母より信託された家の売却の確定申告について
施設に入居している母より、入居前に住んでた家を家族信託(母が委託者・受益者、私が受託者)しています。私も別の所に住んでいるため、母から信託された家を売却したいと考えています。
売却後の譲渡所得の確定申告に関して、いくつかお教えいただきたいことがあります。
1)受益者は母であるため母の利益になりますが、、売却の契約は委託者・受益者である母となるのでしょうか? それとも、委託者である私で契約することになるのでしょうか?
2)上記後者(委託者である私で契約者)の場合、受益者である母の利益にあったことを税務署に知らせることになるのでしょうか?
3)母が家を出て施設に入居したのは昨年の4月になるため、居住用財産の3,000万円特別控除を利用することは可能でしょうか?
4)居住用財産の3,000万円特別控除を利用して、譲渡所得が0円になった場合、確定申告の必要はないでしょうか?
何卒宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

1)受託者である私が売買契約をすると考えられます。
2)受託者は「信託の計算書」を信託受益権の譲受者は「信託受益権の譲渡の対価の支払調書」をそれぞれ税務署に提出することとされております。
3)譲渡期限に関する要件は満たしていると思われますので、他の要件も満たしていれば3,000万円の特別控除の適用は可能と考えられます。
他の要件については、国税庁HPタックスアンサーNO.3302をご覧ください。
4)特別控除を適用するには、特別控除後の所得金額にかかわらず確定申告書に特別控除を適用する旨記載して提出することが必要とされています。
なお、確定申告は委託者兼受益者であるお母様の名前で行う必要があります。
加門先生
早々のご回答、本当にありがとうございます。
今回の母親の場合、3,000万円の特別控除の適用は可能なので、確定申告は必要とのことで理解いたしました。
1)及び2)においてもう少しご教示いただきたく存じます。
・信託受託者である私が契約者となるため、税務署に信託不動産であることを知らせる目的で、受託者は「信託の計算書」を、信託受益権の譲受者は「信託受益権の譲渡の対価の支払調書」をそれぞれ税務署に提出することになるのですね?
・受託者の「信託の計算書」、信託受益権の譲受者の「信託受益権の譲渡の対価の支払調書」は、受益者である母親の確定申告の必要書類として確定申告時に税務署に提出すれば宜しいのでしょうか? それとも確定申告とは別に提出することになるのでしょうか?
何卒ご教示の程お願い申し上げます。

① 信託の計算書は信託不動産を知らせるというより、信託財産の売却による収益等の内容を計算書に記載して、受託者が提出することになります。
記載要領に不明な点がある場合には提出先の税務署にお尋ねください。
② 信託の計算書は受託者が提出すればよく、受益者はそれを提出することも確定申告書に添付することも要しません。
加門先生
再度のご回答深謝申し上げます。私の理解が不足し、たいへんご迷惑をお掛けしております。
信託不動産を売却した時、「信託の計算書」を受託者である私が税務署に翌年の1月1~31日の間に提出し、その後、委託者兼受益者である母が、3,000万円の特別控除の適用のため、確定申告をするということですね。
先生が記載いただいた内容でもう一つ以下のことが理解できていませんので、何卒ご教示いただきたく存じます。
先生が最初に記載されている「信託受益権の譲受者」とは、信託不動産を売却した場合、買主(不動産会社に直接売却した場合は不動産会社)となる、つまり、信託受益権の譲受者(信託不動産を購入した不動産会社)が、「信託受益権の譲渡の対価の支払調書」を税務署に提出することになるのでしょうか?
何卒宜しくお願い申し上げます。

前段、後段ともご理解のとおりです。
加門先生
何度もご回答いただき、本当にありがとうございました。売却時には、買主(信託受益権の譲受者)に「信託受益権の譲渡の対価の支払調書」の税務署への提出の必要性について話をいたします。
先生の丁寧なご回答のお陰で、頭の中が整理されました。深謝申し上げます。

お役に立てたとすれば幸いです。
本投稿は、2024年12月28日 14時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。