役員報酬の自主返納と期またぎについて
翌期に役員報酬の一部を自主返納することについてご相談させてください。
2024年12月期に、定期同額給与として期末まで一定の役員報酬の支払いが既に終わっている役員がいます。
ところが、体調不良により2024年10月頃から経営会議等への出席ができなくなり、実質的に役員としての業務執行を行えなかった期間があります。
その間も、定期同額給与として役員報酬の額を減額したりせず一定額の支払いを続け、全額を2024年12月期の損金としました。
翌期である2025年4月の時点で正式に辞任の申し出があり、あらためて経営に参加できなかった前期2024年12月期の10月から12月の3か月分の役員報酬相当額の自主返納をするという話になりました。
返納を会社が受領するのは2025年5月になろうかと思います。
①その場合、自主返納を受領した2025年12月期に雑収入として計上すればよいと理解していますが、それで合っていますでしょうか。
それとも、自主返納する役員報酬相当額は2024年12月期中に支払われたものですので、本来は2024年12月期に返納=雑収入を計上すべきだったのでしょうか。
2024年12月期の修正申告が必要でしょうか、2025年12月期の雑収入としても何か問題になりませんでしょうか。
②役員報酬3か月分の額とは完全に一致しておらず、それより安い金額(役員報酬は月額20万円×3カ月=60万円だが、自主返納は30万円など)の返納を受けることは可能でしょうか。
③証憑として何を残せばよいでしょうか。「こういう事情で返納したいとの申し出があり、それを受領した」という議事録などで足りますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

【質問①】
役員報酬の一部自主返納を、どの期に雑収入計上すべきか?
2025年の雑収入で良いか?2024年期の修正申告は必要か?
【回答①】
2025年に会社が自主返納を実際に受領するなら、
→ 2025年12月期の雑収入に計上で問題ありません。
理由:
• 雑収入は原則「現実に収入した事実」が発生した期で認識する。
• 自主返納の申し出が2025年4月、受領が2025年5月なら、2024年期には収入事実がない。
• よって、2024年12月期の修正申告は不要。
【結論】
• 2025年12月期に雑収入計上。
• 2024年12月期の修正申告は不要。
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【質問②】
役員報酬3か月分と完全一致しない金額(60万円→30万円など)の返納は可能か?
【回答②】
→ 可能です。
理由:
• 自主返納はあくまで任意の返還であり、会社側も自由に受領額を定められる。
• 役員報酬全額に対応していなくても、返納できる額だけ返納する形で問題ない。
• 税務上も特に問題にならない。
【注意点】
• 返納額に合理性や説明がつくように、内部資料に「経営に支障が生じたことに鑑みて本人から一部返納の申出があった」等の文言を記載しておくと安心。
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【質問③】
証憑として何を残すべきか?議事録で足りるか?
【回答③】
→ 議事録+場合によっては返納申出書を残すのが望ましい。
【必要な書類】
• 役員会議事録または株主総会議事録
(役員本人から返納申出があり、会社がこれを受領した旨を記載)
• (任意)本人からの自主返納申出書
(簡単なものでよいが、本人の署名捺印があるとよりベター)
【議事録に記載すべき内容例】
• 返納の理由(体調不良による業務不能期間に対する配慮)
• 返納金額
• 受領予定日
• 会社として返納を受領する旨の決議
佐藤先生
早速のご回答をありがとうございました。
また、それぞれの回答の論拠までご説明いただけたこと、大変ありがたくお礼申し上げます。
ご丁寧に本当にありがとうございました。

とんでもないです。お役に立ててなによりです。
本投稿は、2025年04月29日 12時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。