税務相談」にお問い合わせください

ご丁寧に返信をいただき、ありがとうございます。また、質問がありましたら問い合わせさせていただきます。

本投稿は、2020年10月06日 09時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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