「使用人が使用人兼務役員になった場合」
使用人が使用人兼務役員になった際に、これまでの使用人職務に対する退職金を支給しました。
使用人兼務役員になった以後も、使用人としての業務も行うため、毎月の給与は、「役員給与」と「使用人給与」に分けて支給します。
賞与についても、事前確定届出給与とは別に、類似業務を行う使用人の賞与金額を超えない範囲で、使用人賞与を上乗せして支給します。
これらの月額給与、賞与は損金算入されますでしょうか。
退職金を払ったことで、使用人として立場を失うため、兼務役員にはなれないという事はあるのでしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
税理士の回答

回答します。
退職金が「退職所得」になるかどうかは所得税の判断であり、「使用人兼務役員」となるか否かは法人税の判断となるため分けて考える必要があります。
1 所得税法上の判断
使用人が役員となった時点で支払う「退職金」が退職所得になるには、その一時金がいわゆる打ち切り支給の退職金であるか否かの判断となります。
商法上(会社法上)の「役員」になったことと、「打ち切り支給」であるかが判断基準となります。
2 使用人兼務役員の判断
「使用人兼務役員」とは、「役員」のうち、一部の役員を除いて「職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事している者」をいいます。
そこで、「打ち切り支給の退職金」を支払ったこと=「使用人としての立場を失う」とはならないと思われます。
3 参考
タックスアンサーNo5203 の「1」の(2)イ(使用人兼務役員の退職金として認められる支給)を確認してください。
「過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した者であり・・・退職金を支給していないこと」という文言があります。
この文言からも、「過去に退職金の支給がされた、使用人から使用人兼務役員に昇格した者」が想定されている事がわかります。
参考にしてください。
「退職所得」に関しては
所得税基本通達30-2 と タックスアンサーを参考にしてください
「所得税基本通達」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/04.htm
No5203「使用人が役員に昇格したとき又は役員の分掌変更したときの退職金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5203.htm
「使用人兼務役員」の説明はタックスアンサーを参考にしてください。
No5205 役員のうち使用人兼務役員になれない人
ご回答ありがとうございます。
使用人としての退職金支給後も、使用人兼務役員として、毎月の給与を「役員分と使用人分」に分けて支給できると理解しました。

お役に立てましたら幸いです。
退職金の打ち切り支給などは、「退職給与規定」にそって、後日、税務調査などで指摘がないようにご注意してください。支給をうける方にとっても会社にとっても大きな金額ですので、より気を付けていただければと思います。
本投稿は、2020年07月22日 16時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。