インボイス 古物商特例 中古部品の仕入れについて
自動車業を営む事業者が、ネットで中古部品を仕入れ、かつ相手方がインボイスを持たない場合、帳簿の記載事項を揃えれば、古物商特例は使えるのでしょうか?
物品のみの販売は行っておらず、商品として販売する車両の部品として、または整備依頼を受けた顧客の車両の部品として使用する目的での購入です。
材料として棚卸資産に該当し、消耗品ではないので使えると思うのですが自信がありません。
ご教授のほど、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
自動車業者がネットで中古部品を仕入れる場合に「古物商特例(インボイス特例)」が使えるかどうか、ポイントを整理します。
1. 古物商特例とは
インボイス制度開始後も、一定の場合には「帳簿の記載のみ」で仕入税額控除が認められる特例があります。その一つが 「古物商特例」(消費税法施行令70条の14ほか)です。
【要件】
・古物商が、適格請求書発行事業者でない者から古物(中古品)を仕入れること
・帳簿に必要な事項(仕入れの相手方の氏名・住所、品目、数量、対価の額など)を記載すること
2. 「古物商特例」が使える仕入の範囲
国税庁Q&Aや通達では:
・古物商の「販売用の古物仕入れ」 に適用されるのが原則。
・しかし「販売用以外でも、棚卸資産として使用される場合」も対象になると解されています。
👉 したがって、部品を仕入れてそれを自動車商品に組み込んで販売したり、修理サービス提供時に材料として提供する場合は「棚卸資産」となり、消耗品ではなくても古物商特例の対象となります。
3. ご質問のケース
・中古部品をネットで購入(相手はインボイス未登録事業者)
・自動車販売用の車両に組み込む/整備依頼に伴って使用する
・仕入れた部品は「材料」=棚卸資産に該当
👉 この場合、古物商特例の対象になると考えられます。
つまり、インボイスがなくても「帳簿の記載事項を整えていれば」仕入税額控除が可能です。
4. 実務上の注意点
①帳簿記載要件を必ず満たすこと
・取引年月日
・取引の相手方の氏名・住所
・取引の内容(中古部品の品目・数量など)
・仕入金額
・支払方法(現金・振込等)
②古物営業法の古物商許可があること
・古物商特例を使う前提条件です。
③消耗品扱いは不可
・修理用材料や商品組込み部品は棚卸資産扱い → OK
・自社使用(自社車両に取り付けるなど)の場合は特例対象外
5. まとめ
・ご相談の「販売用車両の部品」や「修理依頼車両の部品」は 棚卸資産に該当。
・したがって、古物商特例の対象となり、インボイスなしでも帳簿要件を満たせば仕入税額控除が可能。
・ただし、自社で使う部品(営業車修理など)は対象外なので区別が必要。
早速のご回答ありがとうございます。
とても詳しく書いて頂き大変勉強になります。
もう少し細かく言うと、
◎摩耗するが形が残り、車両に付いていくもの(部品、部材)=材料として古物商特例の対象
◎消耗し形がなくなるもの(オイルなど)=消耗品として古物商特例の対象外
と考えているのですが、先生のご認識と一致しておりますでしょうか?
はい、そのご認識でほぼ一致しております。実務上も税務の整理としても、以下のように考えるのが妥当です。
1. 古物商特例の対象となるもの
・「古物営業法上の古物」かつ「棚卸資産」になるもの
・仕入れてそのまま転売したり、修理・整備に使用して完成品(車両)に付随して顧客に渡るものは、材料扱い になります。
例)
・中古エンジン、中古タイヤ、中古バンパー、中古カーナビ
→ 車両販売や修理整備に使用され、形を残して顧客に引き渡されるもの
👉 これらは 材料仕入=棚卸資産 として古物商特例の対象。
2. 古物商特例の対象外となるもの
・仕入れても形を残さず消費されてしまうもの(棚卸資産ではなく消耗品や経費計上対象)
・オイル、冷却水、グリス、洗浄剤、燃料 など
👉 これらは 消耗品費(費用) 扱いであり、古物商特例の対象にはなりません。
3. 実務整理
・「完成品に付いていくかどうか」 が大きな判定基準
・残って顧客に渡るもの=材料 → 古物商特例対象
・残らず消耗するもの=消耗品 → 特例対象外
4. ご認識との比較
◎摩耗するが形が残り、車両に付いていくもの=材料として古物商特例の対象
◎消耗し形がなくなるもの=消耗品として古物商特例の対象外
→ まさにその整理で正しいように思います。
私も 「車両や修理品に付いて顧客に渡るかどうか」 を線引きにしています。
✅ 結論
ご認識と一致しています。
・部品・部材は「材料」として古物商特例の対象
・オイル等は「消耗品」として対象外
大変スッキリしました。
ありがとうございました。
本投稿は、2025年08月26日 22時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。