法人と個人貸付の債権放棄
よろしくお願いいたします。
Q1:
法人に対し、個人で貸し付けを行っている人物(個人)が、
債権放棄を行った場合、
法人の方は「債務免除益」による課税が発生しますが、
放棄をしたほうの個人には何らかの税金が発生する可能性はありますか?
Q2:
上記ケースで、法人の清算の場面では、
個人貸付分のみの債務超過であった場合は、
個人に債権放棄をしてもらうだけでいいのでしょうか?
DESにしてからなど、何か特別なことをしたほうがいいのでしょうか?
Q3:
清算をせずに法人を継続する場合は、
個人の債権放棄について注意したほうがいい問題はありますか?
他の債権者や株主への影響についてです。
何卒、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
【1】債務免除した場合の個人の取扱
法人が個人からの借入金を債務免除してもらった場合、法人は債務免除益が計上され課税対象になることはご指摘の通りです。
一方個人の方は、これにより経済的利益が生まれることはありませんので、課税は生じません。
【2】精算の場合
清算時に借入金の債務免除益を計上する、という処理の場合、個人から債権放棄してもらうのみで手続き可能です。債権放棄通知書などの書面を作成しておくとよいでしょう。
債務超過になっているようでしたら、期限切れの欠損金の損金算入という規定が使える可能性があります。下記サイトをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/101006/pdf/08.pdf
この規定により、債務免除益の課税がなくなるか、少なくなる可能性があります。
なお、DES(借入金の資本組入)は、清算直前という場面では、貸付金そのものが債権価値を失っていますので、税務上認められないのでないかと考えます。
【3】清算をせず法人継続の場合
個人から貸付金の債権放棄をした場合、法人に利益が計上されますので、この利益により株価が増加する可能性があります。
このように、債権放棄されたことによって法人の株式の価値が高まった場合には、他の株主にとっては利益を得たことになります。
その結果、債権放棄した個人から、他の株主に対して贈与があったとみなされ、他の株主に対して贈与税の課税が生じることがありますのでご注意ください。
宜しくお願いいたします。
本投稿は、2015年04月11日 15時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。