電子帳簿保存法について
質問失礼します。
青色申告100,000円控除の簡易簿記で申告しています。
電子帳簿の義務化に伴い電子帳簿で保存しているのですが、特に金額の大きいお取引は、電子帳簿のみで保存することが少々不安です。
電子取引に関して電子帳簿で保存することは、大前提として同じ内容(クラウド内のスクリーンショット)を紙でプリントアウトして保存する場合は税務調査の場合に、経費等の証憑として認められますか?
時代に沿わないと言うのは承知しておりますが、やはり電子帳簿だけで保存すると言うのは怖いと言うのが本音です。
お忙しい中大変恐縮ですが、ご回答いただけますと幸いです。
税理士の回答

矢尾正俊
ご質問ありがとうございます。
電子帳簿保存法の改正により、電子取引においては原則として電子データで保存することが義務付けられています。ただし、いくつかの例外や補足事項がありますので、以下で詳しく説明します。
電子データ保存の原則と紙の保存について
電子データの保存が義務
電子取引の記録については、紙への出力ではなく、電子データとして保存することが法的に義務付けられています。これは、データの真正性(改ざん防止)や検索機能を確保するためです。
紙で保存した場合の扱い
電子取引の記録を紙で保存するだけでは、電子帳簿保存法上の要件を満たしません。そのため、税務調査において証憑として紙の記録だけを提出することは原則認められません。電子データ保存が必要です。
補足としての紙の保存
不安を軽減するために、電子データを補足的に紙で保存しておくことは可能ですが、これはあくまで「参考資料」としての扱いになります。本来の証憑としては電子データを求められる可能性が高いです。
不安を軽減するための対策
電子データだけの保存が不安な場合、以下の対策を検討されると良いでしょう:
クラウドサービスのバックアップ機能を利用
利用しているクラウドサービスにデータのバックアップ機能があれば、定期的に活用してデータ消失のリスクを軽減します。
ローカルストレージに保存
定期的に電子データをローカルにダウンロードし、USBや外付けハードディスクに保存することで、クラウド依存の不安を軽減できます。
税務署への相談
地域の税務署や税理士に相談し、電子データ保存に関して適切な方法を確認するのも安心材料となります。
まとめ
電子取引のデータは電子帳簿保存法に基づき、電子データとして保存する必要があります。紙へのプリントアウトは補助的な保存方法として有効ですが、法的な要件を満たすためには、電子データとして保存することを優先してください。不安を解消するためにバックアップや専門家への相談を行い、安心して対応できる環境を整えることをおすすめします。
追加でご不明点があればお気軽にお尋ねください!
具体的かつ明確なご回答、誠にありがとうございます。
要件を満たすよう内容にして、iCloud Driveの自動バックアップ機能を使っていますが、どうも不安です。
本来の証憑としては電子データと言うことになると思いますが、紛失リスクを考えると紙でも保存しておきたいのですが、やはりそれでは証憑にはならないのでしょうか。
また、スクリーンショットでの保存をメインとしていますが、こちらに関しては問題がありますでしょうか。
お忙しいところお時間をいただき申し訳ありません。
ご回答いただけますと幸いです。

矢尾正俊
追加でご質問を頂きまして誠にありがとうございます。
紙での保存について
電子帳簿保存法では、電子取引データは電子データで保存が必須です。紙にプリントアウトしただけでは正式な証憑と認められません。ただし、補助的な資料として紙を保存することは問題ありません。不安軽減のために併用するのは一手段ではありますが、正式には電子データ保存を優先してください。
紙でのファイリングの手間がかからない、ファイルスペースを取られないといったメリットもありますので、業務オペレーションをこの機会に電子保存主体に置き換えていくこともご検討ください。
スクリーンショット保存について
スクリーンショットによる保存は、以下の点で注意が必要です:
真正性の確保:編集が容易なため、税務署から改ざんリスクがあると見なされる可能性があります。
検索要件:スクリーンショットでは、電子帳簿保存法で定める電子データの検索機能(取引日付、金額、相手先など)を満たせない場合があります。
可能であれば、取引先から受け取ったPDFやCSVなどの元データをそのまま保存してください。
安心のための対策
バックアップを強化:iCloud Driveに加え、外付けHDDやUSBメモリに定期的に保存。
電帳法対応サービスの利用:電子帳簿保存法に対応したクラウド会計ソフト(例:マネーフォワード、freee)を活用。
不安を解消するための具体策をご提案しましたが、さらにご質問があればお気軽にご質問ください。
とても分かりやすいです。
ありがとうございます。
教えていただいたことを元に電子帳簿保存を引き続き行っていこうと思います。
現在は猶予措置として、相応な理由があれば、プリントアウトのような紙保存が認められていると言う認識でしたが、こちら間違っている解釈でしょうか?

矢尾正俊
ご認識のとおり、2024年末までは相応の理由がある場合の猶予期間とされております。以下に詳細に回答させて頂きます。
電子帳簿保存法の猶予措置について
2024年以降、電子取引データの電子保存が義務化されますが、新たに設けられた猶予措置により、特定の条件を満たす場合は一時的に紙での保存が認められています。ただし、最終的には法要件を満たした電子保存が求められます。
猶予措置の「相当の理由」
『電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』問61では、次のようなケースが「相当の理由」として認められる可能性があるとされています。
経済的理由(CASE1)
電帳法対応ソフトの導入に必要な費用を負担できない場合。小規模事業者や個人事業主など、財務的な余裕がないケースが該当します。
人手不足(CASE2)
電子保存作業を行う人員が不足している場合。特に小規模事業者で対応が困難な場合が考えられます。
これらの理由が認められるかどうかは、所轄税務署長の判断に委ねられます。ただし、「資金繰りや人手不足が理由ではない場合」や、対応可能な環境が整っているにもかかわらず電子保存を行わない場合、猶予措置の適用は認められません。
新猶予期間における4つの注意点
事前申請は不要
猶予措置を利用するために国税庁や税務署への報告・申請は必要ありません。
税務調査での説明責任
税務調査時には、対応できない理由と今後の改善計画について具体的に説明する必要があります。準備不足が理由の場合、現状を明確に伝えましょう。
データ保存の要件を満たせていない場合は紙でも保存
電子保存が難しい場合、紙にプリントアウトして保存しておくことが必要です。ただし、これは補助的な対応であり、最終的には電子データでの保存が求められます。
猶予期間は永続しない
猶予期間に終了期限は明記されていませんが、「相当の理由」が解消された時点で電子保存が義務付けられます。準備が整い次第、速やかに電子保存への移行が必要です。
対応のポイント
猶予措置を利用する場合でも、以下を心がけることが重要です:
電子保存への準備を進める:対応ソフトや社内ワークフローの整備を計画的に進める。
紙保存を補完的に活用:電子保存が困難な場合は、プリントアウトした書面を適切に管理する。
税務署との連絡を密に:税務調査に備え、現在の状況と今後の計画をしっかり説明できるようにする。
まとめ
新猶予措置により一定の条件下で紙保存が認められる場合がありますが、これは一時的な対応です。経済的理由や人手不足など「相当の理由」がある場合に限られるため、最終的には電子保存に対応することが求められます。猶予期間中にシステムやワークフローの整備を進め、適切な対応を心がけましょう。
さらに質問があればお気軽にお尋ねください!
本投稿は、2024年12月23日 18時04分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。