個人事業主の事業承継まとめ〜「開業・廃業手続き」の書き方から「贈与税」の計算方法まで〜 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

通話無料 0120537024

  1. 税理士ドットコム
  2. 相続税
  3. 事業承継
  4. 事業承継のハウツー
  5. 個人事業主の事業承継まとめ〜「開業・廃業手続き」の書き方から「贈与税」の計算方法まで〜

個人事業主の事業承継まとめ〜「開業・廃業手続き」の書き方から「贈与税」の計算方法まで〜

個人が行う事業の種類には、個人商店の被服屋・八百屋・クリーニング店や、料理・お菓子・英会話教室など、様々な業種があります。

個人事業主として何らかの事業を行っている方が、自分が現役を引退した後に、子にその事業を継いでもらおう。と考えた際には、なにをすれば良いのでしょうか?このページでは、個人事業主の事業承継のポイントについてご説明いたします。

目次

個人事業主とは

フリーランスやノマドワーカーなどの自由業、フリーターや個人事業主、個人商店等の自営業など、近年では、働き方の幅が広がって、その形体や敬称は多様化しています。

自営業といえば「農家や町工場」「商店街の商店」「料理教室やダンス教室」「チェーン展開していない飲食店やカフェ」などを想像する方が多いと思います。また、こういったお店だけでなく、フリーのデザイナーやプログラマーなども自営業です。近年では、こういった自営業のことを「フリーランス」と呼ぶことも多くなりました。

いずれも、会社員や法人を設立している人以外の、個人で事業を行っている人のことを指し、こういった人たちを、「個人事業主」といいます。

子に事業を譲渡・贈与したいとき

個人事業を営んでいて、子供にお店を譲渡したい、継いでもらいたいなどどいった際に、単に子供に「お店をあげる」と言っただけでは、事業の承継はできません。

自身が事業を開始する際に行った手続きと同様に、承継させる相手(譲受者)は開業届けを提出したり、他にも様々な手続きをしなければなりません。

譲渡と贈与の違い

「譲渡」と「贈与」について簡単にご説明をすると、「譲渡」とは財産や権利を譲り渡すことを指し、この取引が有償の場合は「売買」、無償の場合は「贈与」となります。

個人事業の承継方法

個人事業であれば、親族間で譲渡(承継)が行われることが多いのではないでしょうか。

個人事業は税法上、あくまで個人の事業に対して課税されるものであるので、法人のように承継するという概念がありません。

よって、個人事業の承継は、譲渡者が廃業届を、譲受者が開業届を出せば完了します。

以下からは、親から子へ事業承継する場合を例に、どのように手続きすれば良いのかを見ていきましょう。ここでは、法人としてではなく、個人事業として承継する場合を想定しています。

廃業届と開業届を提出する

まず、親は事業を終了するので「廃業の手続き」、子は事業を開始するので「開業の手続き」が必要になります。この手続に必要な書類は、それぞれ以下のとおりです。書き方については後述します。

譲渡する側(親)が提出するもの

  • 個人事業の廃業届出書
  • (青色申告の場合)所得税の青色申告のとりやめ届出書
  • (免税事業者でない場合)事業廃止届出書
  • (翌年に予定納税が発生する場合)所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

譲渡される側(子)が提出するもの

  • 個人事業の開業届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書
  • (青色専従者を雇用する場合)青色事業専従者給与に関する届出書
  • (従業員を雇用する場合)雇用契約書等

屋号を引き継ぐ場合

親が使用していた屋号を、子が使用したい場合は、開業届に使用したい屋号を記載しておけば、そのまま使用することができます。その屋号に商号登記がされている場合は、法務局で名義変更の手続をしましょう。

屋号は、商標登録のように法律による制限がないため、簡単につけられますが、商号登記がされてる屋号の場合は、会社法や競合避止義務により、同一市内では使用することができませんので、注意が必要です。

