役員借り入れの決算での処理
小売店を法人として 経営しております
創業以来、赤字がつづき、資本金を100万にしたこともあり、社長からの役員借り入れが多くなっています。決算の数字でも見た目が悪いので、資本に組み入れるか、何かしたいのですが
どんな処理があるでしょう。資本組入れの場合、赤字会社の時は、所得とみなされると聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?
税理士の回答
考えられる方法としましては、①借入金の資本への組み入れ(増資)と、②借入金の債務免除(社長側からみますと「債権放棄」)の二つがあります。
① 借入金の資本組み入れ
会社に対する貸付金(会社から見れば借入金)を「現物出資」する方法です。「債務の株式化」により、貸借対照表上では、借入金が減少して資本金が増加します。
「現物出資財産」が「不動産」や「動産」であれば譲渡所得課税が行われますが、「会社に対する貸付金」である場合には、原則として所得税等は課税されません。
但し、同族会社において、新株発行の前後で持ち株比率が変動する場合には、「みなし贈与」の問題が発生しますのでご注意ください。
(現物出資する社長が株式の100%を所有されている場合にはこの問題は生じません。)
また、増資することで資本金が1000万円を超えますと、地方税の均等割り税額が増加しますのでこの点もご留意ください。
② 借入金の債務免除
社長個人が会社へ貸している金額(貸付金)を「債権放棄」する方法です。この場合には債権放棄した金額が会社の利益(債務免除益)になりますので、赤字(繰越欠損金を含む)の金額の範囲内であれば法人税等もかからず財務体質を改善することができます。
債権放棄する社長個人にも税の問題は生じません。
資本金を増加して財務体質を強化し対外的にも見た目を良くするには①の方法になりますが、「資本組み入れ」の場合には登記の手続き等も必要になりますので、簡便な方法は②となります。経営的な面等、総合的に勘案してご判断頂ければと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
本投稿は、2015年09月12日 18時17分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。