9/30以前に請求し、10/1以降に支払いがあった場合の消費税率について
いつもお世話になっております。
「工事等の請負契約に係る経過措置」が適用になる業種(測量業)なのですが、相手方が個人の方であったり、少額取引だったりなど、諸事情で注文書や契約書を交わさず、完了時に請求書を持参して支払ってもらう形の取引が10件ほどあります。
このような取引の場合、証明できるのは請求日のみで、契約日や引渡日等の内容の証明ができないことから、経過措置の適用は受けられないという理解をしておりますが、誤りでしょうか?
現在、困ったお客様がいらっしゃいまして、
「9/30以前に内訳有の請求書を受領しているのだから、10/1以後の支払でも、経過措置を適用して消費税率は8%だろう」
と主張しておられます。
こちらとしましては、7月末に請求し、9月末までの支払ということで、猶予期間は十二分に設定したと思いますし、前述のとおり、契約日や内容の証明ができる書類がございませんので、消費税率8%を適用するならば、9/30前にお支払いを頂きたいです。
9/30前にお支払頂けない場合(支払日が10/1以降となる場合)は、消費税率10%で再請求したいと考えておりますが、この対応は誤りでしょうか?
何か、先方に提示できる根拠のようなものがあれば、併せて教えて頂きたいです。
よろしくお願いします。
税理士の回答
原則、請負工事等が完成し引渡した日が9月30日までが8%(代金を支払った日ではありません)、それが10月1日以降であれば10%
経過措置とは、平成31年3月31日以前に契約し、10月1日以後に完成・引渡しの場合にも8%でOKというものです。従って、質問内容にあるとおり、契約日が不明であれば経過措置はとれません。
なお、「9/30以前に内訳有の請求書を受領しているのだから」とは、請負工事等が既に完成・引渡し済みということであれば、原則とおり8%でOKです。請求書だけ出して請負工事等の完成・引渡しがまだ未済ということであれば、8%は認められないということになります。
以上、誤解なきようご理解ください。
ありがとうございます。
>請負工事等が既に完成・引渡し済みということであれば、原則とおり8%でOKです。請求書だけ出して請負工事等の完成・引渡しがまだ未済ということであれば、8%は認められないということになります。
とのご回答を頂きましたが、完成・引渡済を証明する書面がありません。
先方は「請求書=引渡完了ということだ」と主張しておられますが、当社からお渡しした請求書には、
1.相手方の会社名
2.当社の所在地・会社名・代表者氏名(代表印捺印)
3.請求年月日
4.測量場所
5.先方へ請求する金額(税込)
6.請求額の内訳(作業項目毎の金額・各項目の合計額・消費税の額)
の記載しかなく、完成あるいは引渡の年月日の記載はありません。
重ねて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
一般的な仕事の流れとして、発注側が仕事を「発注」し、受注側が仕事を「完成」し、「納品・引渡しや報告」をし、発注側がそれを「検収」してその発注した業務が確かに完了したことを確認した後に、受注側が「請求書を発行」し、発注側が一定に支払いサイトに基づいて後日その「支払い」をする。
ここで問題となる「完成・引渡し」の時点ですが、これは業種・業態によってさまざまです。上記の一般的な例ですと「検収」時点になりますが、業種によっては「検収」などないという業種もありますし、その場合には「納品・引渡し」時点のケースもあります。
一般論で申し上げますと、請求書を発行する段階は通常は仕事が完了していることが前提であるという認識であると考えられますので、先方の主張(請求書=引渡完了)でOKだと考えられます(測量業界では仕事が完了していないのに請求書が発行されるケースはありますか?)。
余談ではありますが、現在の会計基準においても「現金主義」は採用されていなく、「発生主義」ですので、収益の認識基準として、物の引渡しがあるものについてはその物を引渡した時点、物の引渡しがないものについてはその役務の提供が完了した時点です。
今回のケースを参考に質問者様の収益認識時点の再確認もすると良いかもしれませんね。
再びありがとうございます。
測量業界では仕事が完了していないのに請求書が発行されるケースはありますか?
とのお尋ねですが、残念ながらあります。
「お宅の会社を信用してるから、先に払うわ」と仰って下さる発注者さまもしばしば・・・。
「中には日付を入れない請求書がほしい」という発注者さまもおられます。
追記です。最近は「9月中に払えば8%で済むんでしょ?先払いはできないの?」というお問い合わせまであり、困っております。
各業界、各様にさまざまです。従って、質問者様自身において、「いわゆる仕事が完了した時点がどこなのか、又はいつなのか」ということを意識しておく必要があります。この仕事の完了時点イコール売上の計上時期であり、同時に消費税の認識時点であります。
ゆえに、「お宅の会社は信用しているから、先に払うわ」とは、質問者様の会社経営上は先に入金があるのでよいことではありますが、仕事が完了するまでは単なる前受金であり、売上でもなく、消費税の認識もできません。
また、「中には日付を入れない請求書がほしい」とは、実務上はいろいろと難しいことがあるのでしょうが、質問者様側が本来的にやるべきことは上記に記したとおり請求書の発行日ではなく、いつの時点で仕事が完了したかをきちんと認識して売上を計上し、また消費税を認識することです。
「9月中に払えば8%で済むんでしょ?」とは、再三になりますが支払い時点の問題ではなく、仕事の完了時点が問題になりますので、代金を受領してしまったものについては優先してでも9月中に完了するように頑張るしかない(?)。
再々ありがとうございます。
最も困るのが、いつ終わったのか、事務サイドではわからないということです。
現場サイドは当然いつ完了したのか把握しているのだろうと考えていたので、現場サイドの担当者に確認したところ
「まだ終わってないけど終わったことにして請求することに了解貰った」
「まだこの対応が残っているけど、これは役所の承認待ちだから、いつ終わったことになるのかわからない」
など、口約束で進めている物が多々あり、中々ご回答いただいたようなきれいな終わり方をするものがありません。
契約書や注文書などを取り交わしている案件については、当然のことながらその書面に基づいて進めているため、いつ終わったかわからないような事態はないのですが、対個人となると、事務サイドは現場サイドから「請求書作って」と言われるだけなので、全く把握できていないのが実情です。
とりあえず、質問の発端となった案件については先週振込がありましたので、解決とさせていただきます。
質問者様の悩みはよくわかります。これは理屈の話しではなく実務論の話しです。すなわち、事務サイドでは作業の完了時点はわからないもので、それは現場サイドで判断してもらわなければならないものです。従って、質問者様の会社内部の取り決めを明確にする必要性があります。事務サイドとしては、自社の作業工程を明確にして、作業の完了時点を認識し、そして、現場サイドに作業の完了時点について何度もひつこく説明していくしかありません。
(測量業界の特殊性もあるのかもしれませんが、測量自体の行為はそれほど複雑な行為とは思われません。なお、実務論としてはどこかで線引きをしなければならないという問題は常にありますよ。)
本投稿は、2019年08月30日 09時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。