取引先や仕入先への連絡をする

代表が親から子に代替わりするので、今後付き合いが継続する、取引先や仕入先には、代表者変更の連絡・挨拶はかかさずにしておきましょう。

廃業届・開業届など各書類の書き方

さきほどの廃業届・開業届など各書類の書き方について、ご説明いたします。

まずは廃業する側(親)が準備する書類についてです。

個人事業の廃業届出書

事業を終了(廃止)する際は、「個人事業主の開業・廃業届出書」という書類の提出が必要になります。廃止する際だけでなく、新設・増設・移転する場合もこの書類を使用します。

青色申告のとりやめ届出書

確定申告の際に、青色申告をしていた場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」もあわせて提出が必要です。ただし、別の事業を行っていたりして、青色申告を継続する場合は提出する必要はありません。

事業廃止届出書

消費税の課税事業者だった場合は「事業廃止届出書」もあわせて提出が必要です。廃業届と似ていますが、内容が異なりますので注意しましょう。

予定納税額の減額申請書

子に事業を承継した場合は、親の所得が予定よりも少なくなると想定でき、その場合、親が予定納税義務の対象者だと、税の予定納税額が多くなりすぎてしまうことになります。

そこで「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請」を提出すれば、予定納税額を減額することが可能です。

廃業だけでなく、休業や失業、業績不振のため所得が少なくなることが見込まれる場合もこの申請ができます。

提出時期

予定納税の時期は第一期・第二期と2回に分かれています。

減額申請の手続きには、期限がありますので、廃業時期を決める検討材料のひとつとして参考にしましょう。

  • 一期・二期分の減額申請は、7月1日~7月15日まで
  • 二期分のみの減額申請は、11月1日~11日15日まで

個人事業の開業届出書

ここからは開業する側(子)が準備する書類についてです。

事業を開始(開業)した際は、「個人事業主の開業・廃業届出書」という書類の提出が必要になります。

開業・廃業どちらの場合も同じ書類を使用します。開業・廃業どちらの場合も、該当しない方を線で消しましょう。

こちらのPDFファイルに書き方のガイトがついていますし、順番に該当項目を記入していけば良いので、作成は難しくありません。

この届けは、必ず出さなければいけないという法的な縛りや罰則はありませんが、提出するメリットのほうが大きいので、提出することをおすすめします。

青色申告承認申請書

確定申告の際の、「青色申告・白色申告」について、事業をやろうとしている方は、殆どの方がご存知かと思います。この青色申告を選択するためには、「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要になります。

この届出は、事業開始から2ヶ月以内に提出しなければならないとされているので、青色申告を選択する方は、開業届と一緒に提出しましょう。

青色専従者に関する届出書

子に配偶者がいて、その配偶者が事業を手伝い、それに対する対価(給与)を支払うとなった場合、本来はその給与は必要経費としては、扱うことができません。

しかし、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、その給与を特別に経費として扱うことができるようになります。

一定の要件を満たせば、支払った給与の全額を経費として計上できるので、こちらも合わせて提出すると良いでしょう。

従業員を雇用する際の手続き

配偶者や親族などの身内でない従業員を雇用する場合は、アルバイト従業員や委託として、雇用契約を結ぶ必要があるので、これに必要な書類を準備しましょう。

例えば、雇用契約書や労働条件の書類や、雇用保険や労災保険などの労働保険の加入手続きが必要になります。

個人事業の承継には贈与税が発生する?

個人事業から法人として承継するには、また別の手続きが必要になってきますが、個人から個人への事業の引き継ぎであれば、廃業・開業届けの提出だけで手続きは完了します。

この段階で、事業主が誰であるか。ということの手続きは済みましたが、元々親の保有している商品やお店を無償で引き継ぐ(譲り受ける)ことになるので、税法上、贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

贈与税の計算方法

親から買い取るという選択肢や、リースするという選択肢もありますが、無償で譲渡(贈与)されたケースを想定して、贈与税の計算方法を見ていきましょう。

まず、資産と債務の2つに分けます。

  • 【資産】不動産(建物や敷地)・預貯金・商品・売掛金・社用車・機械類 など
  • 【債務】買掛金・未払金・借入金 など

預貯金などの現金以外は、贈与時の時価で計算します。贈与税の基礎控除は、年間110万円とされていますので、資産 - 債務が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。

