1円で株式譲渡を受けた場合の贈与税
勤務先の代表(100%株主)が死亡しましたが、代表の親族である役員一同(実際に経営や日常業務には関わっておらず役員報酬も無い)が会社経営の意思がありません。
このため従業員である私(役員と血縁関係は無い。他に従業員はアルバイト1名だけ)と株式を相続した役員を含む役員一同との間で、全株式を従業員である私に1円で譲渡して私が代表に就任して会社を存続させ、現在の親族役員は全員辞任して会社から去ることで同意しました。
多額の退職金を支払うと会社に運転資金がなくなるため、従業員も役員も退職金については無しの方向で調整中。最終的には株式譲渡契約をかわす予定です。
会社は小さな会社で、資本金1000万円、前期の決算では純資産が約500万円、内訳はほとんどが現金預金で、土地や他社の株式を保有しているなどはなく、現在は借り入れは全くありません。
前期は約200万円の黒字でしたが、ここ数年は毎年100万円以内の赤字続きでした。
会社の全株式を1円で譲渡では、株式の譲渡を受ける私には来年に贈与税が発生すると思いますが、
「時価」-「譲渡1円」-「控除年間110万円」の金額に対して贈与税が発生するのでしょうか?
また、「時価」とは前期の年度決算の会社の純資産なのでしょうか。それとも譲渡契約の日の純資産なのでしょうか。
譲渡契約の日の純資産だった場合、下記のようなことをして問題ないでしょうか。
私の従業員としての退職金を株式譲渡契約の前に会社から支払ってもらう。
(会社の預金残高以内で、勤続年数×40万円の退職金の控除額以内でもある金額で)
退職金の支払い後に株式譲渡契約をする。退職金を支払ったことにより純資産は大きく減っているので私が支払う予定の贈与税も大きく減らせる。
会社の運転資金確保のため、契約の翌日に支払い済みの退職金全額を会社に貸し付ける。
私が代表に就任したあと、会社の経営状況を見ながら数年をかけて貸付金を返済してもらう。
よろしくお願いします。
税理士の回答

安島秀樹
特別の利害関係のない質問主さんと元代表の親族が合意してるので、時価は1円で、贈与税はなしでいいのいではないかと思います。弁護士さんに確認しながら契約書を作ってもらうといいです。退職金はその通りでいいのではないでしょうか。
安島先生
ご回答を頂き、ありがとうございます。
時価が1円でよいとは思っていなかったので驚きました。
質問の後半で書いた手順は贈与税を低い金額にするために考えたことなので、贈与税がないなら無理に退職金を支払って頂く必要もないため、役員の方と相談して最後のところをつめていきたいと思います。
また、契約書はアドバイスのとおり弁護士の方にお願いすることにします。
ありがとうございました。

安島秀樹
株の売主の相続人の人たちは
相続税の計算のときに、会社の株がいくらなのか評価をしています。
その金額を聞くといいです。
その金額をみて1円の取引を承諾したのだと思います。
1円譲渡で問題ない取引なのだと思います。
安島先生
ご回答をしていただき、ありがとうございます。
役員である相続人は前期(今年6月)の純資産約500万円が会社の価値だと最初は主張していましたので、これが相続税のために算出した金額と思われますが確認してみます。
私の長年の会社に対する功労を考慮して、少し下げて400万円くらいで全株式を買い取って欲しいと提案がありました。その後いろいろとやりとりがあり、最終結論として1円譲渡としてそろそろ契約をかわしましょうとなった経緯があります。
相続人が最初の400万円から1円に同意した理由を話さないので想像になりますが、1円譲渡に同意した理由は下記のどれか、またはいくつかだと思います。
1)私以外の誰かに全株式を売ろうとしても、彼らの主張する純資産500万円では買い手がいない。
2)私に400万円を自己調達する能力がないため、相続人は私が会社から400万円を借りてそのお金で株式を一括で買い取ることを提案してきたが、純資産500万円といってもそのようなことをしたらすぐに運転資金が不足するので全く現実的な案ではないと判断した。
3)譲渡が成立しない場合は会社清算もお互いに視野には入れていました。交渉が決裂した場合に私を含む従業員二人が今すぐにでも会社を辞めてしまうと、相続人たちだけでは事業内容や取引先などもよくわからず、清算が長引くと100万円も残らない可能性も否定できず、労力を考えるとわりにあわないから1円でいいから会社を引き渡して今すぐ手を引きたくなった。
4)相続人に聞いてみないとわかりませんが、純資産以外で算出した評価が1円に近い金額であることを私に黙っている状態で、最終的に1円で納得した。
5)無くなった代表が過去に会社に貸し付けていたお金が約700万円、ほぼ同額の会社の積立金がありました。これは相続人も私も知っています。しかし株式譲渡の可能性がある私には何も言わずに会社の積立を解約して相続人に全額一括で返済した。このことに後ろめたさをなどを感じて1円譲渡で同意した。(純資産500万円は、貸付金を返済後の純資産です)
最初から1円という交渉ではなく上記のような経緯がある場合は、つまり同意はしているものの本心では納得していない可能性がある状態では、時価1円とはならず純資産500万円や、最初に主張されていた400万円となるのでしょうか。

安島秀樹
みなさん市場でマンションの売買をしてますが、売値と買値をあわせてるだけで、みなし贈与税など計算してる人はいません。ネットのサイトで、会社を売りたい人、買いたい人の仲介をするサイトがあって、私のお客さんも利用してますが、高く売りたい、安く買いたいというだけで、みなし贈与税のための評価などしていません。純資産500万で買う人がいなくて、相手の人は株を手放したいのですから、1円譲渡で問題ないと思います。
安島先生
ご回答を頂き、ありがとうございます。
このようなことは初めての事で自分で調べてもわからないことだらけで、大変助かりました。
あらためて、御礼申し上げます。ありがとうございました。
本投稿は、2019年07月07日 17時24分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。