公益財団法人の会計処理(受取助成金の返金)
一般財団法人で、助成金をうけながら、プロジェクトの実施を行っております。
受け取った年の数年後に監査などで返金などが生じます。その際に、会計処理は何費を計上すればよいかご教示願います。同じ会計年度での返金であれば、受取助成金をマイナスするだけかと存じますが、年度をまたいだ場合の処理について困っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答
結論
受取助成金を受領した年度と異なる年度で返金が生じた場合は、原則として「過年度助成金返還損(または雑損失)」として処理します。
※ 受取助成金を直接マイナス(減額)する処理は、同一会計年度内に限ってのみ可です。
理由(公益法人会計の考え方)
公益法人会計では、収益は発生年度で確定し、その後に生じた返還義務は、当期の費用(損失)として処理するのが原則です。
数年後の監査等で返還が確定した場合、それは当初の収益計上が誤りだったというより、後発的事情により返還義務が生じたと整理されます。
したがって、過年度修正ではなく当期損失処理が基本となります。
実務上の処理方法(年度をまたぐ場合)
① 返還義務が確定した時点(未払いの場合)
(借方)助成金返還損(または雑損失) XXX
(貸方)未払金 XXX
② 実際に返金した時点
(借方)未払金 XXX
(貸方)現金預金 XXX
勘定科目の選択について
よく使われる科目
助成金返還損(独立科目として設定できる場合)
雑損失(金額が少額・一時的な場合)
→公益法人の場合、「助成金返還損」等の名称で区分表示するほうが財務諸表の透明性は高く、監査対応としても好まれます。
例外的な取扱い(注意)
次の場合のみ、処理が変わる可能性があります。
● 受取時点で返還条件が明確だった場合
(例:条件未達時は返還義務ありと契約に明記)
→ この場合は
受取時に 収益計上せず「前受助成金(負債)」
として処理すべきだった
→会計処理誤り(過年度修正)の論点になります。
※ ただし実務では、「条件付き助成金」でも一旦収益計上している法人は多く、監査で問題になった年度から当期損失処理で整理されるケースが一般的です。
財務諸表上の表示(参考)
正味財産増減計算書
→ 経常外費用 または 経常費用の区分に表示
注記
→ 「過年度に受領した助成金の返還に関するもの」等を簡潔に記載すると望ましいかと思います
本投稿は、2025年12月16日 09時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







