夫名義の物件で妻が民泊事業
この度別荘を民泊として活用して事業を行おうと考えています。
夫が事業主となった場合サラリーマンとしての年収が高く税率が高いため、今回妻が個人事業主となり進めたいと考えています。
夫名義物件ですが、妻の民泊事業にて建物の減価償却費等計上できますでしょうか?
税理士の回答

池田康廣
申し訳ございませんが、減価償却費は計上できません。ご主人が事業主であれば、計上は可能です。

大越映明
結論:減価償却費は個人事業主(妻)の事業所得(民泊事業)の必要経費として計上できる。
理由:1 建物(別荘)所有者(夫)と事業主(妻)は「同一生計」の親族に該当すると思われる(同一家屋に起居しているなら)。
2 賃貸借契約に基づき、「賃借料」の授受をしても、「収入」、「必要経費」には該当しない(所法56)
3 無償使用(もちろん事業に使用している部分に限る)の場合、対価の授受があったとしたならば、その資産を所有する親族の各種所得の金額(不動産所得を想定)の計算上必要経費に算入されるべき金額を、その事業を営む者(妻)の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する(所基通56-1)
4 上記必要経費に算入できる支出として、固定資産税、減価償却費等が考えられます。

大越映明
質問者様の「夫が事業主となった場合サラリーマンとしての年収が高く税率が高いため、今回妻が個人事業主となり進めたいと考えています。」という前提が気になり、以下のとおり補足説明します。
1 民泊事業から生じる所得の帰属について
所得の帰属については、「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。」(所法 12)
事業(雑)所得の場合・・・「人的役務の提供が不可欠の要素であるとして、基本的に事業経営のための役務提供者をもって、帰属主体とする」(後述資料P67)
不動産所得の場合・・・「資産から生ずる収益の帰属者は、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定するが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者を真実の権利者と推定する。」(所基通12-1)⇒登記名義人に帰属することに注意
2 民泊事業から生じる所得の帰属について
民泊事業の形態等により、事業(雑)所得、不動産所得に分かれますが、説明は割愛します。(後述資料P74~83)
3 必要経費等について
説明は割愛します。(後述資料P83~86)
4 参考資料について
①国税庁情報https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0018005-115/0018005-115.pdf
※「自己が居住する住宅を利用」した民泊事業を前提としておりますので、上記説明では引用していませんが、基本方針として参照してください。
②税務大学校論叢https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/96/01/01.pdf
※今回のご相談内容にマッチするかと思いますので、上記説明に引用しております。
本投稿は、2023年07月19日 08時49分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。