就農して農業を始めるにあたって行わなければいけない事は?
1年間無収入で研修を受け、年明けに就農認定がおりる予定です。今年は失業給付以外に収入がなかったため、来年確定申告を行うか住民税の申請をすればよいと思うのですが、今年購入した農機具等の経費は再来年の申告で控除されるのでしょうか。
まず、青色申告の申請をしなければいけないことはわかったのですが、農業でも開業届が必要なのでしょうか。軽トラや農機具などすでに購入しているものもあり、減価償却費として落とせるもの以外の経費を次年度控除することはできるのでしょうか。赤字繰り越しとして持ち越すには先に開業届をしておかないとだめなものでしょうか。会社員だったため全くわからず、ご回答のほどよろしくお願いいたします。
税理士の回答
こんにちは。
農業で独立される場合でも開業届は必要と考えられます。
というのも、開業届は新たに事業所得を生ずべき事業を開始した場合に提出する必要があるからです(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htmをご参照ください)。
ここで、事業所得には農業も入ります(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/b/03/order2/3-2_01.htmをご参照ください)。
したがって順序としては、①税務署へ開業届を出す、②(開業届を出すタイミングと同じで構いません)税務署へ青色申告承認申請書を出す、③記帳を行う、④決算・申告を行うという感じになるかと思います。なお、現に売上がなくとも、諸経費やトラックなどの固定資産の減価償却費を計上することはできると考えられます。なぜなら、準備行為時点ですでに事業は始まっていると考えられるからです。
所得税の申告上、「事業所得=総収入金額―必要経費」ですので、売上がなく、経費のみかかってしまったという場合は事業所得はマイナスとなります。
ここで、青色申告の場合、純損失の繰越控除といって、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できる制度があります。
要は、今年の赤字を来年以降の黒字と相殺できるというイメージです。
したがって、話を単純化すると、開業届と青色申告承認申請書を税務署へ提出し、記帳をちゃんと行い、期限内に申告すれば、来年以降にもうけが出ても、今年の損失と相殺ができるということです。なお、開業届・青色申告承認申請書は今年中に出さなければなりませんので、ご注意ください。
また、初期投資が大きい場合には、あえて消費税課税事業者選択届を提出することも考えておきましょう。つまり、開業初年度に赤字額が大きい場合は支払った消費税の方(モノ・サービスを買ったときに支払う消費税)が預かった消費税(売り上げに加えて受け取る消費税)より大きくなるのが一般的なので、還付をうけるためには、あえて消費税の課税事業者になっておく必要があるからです。ただし、一度消費税課税事業者になると2年は課税事業者のままですので、その点、有利不利をある程度計算しないと損することにもなってしまいます。
長くなりましたが、詳しくは管轄の税務署まで問い合わせていただくのが一番かと思います。
以上、ご参考までよろしくお願いいたします。
大変ご丁寧な説明をいただきありがとうございました。今年中に開業届と青色申告申請書を作成して
提出したいと思います。至急取り掛からせていただきます。ありがとうございました。
本投稿は、2017年12月13日 10時25分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。