住宅ローンを使いながら直系尊属からの贈与を非課税にすることはできますか?
新築の注文住宅の建築を予定しており、今年7月に建築請負契約を締結しました。現在のスケジュールでは、2020年3月15日までには入居可能な見通しです。
今年9月に父から住宅取得等資金として1,200万円の贈与を某信託銀行を通じて受けました。
また、同月中に金融機関と総額5,000万円の住宅ローンの契約を締結する予定です。同月中にまずは土地の決済を行うべく、住宅ローンが実行される予定です。その後、建築についても、2019年10月以降、数回にわたって支払う約定となっており、その度に住宅ローンが実行される見込みです。
住宅ローン実行の度に金融機関を訪問し、その場で住宅ローンの入金伝票と一緒に、住宅建築会社への出金伝票を起こさなければならないと、金融機関から言われています。
現状、住宅総額は5,500万円程度となる見通しで、住宅ローン全額では賄えませんが、贈与総額を加算した額まではいかない状況です。注文住宅の特性上、最終的な支払総額は出来上がり時点でないと明確ではないため、贈与を受けた1,200万円は余剰資金としてもっておきたい一方、非課税扱いにするには、贈与の1,200万円全額を住宅購入に当てなければならない理解です。
ただ、住宅ローンを借り入れる金融機関の特性上、実行されたローン額が同時に建築会社への支払に流れて行ってしまうため、贈与を受けた1,200万円を住宅メーカーの支払に当てるタイミングがありません。
このような状況の中で、贈与を受けた1,200万円を非課税にて取扱えるのか、ご相談したいです。例えば、住宅ローンと贈与金を同一口座で管理し、その口座から全ての住宅購入費用を支払うことで、余る見込みの700万円は、贈与額が余ったのではなく、住宅ローンが余ったと整理することは出来ないのでしょうか。ご回答頂けますようお願いします。
税理士の回答
余る見込みの700万円は、贈与額が余ったのではなく、住宅ローンが余ったと整理することは出来ないのでしょうか。
流石にこの解釈は無理があると思います。ご記載の形は実質オーバーローンとなり、そもそも住宅ローンにはオーバーローンは基本的にありえませんので、住宅取得資金贈与の特例は否認される可能性が高いと思います。
ご事情やご希望は理解できますが、法は公平を原則としていますので、ご記載のような個別理論は残念ながら通じないと思います。
前田先生
ご回答ありがとうございます。
ご指摘の通り、無理な理論と理解しております。
一方で、注文住宅の特性上、コスト確定が最後までみえない状況で、
贈与金を特例扱いとする方策はないものでしょうか。
コスト確定が見えないとはいえ、大きな買い物である家で数百万円も見込みが違った…というのはなかなか通用しないと思います。
残念ながら特例扱いというのもないと思います。
700万円は相続時精算課税制度を選択するということも考えられますが、一度選択すると暦年課税は適用されない、相続時に700万円は相続財産に加算されると側面もありますので、お父様の相続財産等も加味して慎重に検討する必要があります。
相続時精算課税制度については、以下の国税庁HPをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
前田先生
ありがとうございます。
ルールに従って申告する前提にたつと、
余る見込みの700万円に対して、贈与税を
納める想定でいればよいのでしょうか。
脱法性を模索するものではありませんので、
ご教示頂けますと幸いです。
700万円を暦年贈与として贈与税の申告納付をするか、前述の相続時精算課税を選択して贈与時の贈与税負担を回避し相続時に相続税を納付する、という選択になろうかと思います。
なお、相続時に700万円を加算した相続財産が相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告も不要です。以下をご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4301.htm
前田先生
ありがとうございます。
前者の選択にて手続きを行おうと思います。
ご回答ご対応、感謝致します。
住宅ローンと贈与金を同一口座で管理し、その口座から全ての住宅購入費用を支払う
この方法では、贈与資金を住宅購入費用に充てていると考えて差し支えないと考えます。
「お金に色は付いていない」という言い方をしますが、どちらのお金かは分からないということになると思います。
つまり、贈与資金が充てられていないとは言えないし、証明もできない。
したがって、非課税にできると考えます。
※法律等にはありませんが、「疑わしいときは納税者有利に」と考えます。
※なお、別口座のケースは難しいでしょう。
鎌田先生
ご回答ありがとうございます。
先生によって、ご見解はことなるものなのですね。
心強いご回答、ありがとうございます。
私も、お金に色はないため、区別は難しいのでは?
と素人ながら考えておりました。
同一口座で管理する際の、あるいは
贈与額全額を特例として申告する際の
留意点がありましたら、ご教示頂けますよう
お願い致します。
建築請負契約に係る消費税は8%ということでしょうか。
その上で1,200万円の非課税では、省エネ等住宅の証明書が必要になります。
(留意点)
イ 支払日の前に贈与を受けること、この点は大丈夫のようです。
ロ 家屋の名義人からみて、ご自身の親御さんからの贈与であること。
義理の関係はダメです。
ハ 贈与を受ける年の所得が、2,000万円以下であること。
ニ 家屋の床面積が、50㎡以上~240㎡以下。
ホ 贈与税の申告期限(贈与の翌年の3月15日)に遅れないこと。
所得税の確定申告とは別の申告です。
鎌田先生
ありがとうございます。
消費税は10%になりますが、
ご指導いただいている留意点については
すべて充足しております。
消費税の点で何か特記がございましたら、
ご指導ください。
消費税が10%の場合、一般住宅で2,500万円まで非課税になります。
基礎控除110万円とあわせて、2,610万円まで無税です。
この場合には、省エネ等住宅の証明書は不要です。
繰り返しになりますが、申告期限(来年の3月15日)には、くれぐれも遅れないようにしてください。
※宥恕規定といって、「やむを得ない事由」での救済がありません。
他の多くの特例では、宥恕規定がありますが、この特例にはありません。
鎌田先生
ありがとうございました。
ご指摘事項をよくよく留意の上、
手続きさせていただきます。
ご丁寧な回答、深謝致します。
ありがとうございました。
蛇足かもしれませんが、補足します。
建設業者が個人の場合には、親族などではないこと。
来年の申告期限には、棟上げまで工事が進行していることが必要です。
蒲田先生
ご丁寧にありがとうございます。
追記頂いた2点についても問題ありません。
先生のご指導に基づき、手続き進めさせて頂きます。
本投稿は、2019年09月05日 22時43分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。