生活費は相続財産の対象になりますか?
同居の母が亡くなりました。専業主婦の母と障害持ちの私は共に父の扶養で、毎月父から振り込まれる生活費と年金で暮らし、生計を一にしておりました。生活費は母名義の口座に振り込まれておりました。質問ですが、母が亡くなった日に口座にあった生活費は、相続財産の対象になると身内から指摘されたのですが本当にそうなのでしょうか。
税理士の回答
配偶者が無職であった場合には、口座の名義が配偶者「名義預金」となっていても、実質的に被相続人の遺産とみなされれば相続税の対象になります。
しかし、配偶者は、相続人おいて、配偶者の税額の軽減が受けられます。
「参考」
No.4158 配偶者の税額の軽減
[平成30年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注) この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。

お父様とお母様の間で生活費として贈与する旨の合意(あげる&もらうの合意)があった場合には、お母様の口座に残っている資金はお母様の財産になります。
従って、お母様にご相続が発生した場合にはその資金は相続財産として相続税の課税対象になると考えます。
一方、お母様名義の口座はお父様も含めた一家の生活用口座であって、その資金はお父様の収入から形成されており、かつ、その口座の管理支配はお父様がなさっていた場合には、その口座の真の所有者はお父様と考えられます。このような場合にはお母様にご相続が発生した場合でもお母様の相続財産には該当しないと思われます。
ご相談のケースがどうであったのか、実態をみて判断されることになると考えます。
父は有職です。父の「名義預金」になるのか、母に贈与されたものとして相続税の課税対象になるのか、どちらかということですね。そもそも扶養義務における、毎月消費される生活費は非課税という認識でおりましたので、色々勉強になりました。両先生共、ありがとうございました。
本投稿は、2019年05月01日 16時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。