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廃業に係る必要経費の特例について

所得税法63条において廃業後に生じた費用や損失で廃業しなかったならば必要経費に算入されるべき金額は、廃業年(その年に総収入金額がない場合には総収入金額があった直近の年)またはその前年分の事業所得の計算上、必要経費に算入できると規定されています。

A事業とB事業を経営する者が2020年12月31日にA事業のみを廃業したあと、2021年4月に生じたA事業に係る費用(廃業してなかったら必要経費だったはずのもの)については、所得税法63条の規定は適用できないと裁決や裁判で判断されているようなのですが、この場合には、2021年度のB事業の確定申告において、B事業の必要経費として算入させることになるのでしょうか。それとも、同条の適用もなく、さらに、2021年度のB事業の必要経費にも算入できない結果となるのでしょうか。

ご存知の方がいましたら、ご教示いただきたいです。
書籍などをみてもわからず、困っております。
よろしくお願いいたします。

税理士の回答

所得税法第63条の規定は「事業を廃止した後に発生する経費(廃止しなかったら発生するであろう経費)は何年分であっても廃止した日の属する年分前年分の事業所得の必要経費となる」つまり、さかのぼって必要経費にできるという規定です。
そして、この特例は複数の事業を営んでいる場合はあくまで事業の全てを廃止した場合のみ適用されます。事業の種類ごとに適用されるではありません。「事業所得を生ずべき事業を廃止した」と規定しているので「すべての事業」と解釈します。

通常、A事業廃止後に発生するA事業に係る経費は事業所得の必要経費に算入できます。事業所得に係る経費は必要経費になるのであって、結果としてB事業しか行っていないのに過ぎないからです。
事業の種類ごとには区別するという考え方をすると、もし、さらにC事業を開業しようとして準備したが失敗して開業できなくなった場合のC事業に係る経費は落としどころがなくなってしまいます。

このように考えると、A事業に係る経費は第63条の規定は適用できないが、発生した年分の事業所得(事業全体のという意味であって、B事業という区別はしない)の必要経費に算入できるということになります。

課税実務上の取扱いについては、廃止後の年度の事業所得の計算上、必要経費に算入することになるとのことで承知しました。

判例などをみると、ある支出が事業所得の必要経費となるためには①直接的に業務に関連すること、②業務の遂行上必要であることの2つが求められています(必要経費該当性の通説)

しかし、ご教示いただいた取扱いに当てはめると、A事業の廃止後に生じた当該事業に係る支出が①B事業と直接関連していて、②B事業の遂行上必要である場合にB事業のみを営む年度の必要経費に算入することができると考えられます。
そうすると、当然この場合には①②は満たさないため、必要経費該当性の通説の立場からすれば、必要経費に算入させることはできないという結論になり、課税実務上の取扱いを導けないと思います。

必要経費該当性の通説との関係については、いかがでしょうか。

所得税法上、「事業収入」「事業所得」という概念は、事業の種別で区分して計算することにはなっていません。
つまり、必要経費該当性の通説は、事業に係る経費かどうかということであって、事業所得のうちに1つの事業(例えばA事業のみ)に係る経費に該当するかどうかということを言っているのではありません。「複数事業がある場合には、それぞれの事業ごとに区分して判断する」とはどこにも出てきません。

所得税法第63条に係る判例・裁決は、複数事業の1つを廃止しても事業収入を得る事業のすべてを廃業したわけではないのだから、「廃業に係る必要経費の特例」は適用できないといっているの過ぎないのです。

ご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。
また質問をした際には、よろしくお願いいたします。

本投稿は、2021年10月12日 22時48分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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