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【資産除去債務】履行時期の延長に係る会計処理について

企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/aro_2.pdf


の設例1(9ページ)において、仮に除去(履行)時期が1年延長した場合の6年目の会計処理について教えてください。
(履行時期の変更以外の条件は、変わらないとお考えください)

以下の仕訳でよいと考えていますが、いかがでしょうか。


20X7年3月31日

利息費用0/資産除去債務0

減価償却費0/減価償却累計額0

減価償却累計額10,863/固定資産10,863
資産除去債務1,000/現金1,050
履行差額50

また、履行時期が1年前倒しとなった場合(履行時期5年→4年)の会計処理も当該設例を通じて教えていただけますでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

適用指針の設例1は、法定耐用年数が5年で5年後に確実に除去することを前提に見積もった結果であり、上記仕訳は20x6年3月31日の結果となっています。これが1年延長した場合の20x7年3月31には必ずしも同じ結果にはなりません。
というのは、この設例1では5年間の将来キャッシュフロー見積額を前提に計算されており、期間が変われば将来キャッシュフロー見積額をその時点で見直す必要があります。どの時点で6年ないしは4年になるかによって見積額が変わります。
見積額が変更になる事例として「設例5」がありますので、これを参考に計算されるといいかと思います。

ご回答ありがとうございます。

期間が変われば将来キャッシュフロー見積額をその時点で見直す必要があります。

見直し方を具体的に教えていただけないでしょうか。
ある固定資産のアスベスト除去を令和3年度に予定しておりました。
しかし、諸事情により除去時期が令和4年度になりそうです。
当初見積もった除去費用に変更はなく、割引前の将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じません。
この場合、どのようにして(何を根拠にして)見積もりを変更すれば、よろしいでしょうか。

設例1を見ていただいたらわかるように、除去するまでの各年は「利息費用」を計上することになっています。この利息費用は5年で計算されていますので、これが6年に変更されるときは、利息費用を(6年で)計算しなおす必要があります。これが、将来キャッシュフローの変更となり、「設例5」でいう見積りの変更です。

ご回答ありがとうございます。

利息費用は5年で計算されていますので、これが6年に変更されるときは、利息費用を(6年で)計算しなおす必要があります。


設例1において、例えば、5年目で履行時期が1年延長することとなった場合、以下の仕訳でよろしいでしょうか。
なお、6年目まで割引率は3%で変更がないとします。


【5年目】2××6年3月31日
 利息費用29/資産除去債務29
 
 減価償却費2,171/減価償却累計額2,171
 
 有形固定資産33/資産除去債務33
 ※履行時期が1年延長したことに伴う、将来CF見積額(利息費用=資産除去債務)の増加
  20X6年3月31日における資産除去債務(863+26+27+27+28+29)×3.0%=30


【6年目】2××7年3月31日
 利息費用30/資産除去債務30
 
 減価償却費30/減価償却累計額30
 
 減価償却累計額10,893/有形固定資産10,893

 資産除去債務1,033/現金1,033

上記の計算だと資産除去債務の合計が1,030となり、当初の見積額1,000を超えてしまいます。
5年が6年に変更になったのですから、1年目の将来キャッシュフローの見積額は、
  1,000÷(1.03)6(6乗が入力できないので)=837

20x6年3月31日における過去(4年目まで)の利息費用の調整
 (将来キャッシュフロー6年)837の場合 25+26+27+27=105
 (将来キャッシュフロー5年)863の場合 26+27+27+28=108
すなわち、5年目に期間が6年となったことによって過去4年間で利息費用が3(108-105)過大に計上していたことになるので、これを是正する必要があります。
よって、5年目の利息費用は、
 利息費用(当年分) 28 / 資産除去債務    28 ※
 資産除去債務     5 / 利息費用(過年度分)5
  ※(837+25+26+27+27)×3.0%=28

同じ考え方で、6年目の利息費用は30となります。
  (837+25+26+27+27+28)×3.0%=30

ご丁寧にありがとうございます。
仕訳してみました。これで大丈夫でしょうか。

【5年目】2××6年3月31日
利息費用28/資産除去債務28
資産除去債務5/利息費用5
減価償却費2,171/減価償却累計額2,171
 
【6年目】2××7年3月31日
利息費用30/資産除去債務30
減価償却累計額10,863/有形固定資産10,863
資産除去債務1,024/現金1,050
履行差額26

