源泉徴収について
来月から芸能の仕事を個人で始めようと思っています。
内容としては雇うではなくマネジメントしてその売り上げをタレントに支払うという形なのですが、
雇用していなくても芸能に関しては源泉徴収が必要と言われました。
その場合、源泉徴収の届出や申請書があるのでしょうか?どこで提出するなど期限等ありますか?
また、マネジメントするタレントに対しての報酬から10.21%差し引いた分はどこに支払えば良いのでしょうか?
法人ではなく個人事業主としての申請予定です。
(私はフリーで働いてますが、確定申告は青色申告ではなく白色申告で行っています)
税理士の回答

回答します
個人事業者の方は、給与の支払の有無により源泉徴収義務の有無及び届出書の提出時期が決まります。
① 開業時から給与の支払がる場合
芸能人への支払い時に源泉徴収を行い納付する必要があります。
そこで、届出書としては「個人事業の開業届出書」の下部に、給与の支払すべき人数等を記載し提出する必要があります。提出期限は、開業から1か月以内です。
芸能報酬にかかる源泉所得税は税務署に納めます。なお、納付書があれば金融機関で納税できます。
納付書は、直接、税務署から入手してください。送られてはきません。源泉所得税の納付期限は報酬を支払った翌月10日となります。
② 給与の支払が無い場合
「源泉徴収義務者」に該当しないため、源泉徴収と納税は必要ありません。
ただし、非居住者(日本に1年以上居住していない人)への、芸能報酬の支払の場合は、例え給与の支払が無い場合であっても源泉徴収して納税することになります。
届出としては、給与の支払が生じたとき又は非居住者への支払いが生じた時に「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は、その事実が生じた時から1か月以内となります。
納付書は税務署にて入手してください。納期限も報酬の支払った翌月10日となります。
なお、非居住者の芸能人へ報酬の支払は、その非居住者の方の国と日本との間で「租税条約」が結ばれていることがあります。その場合には、租税条約の内容が優先されます。実際に支払いが生じることとなった際には、税務署などにお問い合わせください。
国税庁HP
「個人事業の開業届出書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
「給与支払事務所等の開設届出書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm
ちなみに、届出に記載する従業員数はゼロで良いのでしょうか?
タレントはマネジメント契約や業務委託等の契約の形になります。

回答します
非居住者である芸能人への支払いが発生した時の場合は、そのようになります。
ご回答ありがとうございます。
非居住者でない場合は契約の形を問わず従業員としてカウントすればよろしいのですね。

回答します
個人事業者ですので、従業員=給与支払が無ければ、源泉徴収義務者にならず、芸能人の報酬に対して、源泉徴収及び納付は必要有りません。
その場合は、届出書の提出も必要有りません。
最初にそのように、回答したと思います。

改めて確認のため 整理してお伝えします。
原則、個人であっても法人であっても、芸能人をはじめとした報酬・料金等の源泉徴収と納税は「源泉徴収義務者」が行い納税いたします。
但し個人の場合は(個人事業主も含む)、従業員の給与等の支払いがない場合は、「源泉徴収は要しない=免除」とされています。
源泉徴収義務が免除されている個人の方が、芸能人を含む報酬・料金等を支払ったとしても、源泉徴収し納税する必要はありません。(サラリーマン等が弁護士に報酬を払っても源泉徴収する必要が無いことの根拠です)
ただし、この「源泉徴収義務の免除」は非居住者への報酬などで源泉徴収を要する報酬(所得)の場合は、免除されず、源泉徴収し納税する義務が生じます。(サラリーマンであっても行う義務があります)
この規定は、報酬の受け取る側が居住者の場合であれば「確定申告」による課税がされるのに対し、非居住者の場合は源泉徴収がないと、課税をすることが難しくなることにあります。
そこで、税務署の届出に関しては
① 開業当時から「従業員や専従者」を雇い、給与を支払う場合は
「個人事業の開業届出書」の下部に源泉関係の記載をすれば、届出が完了します。
その場合、芸能人への報酬の支払の際には源泉徴収し納税する必要が生じます。
② 開業当時は給与の支払が無い場合
「個人事業の開業届出書」には源泉関係の項目の記載は不要
また、芸能人の報酬の支払時の源泉徴収と納税は不要となります。
③ 開業当時から給与の支払いが無いが、非居住者である芸能人への支払いが生じたとき
「給与事務所等の開設の届出書」を提出し、非居住者の報酬の支払のみ源泉徴収と納税が必要となります。
その際には「届出書」の下部「その他の参考事項」に「非居住者への支払いが生じたため」と記載するだけでよく、従業員などの人数の記載は不要になります(給与の支払はないため)
③ 開業当時は給与の支払がないが、後日従業員などを雇い給与の支払が開始された時
「給与事務所の開設届出書」を提出し、給与以外にも、芸能人などの報酬・料金等の源泉徴収と納税が必要になります。
「給与事務所の開設届出書」には、支払の開始日、届出の内容・理由には「開始」の「上記以外」にレ点を打ちます。
そして、従業員の人数も記載します。
なお、従業員の数が常時10人未満の場合は「納期の特例」の申請もできます。
国税庁HPから、個人の源泉徴収義務の免除が記載されている箇所をご案内します。
「令和2年版 源泉徴収のあらまし」 源泉徴収制度について
P1の下から2行目からを参照してください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2019/pdf/03.pdf
本投稿は、2020年10月30日 12時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。