兄弟会社の無対価適格合併で、債務超過の会社を吸収する場合の資本金の仕訳について
弊社は兄弟会社を吸収合併することになりました。(100%子会社同士の無対価適格合併)
消滅する兄弟会社は資本金300万円なのですが、繰越利益剰余金はマイナス1,000万円で、債務超過となっております。
この場合の仕訳として、顧問の税理士先生に確認すると、
諸資産×××/諸負債×××
その他資本剰余金300万
その他利益剰余金△1,000万
と言われました。
確かに本やインターネット等で調べると、兄弟会社の無対価合併の場合、資本金はその他資本剰余金として計上すると書かれているのですが、債務超過の会社を合併するときはその他資本剰余金とその他利益剰余金を相殺するとも書かれておりました。
その場合、相殺するとなると、
諸資産×××/諸負債×××
その他利益剰余金△700万
という仕訳になると思うのですが、どちらが正しいのでしょうか?
ちなみに合併契約書には、「資本金額を増加しないものとする」と記載されています。
この合併で、その他資本剰余金300万円が増えるのか相殺できるかによって資本金等の額が1,000万円を超えるかどうかにも関わり、法人住民税の均等割りの金額にも影響するため、相殺できるのであればそうしたいと考えております。
宜しくお願い致します。
税理士の回答

子会社同士の合併では、①資本金、資本準備金及びその他資本剰余金に任意に配分する方法(会社計算規則35条)と②被合併法人の純資産の部をそのまま引き継ぐ方法(会社計算規則36条)の選択適用となります。被合併法人が債務超過であり、①資本金、資本準備金及びその他資本剰余金に任意に配分する方法を選択する場合には、その他利益剰余金の減少額として処理します。
諸資産 ×××/諸負債 ×××
その他利益剰余金 △700万
ただし、上記は会計上の処理方法となります。
子会社間の合併に係る税務処理では、適格合併の場合、存続会社となる子会社は、消滅会社となる子会社の合併の日の前日に終了する事業年度(最後事業年度)の利益積立金額をそのまま引き継ぎます。また、消滅会社となる子会社の最後事業年度の資本金等の額と同額の資本金等の額の増加を行います。
諸資産 ×××/諸負債 ×××
資本金等の額 300万
利益積立金額 △1,000万
※会計上の利益剰余金・資本金と税務上の利益積立金額・資本金等の額は一致しているものとする。
合併に伴って、合併法人の資本金等の額が変動しますので、法人住民税均等割の区分判定の基礎となる金額も変動しますので留意が必要です。
中谷先生
丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。
債務超過の子会社と合併しても、税務上は資本金等の額が増加してしまうのですね。
大変勉強になりました。ありがとうございました。
本投稿は、2023年06月02日 17時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。