代表取締役社長退任後 嘱託社員として残る時の注意点について
お世話になっております。
私(共同代表)の父で9月で代表取締役を退任して会社も退職をして
再度嘱託社員として勤務する件についてご教授をお願いします
1.代表取締役退任直近の勤務体系は、月~金8:00〜17:00で役員報酬月35万
嘱託社員後の勤務体系は、月・火・水・金10:00〜17:00で給与月10万
〜15万を希望
2.役員慰労退職金として1,500万の支給を検討
代表取締役としての勤続年数は約30年です。
当社の決算が12月末のため、退職金の計上(支払い)を今期中に行いたいのですが、顧問税理士より上記1・2を行うと税務署より指摘されるので役員退職金を支払ったら、会社に出勤(無給でも問題あり)及び給与の支給は行わない方が良いと指摘されています。
9月よりこの規定路線で顧問には相談しながら動いていたのに突然このような事を指摘されて困惑をしております、何卒アドバイスお力沿いを宜しくお願いします。
税理士の回答
下記回答いたします。
顧問税理士より上記1・2を行うと税務署より指摘されるので役員退職金を支払ったら、会社に出勤(無給でも問題あり)及び給与の支給は行わない方が良いと指摘されています。
顧問税理士が危惧しているのは、①役員退職金が損金の額に算入できなくなることと、②源泉所得税の不納付加算税、③社長の所得税増加です。
具体的に説明いたします。
①役員退職金が損金の額に算入できなくなること
役員退職金は元々、原則として損金の額に算入できない規定となっています。
ただし、今まで会社に貢献されてきた事情を考慮して一定の要件を満たした役員退職金は損金の額に算入できるという取り決めとなっています。
本来、損金の額に算入できる方が例外という立ち位置です。
ここで問題になってくるのが、下記の今後のお父様の会社での位置づけです。
私(共同代表)の父で9月で代表取締役を退任して会社も退職をして
再度嘱託社員として勤務する件についてご教授をお願いします
退職というくらいですので、本来の趣旨として退職後は会社に一切タッチしないということが通常の概念です。
実際は役職などを退いたとしても、完全に会社を離れる訳にはいかず、退職後も会社に通って面倒を見たりということがあるでしょう。お父様のご状況もそのような形だと推察いたします。
実際に会社の経営に口は出さないと考えていても、役員陣から少なからず頼られることはあるでしょうし、第三者的立場である税務署はそうは考えません。
税務調査では、役員退職金を支給していると分かると、退任した前社長の退任後の会社での活動を調査することになります。
そこで、週の4日も会社に通って業務を行っているとなると役職上は代表取締役ではなく嘱託だったとしても、「先日の退職は退職ではない」という判断となり、役員退職金として支払った費用は損金の額に算入できないという結論となる傾向にあります。
→①ここで、法人税の追徴課税が発生。
また、上記の場合、役員退職金ではなく、役員給与としての扱いになり源泉徴収の対象となります。
→②源泉所得税はご存じのとおり納付期限が決まっておりますので、その分を納付していないとなると不納付加算税も発生します。
③社長個人でも退職金ではなく、役員給与として認定されてしまうと所得税も追加で発生するでしょう。
退職金の課税は給与よりも低いですので、その計算式の違いが影響してきます。
上記にならないための対策としては、
・退職後しばらくは会社に出勤しないこと。(「しばらく」の期間は特段定めがありませんが、現社長が急逝し、やむを得ず社長の座に再度戻るといった事情でない限りは厳しいでしょう)
・議事録やメールにもお父様の名前が載ってくると上記認定の火種となりますので注意です。
・上記に関連して取締役会や株主総会の開催、役員退職の手続きなどは会社法に則り不備なく行う。
等が挙げられます。
どうしてもキャッシュが必要であれば、
役員退職金の法人税法上の限度額計算を行い、限度額まで役員退職金の金額を引き上げて支給することも方法としてはあるでしょう。
ご参考に宜しくお願い致します。
本投稿は、2023年10月25日 08時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。