抵当権と差し押さえについて
先に売掛債権に抵当権を設定していて、あとから税務署の差し押さえが入った場合
どちらが優先されますか?税務署の差し押さえが優先され、税務署が売掛債権を回収してしまいますか?
税理士の回答

岡本好生
国税徴収法第16条に下記の規定があります。
法定納期限よりも先に抵当権を設定している場合には抵当権が優先され、法定納期限よりも後に抵当権を設定している場合には、租税債権が優先することになります。
資金繰りが悪いときは税金の支払いを後回しにする傾向がありますから、法定納期限が古い租税債権があることが多く、税務署が先に回収していくという印象になってしまいますね。
(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)
第十六条 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。
売掛債権の場合は抵当権ではなく譲渡担保となり第三者対抗要件を具備するためには抵当権と同様に登記が必要になります。
但し、売掛債権は不動産と違い既に発生している債権と将来発生する債権に分かれており、将来発生する債権への譲渡担保が租税債権に優先するかどうかが争われ、平成19年2月15日最高裁において、第三者対抗要件を具備している債権譲渡担保の登記日が、法定納期限より前に設定されたものであれば将来債権についても租税債権に優先するとの判決が出ました。
現時点は、上記の最高裁判例が判断材料となっていますが、国税庁側も滞納租税債権の回収のため以下のURLのように研究をしている模様です。
http://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/53/06/hajimeni.htm
本投稿は、2018年09月10日 17時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。