出来高請求の売上計上について教えてください。
当社では建設業を営んでおり、工期が約半年程度の案件があります。
決算期をまたぐ案件で、決算日前に数回出来高に応じた請求を行っている場合の税務上の処理について確認させてください。
【確認したい内容】
1. 出来高に応じて請求を行っている場合、契約上「部分完成・部分引渡し」の記載ないとき、出来高請求分を当期の収益かそれとも前受金として処理するのはどちからが妥当でしょうか。
2. 出来高請求は行っていますが、最終的な完成時に経費の発生が多い場合には、当期は前受金処理とする方が妥当と考えてよいでしょうか。
また、経費の発生が出来高と概ね対応している場合には、売上計上・前受処理のいずれの方法でも税務上問題はないかについてもご教示ください。
3.最終的に今回の出来高請求したとき、売上か前受かの判断方法を教えてください。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

土師弘之
出来高請求であっても、契約上または慣習上「部分完成・引渡」となっていない場合には、請求額は「前受金」として処理することになります。
「請負契約」は原則として完成引渡基準であるため、完成して引き渡せないと契約不履行となり、損害賠償等の問題が発生します。ただし、契約上または慣習上「部分引渡基準」が適用される場合には、引き渡した部分については契約が履行されたものとされるため、引き渡した都度、売上げが確定することとなります。
したがって、契約上(または慣習上)「部分完成・引渡」となっていない場合は、請求した金額について契約不履行の場合には返金する必要があるものとされるため、「前受金」として処理すべきものとなります。
よって、工事原価の金額次第で、売上か前受金かを選択できるのではないということになります。
なお、「部分完成基準」を適用した場合であっても、売上高に対応しない原材料等の工事原価は「未成工事支出金(仕掛工事)」に計上することになります。
なお、前受金として処理した場合も同様に、工事原価は「未成工事支出金(仕掛工事)」として計上することになります。
ありがとうございます。
一軒家の請負契約の場合に、現状で基礎工事が完了した段階です。
基礎工事完了の時点で「部分完成」として売上計上してよいのでしょうか?
契約書上に部分完成の明記はないですが、例年は一部完了するごとに請求しておりました。これは自社の慣習として認められるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

土師弘之
仮に、現状で契約を打ち切った場合に、基礎工事は完了したものとして工事代金を受領できるのか、一軒家の契約だから契約不履行として1円ももらえないのか、どちらになっているのかで判断します。
基礎工事部分は支払ってもらえるのであれば「部分完成基準」、そうでなければ「完成引渡基準」です。
「慣行」とは、建築工事業界(大規模・小規模)での慣行であり、貴社だけで行う処理のことではありません。
本投稿は、2025年10月11日 15時39分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。