収益認識について
当社は大型の機械を製造、販売している会社です。
同一の顧客との本契約を締結する際、一部仕様が未決定のため
本契約とは別で後日契約を結ぶ場合は、これらの契約を結合して
計上するのが正しいのでしょうか。
また同一の顧客との契約後において、予想外の手直しによって
追加で注文を受けた際、その契約についても契約を契合して
計上するのが正しいのでしょうか。
税理士の回答

佐藤和樹
同一の顧客との複数契約の計上方法について
✅ 結論:契約を結合して計上すべきかどうかは、会計基準(収益認識基準)の「契約の結合」に該当するかどうかによります。
契約の結合が必要かどうかは、以下の2つのケースに分けて考える必要があります。
1. 本契約と後日締結する仕様未決定部分の契約
▶ これらの契約を結合して計上するべきか?
✅ 収益認識に関する会計基準では、以下の条件を満たす場合に「契約の結合」が必要とされています。
【契約の結合が必要な条件(収益認識基準)】
1. 契約が同一の顧客(または関連する顧客)とのものである。
2. 契約が同時または短期間のうちに締結されている。
3. 契約の内容が相互に関連し、実質的に一体の取引と考えられる。
4. 契約の一部が、他の契約の価格に影響を与えている(価格調整やディスカウントなど)。
5. 契約上、商品の移転や役務提供が不可分であり、一つの契約として捉えるのが適切である。
📌 本契約と後日締結する契約が、仕様未決定部分の調整によるものであり、実質的に同一の取引の一部とみなせる場合は、契約を結合して計上するのが適切です。
📌 一方で、後日締結する契約が、独立した追加発注(顧客の新たな意思決定によるもの)であれば、別契約として扱うことができます。
2. 予想外の手直しに伴う追加注文
▶ 追加注文を受けた場合、契約を結合して計上するべきか?
✅ 予想外の手直しに伴う追加注文は、「契約の変更」として扱うか、「新たな契約」として扱うかの判断が必要です。
【契約変更として扱う条件】
以下の条件を満たす場合、元の契約の一部として収益認識を変更する必要があります。
1. 追加の手直しが、元の契約で提供されるべきものである(保証の範囲内の修正など)。
2. 元の契約価格に対して、手直しが新たな価格設定に影響を与える。
3. 元の契約の履行義務と密接に関連している。
【新たな契約として扱う条件】
一方で、次のような場合は、元の契約とは独立した「新たな契約」として処理するのが適切です。
1. 手直し部分が元の契約と独立した新たなサービスとして提供される。
2. 追加注文が、新たな価格設定(市場価格に基づいた新規注文)で行われる。
3. 元の契約とは異なるスコープや仕様で行われる。
📌 手直しが元の契約に直接関連し、契約変更とみなされる場合は「契約の結合」が必要です。
📌 一方で、新規の追加注文として取り扱える場合は、別契約として計上できます。
本投稿は、2025年03月07日 11時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。