遺言書による相続のやり直し
下記の場合、相続のやり直しによる譲渡税の短期・長期のカウントは「いつからいつまで」で、税率はどうなりますか?
(1) 被相続人死亡から2年後に、遺言書による相続が着手(相続財産の一部を適法に登記)されたのち、当該登記を巡って係争が発生しました。なお、この原始的な一部登記に錯誤等の無効等の原因はありません。
(2) 被相続人死亡から6年後に、裁判所の和解を通して、新たな遺産相続協議書によって当該一部登記した(1)の相続財産を別の相続人に譲渡することが決まりました。
基本的に、実態的にも民法的にも相続問題が6年間続いているので、取得後6年経過したと見做されるかと思います。
しかし、遺言書によっていったん適法に登記されたことよって、税法上の相続からすればその時点でその相続は部分的に完了し、新たな遺産協議書に基づく譲渡税に係る取得期間は6ー2=4年(短期譲渡)と見做される可能性はありませんか?
税理士の回答
対価を支払って取得したものではないので、この場合、土地の取得日は被相続人が取得した日となります。したがって、、この取得日から譲渡日の属する年の1月1日現在で5年超えるのであれば、長期譲渡所得となります。
仮に調停により、他の相続人に名義変更した場合、課税されるとしても、対価を伴わない移転のため、贈与税の課税対象となりますが、贈与の場合でも、取得時期を引き継ぎますので、取得日は被相続人が取得(対価を支払って取得)した日となります。
池田先生
お返事いただきまして誠にありがとうございます!!
そうしますと、たとえば死亡から10年前に被相続人が購入または取得した現金→0年に相続開始(被相続人死亡時)
→2年に遺言書による相続(相続税)
→6年に協議書による相続(譲渡税)の場合、
6年に協議書による相続にかかる税率は、10+2+6=18年間保有(長期)ということになりますでしょうか?
そして、遺言書によって取得した相続財産は、次の譲渡取引(相続のやり直し)になにも影響を及ぼさない、という理解であってますでしょうか?
※「対価を伴わない移転のため」とコメントいただきましたが、協議書による相続のやり直しの際(税法上の譲渡の際)に、代償金が発生しております。説明不足で申し訳ありません。
※当該遺産分割協議書による相続に税金がかかるかどうかは複雑なので、譲渡税がかかる前提(代償金があるため贈与税にはあたらないと思ってます)です。
遺言があっても、必ずそのとおりに相続しなければならないということではなく、相続人の間で遺産分割協議が成立すれば、その分割協議が有効となります。
前回の回答でもお答えしましたが、相続により取得した土地を取得時期は被相続人が取得した時期を引き継ぎますので、被相続人が取得した時から譲渡日の属する年の1月1日までの期間が5年を超えるのであれば、長期譲渡となります。
相続による代償金の支払いは、相続土地の対価とはなりません。相続人の1人が土地を取得する代わりに土地を取得した相続人から土地の代わりに現金を渡す。これを「代償分割」といいます。この現金は土地の取得対価ではなく、あくまで相続財産となります。
池田先生 理解できました。どうも有り難うございます。
本投稿は、2023年04月14日 20時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。