110万円を超えた部分の金額に、以下の税率を掛けて、贈与税を計算します。

課税価格一般税率(※1)控除額特例税率(※2)控除額
200万円以下10%-10%-
200~300万円以下15%10万円15%10万円
300~400万円以下20%25万円
400~600万円以下30%65万円20%30万円
600~1000万円以下40%125万円30%90万円
1000~1500万円以下45%175万円40%190万円
1500~3000万円以下50%250万円45%265万円
3000~4500万円以下55%400万円50%415万円
4500万円超55%640万円

※1:一般税率(一般贈与財産用)
特例税率(特別贈与財産用)に該当しない場合に、一般税率で計算をします。

※2:特例税率(特別贈与財産用)
祖父母や父母などの直系卑属から、20歳以上の子や孫への贈与をする際には、こちらの特例税率で計算します。

贈与額が600万円だった場合

親から子への贈与で、不動産の時価なども含めた贈与の額が600万円だった場合の贈与税の額を見てみましょう。

600万円 - 基礎控除額(110万円) = 490万円
490万円 × 20% - 30万円 = 68万円

不動産は使用貸借するのが良い!?

贈与額が高額になっている理由のひとつが、不動産の部分ですので、この部分を贈与ではなく「使用賃借」という形で、子に貸すことで贈与税が発生しないようにすることもできるでしょう。

使用賃借というのは、タダ(無償)で物を貸し、使用後に返還してもらうという契約のことです。簡単に言えば、友達に漫画を無償で貸して、翌日返してねと言えば使用賃借の契約をしたということになります。

よって、この使用賃借という形で、親が子に無償で貸し出す形をとれば、トータルの贈与税を減額できるので、事業承継の際に、不動産など大きな資産がある場合には、この方法を取ることも有効といえます。

ただし、このように使用貸借として贈与税の対象とならない場合でも、相続税として今後発生することになりますので、どちらが最適なのかは、税理士などの専門家に相談し、慎重に判断すると良いでしょう。

おわりに

個人事業主の事業承継では、このように「税金」が深く関わることになります。進め方や手続きなども含めて、事前に税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。税理士をお求めの方は税理士紹介サービスをご利用ください。

事業承継に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

事業承継に関する税務相談Q&Aをみる

  • 賃貸契約

    賃貸契約について教えてください。 土地は父 家屋は母の名義のアパートを私(娘)が大家となり賃貸契約をし家賃収入を得ることができますか?土地・家屋ともに私の名前は...
    税理士回答数:  1
    2019年02月17日 投稿
  • 自宅兼店舗の相続について

    母の叔母〔80代〉か自宅兼店舗の小さなタバコ屋をしています。 彼女には子どもがいません。今は元気ですが、体が悪くなりお店が出来なくなったらタバコ屋を継いで欲し...
    税理士回答数:  1
    2019年02月01日 投稿
  • 法人所有の不動産を売却し、会社を整理したい。

    後継者のいない一人有限会社の後始末についてアドバイスをお願いします。 負債はありません。資産として現金少々と不動産(市街化調整区域内の宅地)です。 不動産は売却...
    税理士回答数:  1
    2019年01月17日 投稿
  • 造作譲渡料の相場について

    知人の飲食店(賃貸)を引き継ぐ予定です。店舗は中野区で、人通が少ない商店街にある50平米くらいのお店です。知人の旧オーナーはスケルトンの状態から、内装設備に50...
    税理士回答数:  1
    2019年01月15日 投稿
  • 事業承継後の役員報酬について

    愛知県在住の主婦です。 実家が広島県にあり、両親が有限会社を経営しています。 昨年9月に代表取締役である父が他界し、取締役の母1人となりました。 11月に姉と私...
    税理士回答数:  2
    2019年01月09日 投稿

顧客満足度の高い税理士を無料でご紹介します。

このようなニーズがある方は、お気軽にご相談ください。

  • 税理士を変更したい
  • 初めての税理士を探したい
  • 相続税の申告をしたい
  • 会社設立・開業をしたい
  • 個人事業主の節税・申告をしたい
税理士選び〜契約までをサポート
通話無料 0120537024
  • 最短当日
  • 24時間受付
  • 年中無休
  • 全国対応