税務上の貸倒損失の時期
税務上の貸倒損失の時期について弁護士からの終了通知の年月日と裁判所の決定・主文・理由が書いてある破産手続を終結すると書いている紙の年月日が異なりますが、後者の日で問題ないでしょうか。
ちなみに法人番号公表サイトの事由発生年月日(変更の事由 登記記録の閉鎖等(清算の結了等)は後者の日付の翌日になっていました。
税理士の回答
山口勝己
回収できないことが確定した日なので、後者の日(破産手続終結の決定日)で処理して問題ありません。
法人破産において、売掛金などの債権が税務上の「貸倒損失」として認められるのは、債権の「回収不能が客観的に確定した日」です。
決定日の整合性と税務上の考え方
破産手続終結の決定日(後者の日)
・裁判所が破産手続の終了を正式に宣言した日です。
・この時点で法人の残余財産がないことが確定します。
・税務上、債権の回収不能が客観的に確定する最も確実な基準日となります。
法人番号公表サイトの事由発生年月日(決定日の翌日)
・裁判所から商業登記所(法務局)へ通知が届き、登記が閉鎖された日です。
・破産終結の決定(後者の日)の「効力」によって翌日に自動処理された結果です。
・後者の日を裏付ける強力な補強証拠になります。
弁護士からの終了通知の年月日
・破産管財人(弁護士)が業務を終えて関係者に連絡した事務処理の日です。
・裁判所の法的決定そのものではないため、税務上の基準日としては不適切です。
税務署への対策・必要なエビデンス
税務調査で貸倒損失の時期を突かれないよう、以下の書類をすべてセットで保存してください。
・破産手続終結の決定書(理由などが書かれた紙)のコピー
・弁護士からの終了通知
・法人番号公表サイトの画面印刷(履歴が分かるもの)
これらが揃っていれば、後者の日(決定日)を含む事業年度で貸倒損失(損金)として計上することの正当性を完全に証明できます。
久保田潤
【結論】
後者の「裁判所の決定(破産手続終結決定)が書かれた紙の年月日」を貸倒損失の計上時期(事由発生日)として問題ありません。
【備考】
弁護士からの終了通知の日付は、あくまで代理人である弁護士が「裁判所での手続きが無事に終わりました」と報告書を作成・発送した日に過ぎません。法的な効力発生日ではないため、税務上の基準日としては使いません。
【注意点】
税務調査の際、貸倒損失の計上時期が正しかったかを証明する最も重要なエビデンスが、その「裁判所の決定・主文・理由が書かれた紙(破産手続終結決定書)」です。弁護士からの通知書面等とセットで、大切に保管しておいてください。
税法上は、破産手続終結決定だけでは貸倒れに該当せず、債権額の50%までを貸倒引当金として損金算入し、回収不能が明らかとなった時点でで全額を貸倒損失として計上可能となっています。
ただ、「裁判所の廃止又は終結決定がなされた時点で当該破産法人は消滅するため、当然、破産法人には分配可能な財産がなく、当該決定等により破産法人に対して有する金銭債権もその全額が滅失したものと解されるので、この時点が破産債権者にとって貸倒れの時点と考えられる。」という内容の判決があります。
「回収不能が明らかになった」として貸倒損失を計上するのであれば、おっしゃる通り、裁判所の終結決定の時点で計上することになると考えられます。
山本快夫
お世話になります。
ご質問に対する回答)
↓
・原則→ 貸倒損失の計上時期は、終結決定時または廃止決定時と、現在は明示されてます。(つまり裁判所からの書面の決定日です)
・例外→ 破産手続終結の決定前であっても、破産管財人から配当金額が零円であることの証明がある場合など、破産法人からの配当がないことが明らかとなったときも、貸倒損失の計上が可能です。
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補足)
破産手続における貸倒損失は、通達ではなく法人税法第22条第3項第3号を根拠とした裁決事例(H20.6.26裁決)のあとも、しばらくの間、課税実務において、法人税基本通達9-6-1には該当しないことを根拠に、回収不能が明らかになって同通達9-6-2を適用できるまでは貸倒損失を容認しないケースが、多くはないものの見聞きし、税務の現場における執行に揺らぎがありました。
https://www.kfs.go.jp/service/JP/75/21/index.html
しかし、2024年に国税庁から以下の質疑応答事例が示されたことにより、破産手続における貸倒損失の計上時期の揺らぎについては解決され、統一運用がなされています。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/08.htm
他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年08月12日 08時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







