住宅取得等資金贈与について
新築を購入することになりました。
今年の5月に契約し、12月着工、翌年2月中に上棟予定でした。
家庭の事情により、7月に祖母から住宅取得等資金贈与1110万円を受領しましたが、不動産会社のミスで土地の引き渡しが約3ヶ月ずれ込み、3月15日までに上棟が間に合わないことが判明しました。
一旦祖母に返還し、1月1日以降に再度贈与を行うのは難しい状況です。
この場合は、暦年贈与にて贈与税を支払う以外の方法はありませんでしょうか?
税理士の回答
- 今年7月に祖母から1,110万円の贈与、12月着工予定、当初は翌年2月上棟予定だったが、土地引渡しの3か月遅延で翌年3月15日までに上棟(屋根がかかる状態)に至らない見込みとのこと。
- この場合、住宅取得等資金の非課税の適用要件である翌年3月15日までの「新築」到達を満たせないため、非課税の適用はできません。
- では代替策は何か。結論としては次の2択です。
1) 暦年課税で申告・納税
- 今年分として、1,110万円-基礎控除110万円=1,000万円が課税価格。祖父母→18歳以上の直系卑属への贈与は「特例税率」が適用されます[1]。おおまかな目安税額は約210万円(細かな控除・税率は手引きの税率表参照)。
2) 一般の相続時精算課税を選択
- 祖母がその年1月1日現在で60歳以上、あなたが18歳以上であれば、住宅目的に限らない「一般の相続時精算課税」を選択でき、2,500万円まで非課税(特別控除)、超過分は一律20%の贈与税です。今回の1,110万円は控除内に収まり、今年の贈与税は0円にできます。選択は翌年の申告時に「選択届出書」を添付して行います。
- 注意点として、いったんこの制度を選ぶと、その後同じ贈与者(祖母)からの贈与は原則すべて相続時精算課税となり、暦年課税に戻せません。将来、祖母の相続が発生したときに、この贈与分が相続財産に加算されて精算されます。
住宅取得等資金の贈与の特例は、贈与があった年の翌年3月15日までに、次の要件を原則クリアする必要があります。
①贈与を受けた資金の全額をマイホームの購入対価に充てること(支払いをすること)
②マイホームの新築または取得が完了すること
③マイホームに入居すること
しかし、
②については翌年3月15日までに屋根(その骨組みを含む)が完成していること
③については翌年12月31日までに入居できること
ができれば、住宅取得等資金の贈与の非課税の適用が可能です。
この場合、贈与税の申告をするときは、その入居が見込まれることを証明するための資料として一定の書類の添付が必要になります。
その証明書は
②については「住宅用家屋が新築に準ずる状態にあることの証明書 」(建設業者が証明)
③については、「新築をした住宅用の家屋を居住の用に供したときは遅滞なく登記事項証明書等を所轄税務署長に提出をすることを約する書類」(申告者自身が作成)
ですが、様式が特に定まっているわけではありません。
国税局が独自に様式を定めている場合がありますので、所轄の国税局(国税庁背はありません)のホームページを検索するか、所轄の税務署に問い合わせいただくことで入手するすることができます。
本投稿は、2025年09月08日 03時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。