業務委託契約先の会社から4年分の消費税支払い漏れが発生の連絡。修正申告になりますか?
修正申告になりますか?
業務委託契約をしている会社から消費税分の支払い漏れが発生していたので過去分も含めてお支払い致しますとの連絡がきました。
独身時代から働いていた会社から仕事を貰い、在宅で業務委託契約で働いている者です。
主人の会社の健保規約で配偶者が個人事業主になると年収に関わらず扶養から外れてしまうため、開業はせず税務署の方の指示により雑収入として毎年白色で確定申告をしています。
先日業務委託契約をしている会社から在宅委託者への消費税分の支払い漏れが発生していたので過去分も含めてお支払い致しますとの連絡がきました。
お恥ずかしながら独身時代はずっと給与収入だったため、必要経費の存在は知っていましたが、消費税が発生するという認識はありませんでした。
以下が会社から発行された支払調書に基づいての確定申告済みの年収になります(消費税は含まれておりません)
2018年 10万円
2019年 100万円
2020年 65万円
ちなみに今年2021年の年収は105万円を見込んでいます。
支払い漏れの消費税は提示された金額的に今年も含めた4年分だと思われ、12月末にまとめて入金予定になっています。
恐らく2018年~2020年分は各年ごとに修正申告になるのではないかと思っているのですが、消費税分は雑収入に加算して申告すれば良いのでしょうか?
個人事業主ではないので今の私と同じ状況の人がどのようにすれば正しいのかネット上でも情報を得られず、どのように修正申告をするのか、消費税の納税義務があるのか、納税義務がない場合還付という形になるのかもよくわからず困っています。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

安達幸男
シンプルな質問ですが、説明となると非常に難しい箇所なので、申し訳ありませんが、説明は若干長くなります。
まず消費税の取扱いについて説明しますと、消費税の納税義務者(申告と納付が必要となる者)となるのは、2年前の売上が1,000万円超の方になりますので、あなたは2018年~2020年のいずれの年も消費税の納税義務者になりません(消費税の申告と納付の義務がないということです。)。消費税の申告と納付の義務がありませんので、消費税の還付を受けるということもありません。
ところで、取引先から過去の分の支払について、消費税を加算して支払うということですが、本来、消費税の納税義務のない方は、免税事業者といって、消費税の納付義務がない以上、売上に消費税をオンして請求することはありません。しかし、あなたの取引先はしっかりしている会社のようで、免税事業者に対する支払も消費税を上乗せして支払っていただけるということだと思われます。この場合、あなたが受け取る消費税分は、実は消費税ではなく、消費税相当分の売上という扱いになりますので、この分は所得税の計算上は丸々利益になるということです。これは、消費税法上も認められており、特に問題はありません(もちろん先に述べたように、あなたは消費税の申告納付は必要ありません。)。
他方で、所得税の取扱いは、この消費税分を上乗せした金額が売上ということになります(雑収入が消費税分だけ増えるということです。)。したがって、売上が後日増えたということですので、過去に遡って、所得税の修正申告書を提出していただくということになります。
なお、あなたは、税務署の指導で不要から外れないように雑収入として申告しているとういことですので、おそらくは雑収入の所得(もうけ)の計算において、本来、収入-必要経費で計算するところ、家内労働者の必要経費の特例というものをつかって、必要経費を一律55万円として計算したものと推測されます。そうしますと、消費税分の上乗せ後の所得税の計算は、2018年は消費税率8%なので収入は108,000円で必要経費55万円を差し引くと所得金額、税額とも0円で所得税の修正申告は必要ありません。2020年は、消費税率10%なので収入は715,000円で必要経費55万円を差し引くとい165,000円となり、ここから基礎控除48万円を差し引くと所得金額、税額とも0円となりますので、所得税の修正申告は必要ありません。2019年は消費税率は10月から10%となっていますので、仮に売上110万円とすると、必要経費55万円を差し引くと55万円となり、ここから基礎控除38万円を差し引くと所得金額は17万円となりますので、これに税率5%を乗じると税額は8,500円の納税額が出ますので、この2019年分のみ所得税の修正申告が必要となります(あくまでざっとした計算です。)。
少し難しい説明だったかもしれませんが、消費税のことは気にしなくてよく、消費税分だけ売上が増えて儲けも増えたので、所得税のみ修正申告が必要になると理解していただければ結構です。
安達先生
お忙しい中、詳細なアドバイスありがとうございました。
とても分かりやすく勉強になり疑問や不安が解消されつつあります。
支払い漏れの消費税は売上(雑収入)とすれば良いのですね。
家内労働者の必要経費の特例について、2019年度の確定申告会場で税務署の方に相談した時に「家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人」のここ(国税庁の家内労働者の必要経費の特例のページ)に書いてある職業じゃないのでダメですと言われ、2019年と2020年も「売上-必要経費」で白色申告しました。安達先生に指摘され、改めて調べまして電力量計の検針人の後ろに記載されている「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます」←業務委託契約をしている1社からの仕事しかしていませんので、これに該当するのではないかと考えます。仕事内容は依頼された数百件~数千件の情報データにA・B・Cのいずれかの結果を付けて納品し、1件あたり対価をもらうパソコンを使用しての業務です。月曜日に税務署に問い合わせて該当するようであれば更正の請求をしようと思います。
消費税の支払い漏れ分は過去も含めて、現時点では今年度分の支払調書にまとめて加算するのでは?と上司から連絡がきまして、各年の売上金額が変わるのにそのようなことが可能なのかと疑問に思っています。一応計算上は年収130万未満をキープできるので扶養内にはおさまりはするのですが…。法律上問題なければ過去の修正申告はしなくてよくなりますが大丈夫なのでしょうか?
手間はかかりますが修正申告&(該当すれば)更生の請求をしたほうが納めた税を取り戻せるような気がします。過去の修正申告する場合、修正後の支払調書を発行してもらう必要がありますよね?
よろしくお願い致します。

安達幸男
追加の質問について回答します。ただし、あなたが業務委託契約をしている会社が、いかなる理由で消費税分の支払をするに至ったか、また、会社内部と外注先の処理についてどのように処理しようとしているのかが分かりませんので、的確な回答になるかは分かりません。相手先が、①過去の分も含めて今年度分にまとめて支払調書に記載するか、②各年分を訂正する形で各年分の支払調書を発行するか、この点は相手先の処理に従うことになるかと思います。相手先が過去分を支払うに至った理由が、会社のミスなのか、税務調査によるものか、会社内部の監査によるものか分かりませんが、おそらくは是正の仕方に関しては、税務署に照会しているのではないかと推測されます。そのため、会社の経理処理とあなたを含めた他の外注先の処理とを併せて整合性を取る形で処理をしていると推測されるからです(本来的には、各年分の支払調書を訂正するのが筋ですが、訂正するに至った理由が分かりませんので、会社の指示に従うほかないという意味です。)。
また、あなたの仕事内容が、家内労働者の特例を受ける事業かどうかは、あなたが調べたように、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業とするもの(例えば、ヤクルト販売と販売役務提供契約を結んでいる人、ヤマハやカワイのピアノ教室専属講師、特定の販売店の洋服の寸法直しをしている者、クリーニングの取次店など)も入っていますので、この点も併せて支払調書をもらった時点で、修正申告となるか、更正の請求をするか、一度税務署に相談した方がよいかと思います。余り役に立つ回答にならなかったかもしれませんが、よろしくお願いします。
本投稿は、2021年12月01日 00時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。