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アメリカとの租税条約と確定申告

アメリカ在住です(日本に住民票をおいていない状態で、マイナンバーもありません)。
今年から日本の企業から業務委託される形で、フリーランス(IT系)で働いています。
(その日本企業とは業務委受託契約を結んでおり、例えばこちらが10万円分の業務を行った場合、委託費として消費税を含めた10万8千円が支払われる、という状況です。支払いは日本の銀行口座に日本円で振り込まれます。)

国税庁のHPを見たところ、アメリカと日本には二重課税を回避するための租税条約というものが結ばれているようなのですが、

質問1)
日本からの収入を得て、アメリカに居住している形になりますが、日本で払うべき税金、アメリカで払うべき税金の区別はあるのでしょうか?

質問2)
委託費という形で支払いを受けていますが、確定申告は日本、アメリカの両方で行う必要があるのでしょうか?

税理士の回答

ユアクラウド会計事務所の村井隆紘と申します。
一般的なご回答を提示させて頂きますが、諸条件により結果が異なる可能性ございますことご了承ください。また、長文となりますため、複数に分けてご回答させていただきます。

まず、我が国の所得税法では、非居住者に対する課税の範囲を「国内源泉所得に限る」こととされています。また、「非居住者」であることを前提として回答をさせて頂きますが、「居住者」とは、国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいい、「居住者」以外の個人が「非居住者」とされます。

質問1)
日本からの収入を得て、アメリカに居住している形になりますが、日本で払うべき税金、アメリカで払うべき税金の区別はあるのでしょうか?

上述のとおり、非居住者の場合、「国内源泉所得」を有するのであれば日本での課税対象となりますが、源泉分離課税とされる所得については確定申告は不要となります。
「国内源泉所得」の種類は様々ですが、ご相談者様の所得が、給与や人的役務の提供であれば、その所得は源泉分離課税とされ20%の所得税が源泉徴収されるため、それ以外の所得がない場合は確定申告は不要となります。この場合、原則として米国では課税されないこととなります。一方、事業所得とされ、日本国内に恒久的施設を有しない場合には、原則として日本での課税はされませんが米国での所得として扱われます。
なお支払いが日本国内の銀行に行われている場合には、米国での所得であっても日本国内の所得と認識される可能性もあり、税務署や税理士等へご相談されることをお勧め致します。
参考:非居住者に対する課税関係の概要
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/23/01.htm

質問2)
委託費という形で支払いを受けていますが、確定申告は日本、アメリカの両方で行う必要があるのでしょうか?

質問1)の通り、いずれかの国内での所得であれば、いずれかの国で確定申告を行い、状況に応じて他方の国で外国税額控除の申請を行うこととなります。

ご不明点等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
以上、お役に立てましたら幸いでございます。

ユアクラウド会計事務所
村井様

丁寧なご回答、ありがとうございます。
まだ理解できていない部分があるため、追加で質問させてください。

私の場合は日本の非居住者に該当します。
私自身は会社に所属しておらず、また会社を運営している訳でもなく、個人でIT系のサービス(Webシステム構築など)を提供して報酬を得ています。

(質問3)
私のケースでは、「給与や人的役務の提供」での所得ではなく、「事業所得」に該当するという認識でよいでしょうか?

(質問4)
事業所得であれば日本では課税されないということですが、「課税されない=日本での確定申告は不要」という認識でよいでしょうか?

何卒よろしくお願い致します。

(質問3)
私のケースでは、「給与や人的役務の提供」での所得ではなく、「事業所得」に該当するという認識でよいでしょうか?
個別の判断が必要となりますため、より確実な回答につきましては詳細をお伺いさせて頂く必要がございます。一般的には、人的役務の提供として源泉徴収で完結することが多いですが、税務署や税理士等へご相談されることをお勧め致します。

(質問4)
事業所得であれば日本では課税されないということですが、「課税されない=日本での確定申告は不要」という認識でよいでしょうか?
事業所得であるだけでなく、恒久的施設を有しないということが必要となります。恒久的施設を有しない非住居者の事業所得については課税対象外となりますため、確定申告も不要となります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになり、国によって取り扱いが異なる可能性がございます。

以上、お役に立てましたら幸いでございます。

ユアクラウド会計事務所
村井様

度重なる質問に対し、丁寧にご回答いただき、ありがとうございます。
これまで確定申告や税金の知識はゼロに等しく、この先の納税等がただただ不安だったのですが、村井様のお陰で私のすべきことが明確になり、大きく前進できました。重ね重ねありがとうございました。

最後に、お礼が遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。
また機会がありましたら、何卒よろしくお願い致します。

本投稿は、2016年10月24日 16時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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