共有名義の土地家屋が負担になった場合
私と老母の共有資産となっている実家の維持を、老母が負担に感じ始めたようで、どうしたものか悩んでいます。
両親はA市とB市にそれぞれ50坪ほどの土地家屋を持っていましたが、父が死んだときに、Aの土地家屋を私が相続放棄して母と兄の共有名義に、母が居住していたBの土地家屋を兄が相続放棄して母と私の共有名義としました。Aを母は改築して賃貸物件とし、母の大切な生活費の元になっているようです。その後、母はA市近くに住む兄を頼って老人施設に入り、住んでいたBは空き家になったので賃貸しました。私はB市から離れたC市に嫁ぎ、住んでいます。これ以上の出費はイヤだとBについては改築しないまま賃貸しているのですが、やはり入居者が見つからないことが多いです。共有なので、応分の維持費負担をする、と私はかねがね申していますが、賃料を100%欲しいから維持費も自分だけで払う、と主張してきました。最近、賃料がはいらないままに固定資産税や火災保険など出費ばかりがかさむことから負担に感じ始めたらしく売却したいと言いだしました。希望どおりに売却できるかも不確定ですし、なによりわたしは実家であった家やB市に愛着があり、売却したくありません。維持費をすべて私の負担にするためには、いっそ生前贈与して100%私のものにすればよいのでは、と思うのですが、母はそれも納得できないようで兄に相談する有様です。兄はすでにBの権利を放棄したので、共有名義者の私にこそ詳細な相談をしてほしいのですが・・・。私に贈与された場合私は、Bを賃貸しやすいものに改築したいと考えています。
老母が負担に感じ始めた実家をどうするのが一番よいものか、ご意見をお聞かせください。共有名義者の私の意図を無視して、母一人で売却できるものでしょうか。
税理士の回答
先ず、共有物件については、共有者の同意がなくても自己の共有持分を売却し又は贈与することはできますが、買主等は所有権の全部を取得できないとすれば、利用することに制約が生じますので、買手があるとしても限定されると思います。
次に、お考えのようにお母様が持分を贈与してくれれば、あなたは贈与税を負担すればよいだけですが、それに抵抗があるようなら、あなたがお母様から持分を買い取って思うように利用する方法が考えられます。買取代金を一度に払うのが困難であれば分割も検討されたらいかがでしょうか。売買の場合は、お母様に譲渡所得としての所得税・住民税がかかります。
また、贈与税の負担が軽くて済む家屋の持分のみを贈与してもらい、土地についてはお母様の持分に対応する地代を払うという方法も考えられます。ただ、この方法は借地権課税の問題が発生しますので、具体的には税理士と契約して相談されるとよいでしょう。贈与または売買するのを全部とするのか、家屋のみ若しくは土地のみとするのが、税負担や共有者の意向も踏まえて、税理士に検討してもらうのがよいように思います。
本投稿は、2019年01月12日 21時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。