高額な原状回復工事の税務処理(修繕費か資本的支出か)
法人として自社所有物件の賃貸管理を行っています。
新たに入居者を募集するにあたり、建物の内外装について複数の補修工事を予定しています。
今回予定している工事内容は以下のとおりです。
- 内装壁紙(クロス)の全面張替え
- 浴室のタイル割れ部分を、一般的な浴室用パネル材へ交換する工事
- 屋根および外壁の塗装工事
- 大屋根の板金内部にある腐食した木材の交換(原状回復目的)
これらの工事は、いずれも老朽化部分の補修・原状回復を目的としたもので、
建物の価値向上やグレードアップを意図したものではありません。
なお、総額 500〜600万円程度 の工事になる見込みです。
質問したい点は以下のとおりです。
1. 上記の工事費用は、法人税法上「修繕費」として一括経費処理が可能でしょうか。
2. 特に、屋根・外壁塗装および板金内部木材交換のように金額が大きい工事でも、
原状回復目的であれば修繕費として認められるのか。
3. 逆に、資本的支出(減価償却)と判断される可能性があるとすれば、
どの部分が該当し得るのか。
工事内容の実質や判断基準について、専門家の方のご意見をいただければ幸いです。
税理士の回答
畑中達司
書かれている内容だけで判断するのなら、すべて「修繕費」で良いと思います。
法人税法基本通達では形式基準である金額が規定されていますが、修繕費か資本的支出かを争った裁判や裁決をみると、判断のもととなるのは法人税施行令132条(資本的支出)の規定が基準になっているように思います。
同法では、①当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額、②当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額は、資本的支出としています。注意すべきは「耐用年数(期間)」ではなく「使用可能期間」の延長であるということ、そして金額基準の規定がないということです。
さらに、国税庁ホームページの質疑応答事例「アパートの壁紙の張替費用」の理由で「建物取得時の壁紙の取得価額は、建物の取得価額を構成するものですが、本件の壁紙の張替えは、建物の通常の維持管理のため、又はき損した建物につきその原状を回復するために行われたものと考えられますから、それに要した費用はその全額を修繕費とするのが相当と考えられます。」と書かれています。
クロス張替えは、壁に貼るという作業工事からみて、同様の解釈ができる費用と思います。
屋根及び外壁の塗装工事も同様に、建物の維持管理のために必ず必要な費用と言えます。
大屋根の板金内部にある腐食した木材の交換は、明らかに修繕のため費用と思われます。
そして、浴室のタイル割れ部分をパネル材への交換については、たぶんタイルの割れ補修をしてそれを下地にパネルを貼っていく工事だと思いますが、物理的に取付け付加されるモノでは無く、非常に高価なものでない限り建物の価値を高めるものとも言えないと思います。
本投稿は、2026年02月05日 08時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







