土地賃貸収入の所得税支払いについて
私はサラリーマンで給与収入のみで生活しておりますが、数十年前父が亡くなり相続した土地が実家近くにあります。
私は実家から、かなり離れた場所に住んでいるため、実質の土地の管理者は母親になっています。その土地には母親名義の貸店舗(こちらも相続したもの)が建っており、母親が賃貸収入を得ていました。そちらの賃貸収入については、先方と母親が契約しており、確定申告も母親の収入として行っておりました。
しかし、先日、とある会社から、その土地を借り、貸店舗を取り壊して別な建物を建てたいという相談がありました。貸店舗はかなり老朽化しており、最近は借り手も無かったことから話を進めようと思いましたが、いくつか問題が発生しました。
まずは貸店舗が銀行からの数千万単位の借金(相続で母親名義)の担保になっているため簡単に取り壊せないこと、土地の賃貸契約のため、土地の持ち主である私が契約しなければならないことです。
私は現在も給与収入から、その土地の固定資産税を支払っており、土地の賃貸契約を
行ったとしても、それのほとんどが母親の銀行からの借金に消えてしまう想定でおります。そのため、私名義で契約すれば、実質の収入が無い状態で、私が土地賃貸収入の所得税も支払うことになるかと思います。そうなると、正直今の給与収入では支払えないかもしれません。
銀行としても、土地の賃貸収入を借金の返済に充てる前提でなければ貸店舗の取り壊しに同意しない(もしくは別の担保を提供しろ)と言っています。
これでは契約できないと思い、各所に相談しましたが、大半は前述しているように原則として契約者である私が所得税を支払うことという回答を得ました。ところがとある税務署に相談したところ「簿価、金融機関からの借入残高より返済金額があまりにも多ければ、母親に所得税が発生する」との見解を頂きました。また、私と母親間で貸店舗の取り壊しによる担保分を土地賃貸収入の満額を毎月支払うという前提で覚書を交わした方がよいというアドバイスも頂きました。
この覚書を作成すれば、おそらく銀行も安心して貸店舗の取り壊しに同意するかと思いますが、私が契約を行っているのに、母親が貸店舗賃貸の時と同様、実質母親の収入として申告して問題ないのでしょうか。ご回答よろしくお願い致します。
税理士の回答

小野陽祐
現状は、貴殿とお母様は土地の使用貸借という関係、貸店舗使用者とお母様は通常の賃貸借という関係だと思います。
仮に貸店舗を取り壊した場合、新しい土地使用者と貴殿は土地の賃貸借を結ぶ関係となりますが、新しい土地の使用料とお母様は何の関係も発生しないため、この収入をお母様の収入とすることには無理があると思います。
貴殿がお母様にお金を支払う名目があるとすれば、貴殿の都合で現在あるお母様の建物を取り壊す補償料のような名目であると思います。税務署の方が貴殿とお母様の間で覚書を交わしてくださいと指導したのはそのような意図であると思います。簿価とその後に支払う金額とのバランスによってはお母様に譲渡所得税が発生するということであると思います。
新しい土地使用者からの収入は貴殿の収入となりますが、貴殿はそこから差し引く経費として上記のお母様へ支払うべき建物の補償料のような名目の金額を差し引くことができると思います。その差引が年間20万円を超える場合には貴殿は確定申告が必要となります。
丁寧なお返事ありがとうございました。
知り合いの行政書士経由で税務署に相談して頂いたため、今後契約に至ったとしても、税務署から賃貸収入に関して説明を求められた場合、私が趣旨を理解していないと明確な回答ができないと思い質問させて頂きました。
(これから支払調書にもマイナンバーが記載されるようになり、お金の流れが明確になりますから・・・)
以下の文書は行政書士からサンプルで作成頂いた覚書の一部ですが、小野先生が仰るように、建物の撤去に関する内容がメインのようですので、もし契約に至った場合は、ご説明頂いた内容で回答したいと思います。
お忙しい中ご回答ありがとうございました。
甲:母 乙:私
1.乙はその所有する土地を株式会社〇〇〇〇に店舗用地として土地賃貸することにしたので、甲の建物を解体撤去する必要があること。
2.しかし、甲所有の建物は金融機関の抵当権が設定されており、金融機関からの借入残高も△,△△△万円あること。
3.乙は株式会社〇〇〇〇に××年間の契約で賃貸するので、株式会社〇〇〇〇から受け取る賃料の中から下記の金額を甲に支払うこと。
①□□□,□□□円(月の賃料全額)×〇〇〇回=△△,△△△,△△△円(開店日の月から)
②〇〇〇,〇〇〇円(借入残高-①)× 1回= 〇〇〇,〇〇〇円(111回目)
本投稿は、2016年03月15日 17時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。