一部訂正です。
資産除去債務1,000/現金1,050
履行差額50

863+26+27+27+28+28-5+30=1024
やはり資産除去債務の合計が1024になります。

5年目の過年度分の修正額は5ではなく3でした。
よって、資産除去債務の累計は
 (837+25+26+27+27+28+30)=1,000 となります。
利息費用の端数処理の関係があるので、どこかの年分で調整しないと累計がちょうどになりません。

6年となったことで1年目の将来キャッシュフローは「837」になります。「863」ではありません。
「837」と「863」との差額「26」は5年目に以下の処理をします。
  資産除去債務 26 / 固定資産 26
このため、減価累計額も変わります。

度々恐縮です。以下のとおりでよろしいでしょうか。

【5年目】2××6年3月31日(履行時期1年延長決定)
 ・時の経過による資産除去債務の増加
  利息費用28/資産除去債務28

 ・履行時期延長に伴う利息費用(過去計上分)の調整(減額)
  資産除去債務3/利息費用3

 ・履行時期延長に伴う1年目の将来CFの調整(減額)
  資産除去債務26/固定資産26

 ・設備Aと資産計上した除去費用の減価償却
  減価償却費(※)1,072/減価償却累計額1,072
  ※設備Aの減価償却費2,000/2年+除去費用資産計上額(837-173×4)/2年=1,072(6年目は1,073とする)

 
【6年目】2××7年3月31日(履行費用50円増額判明)
 ・時の経過による資産除去債務の増加
  利息費用30/資産除去債務30

 ・設備Aと資産計上した除去費用の減価償却
  減価償却費(※)1,073/減価償却累計額1,073

 ・設備Aの除去及び資産除去債務の履行
  減価償却累計額10,837 /有形固定資産10,837

  資産除去債務1,000 /現金1,050

  履行差額50

減価償却費の処理を除いては上記のとおりで間違いありません。

減価償却費の計算がなぜこのようになるのかはわかりませんが(とらえ方が間違っていませんか?)、

1年目の固定資産取得価額は10,863(10,000+863(当初の将来キャッシュフロー))
5年目にこの取得価額が10,837(10,000+837(6年となった場合の将来キャッシュフロー))
になるのですから、
5年目にすべき減価償却は、取得価額が26減少し耐用年数が6年に延長となった場合の減価償却累計額の是正(当初の取得価額10,863耐用年数5年→取得価額10,837耐用年数6年)及び、5年目の修正後の減価償却費(取得価額10,837、耐用年数6年で計算)の計上となります。

無知で申し訳ないです。細かなところまでありがとうございます。
今度はいかがでしょうか。

【5年目】2××6年3月31日(履行時期1年延長決定)
 ・時の経過による資産除去債務の増加(ただし、将来CF見直しに伴う再計算を行う)
  利息費用28/資産除去債務28
   ※(837+25+26+27+27)×3.0%=28
 
・履行時期延長に伴う利息費用(過去計上分)の調整(減額)
  資産除去債務3/利息費用3
  ※4年目までの利息費用の調整
 (将来キャッシュフロー6年)837の場合 25+26+27+27=105
  (将来キャッシュフロー5年)863の場合 26+27+27+28=108
  →-3円調整
 
・履行時期延長に伴う1年目の将来CFの調整(減額)
  資産除去債務26/固定資産26
   6年となったことで1年目の将来キャッシュフローは「837」になる。
よって、「837」と「863」との差額「26」は5年目に以下の処理をする。
  資産除去債務 26 / 固定資産 26

・上記取得価格減少、耐用年数延長に伴う減価償却費及び減価償却累計額の調整(減額)
  減価償却累計額 1,468/ 減価償却費 1,468
※2,173×4年-1,806(●)×4年=8,692-7,224=1,468
  ●10,837÷6年=1,806
・設備Aと資産計上した除去費用の減価償却
  減価償却費(※)1,806/減価償却累計額1,806
  ※設備Aの減価償却費10,000/6年+除去費用資産計上額837/6年=1,806
 
【6年目】2××7年3月31日(履行費用50円増額判明)
 ・時の経過による資産除去債務の増加
  利息費用30/資産除去債務30

・設備Aと資産計上した除去費用の減価償却
  減価償却費(※)1,807/減価償却累計額1,807
   ※設備Aの減価償却費10,000/6年+除去費用資産計上額837/6年=1,807(端数調整)
・設備Aの除去及び資産除去債務の履行
  減価償却累計額10,837/有形固定資産10,837
  資産除去債務1,000 /現金1,050
  履行差額50

考え方についてはそれで問題ないと思います。

本投稿は、2021年08月09日 22時05分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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