換価分割と相続譲渡贈与
①不動産による換価分割を行った場合、所得税及び贈与税と相続税の課税関係はどうなりますか?
②代償分割は積極財産のみが対象ですか?
③代償分割における代償金の支払いに具体的な期日は定められていますか?
また支払えない場合はどうなりますか?
税理士の回答

順に整理してご説明いたします。
① 換価分割の課税関係
・相続税
換価分割とは、相続財産(例:不動産)を相続人が一旦共有で取得し、それを売却して金銭で分割する方法です。この場合、相続税は「相続時点の不動産の評価額」に基づいて計算されます。売却益が出ても相続税は追加で課税されません。
・所得税
売却時点では相続人が取得した資産を譲渡した扱いになります。そのため、不動産の売却益(譲渡所得)が生じた場合には相続人に所得税・住民税が課されます。取得費は被相続人の取得費を引き継ぎます(「相続による取得」)。
・贈与税
換価分割において、遺産分割協議書で定めた割合に応じて分配すれば贈与税は生じません。ただし、実際の分配額が合意割合と異なり、ある相続人の取り分を超えて分け与えた場合は、超過部分に贈与税がかかる可能性があります。
② 代償分割の対象範囲
**積極財産(プラスの財産)**が対象です。
代償分割は、特定の相続人が不動産などを単独で取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払う方法です。借金などの消極財産については、通常「代償分割」の対象にはなりません。
③ 代償金の支払い時期・不履行の場合
・期日について
民法や相続税法上で「代償金の支払い期限」が一律に定められているわけではありません。通常は遺産分割協議書において、支払期日・方法を当事者間で取り決める形になります。
・支払えない場合
代償金が支払われないと、遺産分割協議の履行遅滞・不履行となり、他の相続人から代償金の支払い請求(場合によっては強制執行)を受ける可能性があります。分割協議自体の有効性には直ちに影響しませんが、実務的には「履行確保」のために担保や分割払い条件を定めるケースもあります。
✅ まとめると:
換価分割 → 相続税は評価時点、売却益は所得税対象、配分ずれがあれば贈与税
代償分割 → 対象は積極財産、期日は当事者が決定、未払いなら債務不履行リスクあり
本投稿は、2025年09月04日 15時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。